14話 松の木の下
遅い夕食を6人は終えた。
勝也は、「まずい!母さんに電話しろって言われてた!」とすっかり修学旅行気分で忘れていた。
美代に「電話してきなさい!もう!心配してるわよ!」と言われた。
勝也は、与島美登里に電話を借りて電話した。
「何で、こんなに遅いのよ!」から始まり、勝手に海にいったことや、様々なことをグチグチ言われた。
結局、酒田の父、酒田義之と辰之助、勝也の父、磯野益雄と母、澄江が2台の車で迎えに来る事になった。
勝也が部屋へ戻ると〝枕投げ〟が始まっていた。
隊長、美代が集中砲火を浴びていた。
皆、すっかり、〝人骨〟が出て来た事など忘れているようであった。
勝也は、楽しくなり、〝枕投げ〟に参戦した。
「もう!コイツら!止めなさい!いい加減にして!」と叫んだ!
皆、千倉の夜が楽しくて仕方なかった。
翌朝 5時 松の木の下
与島太助は、例の松の木の下にいた。
裏側の勝也たちが掘った反対側の草むらを見つめている。
その顔には、優しい笑みが浮かんでいた。
〝のびのびと背伸びの運動から〟
とラジオ体操の音で、勝也は目が覚めた。
少し離れている所に寝ている西山妙香の寝姿を見てしまい、〝見てはいけない〟とは思うものの、寝返りを見てしまい、ドキドキした。
窓の外を見ると、隣りの広場で地元の小学生がラジオ体操をしていた。
6人は、鯵の干物を中心とした朝食をいただいた。
お櫃が空になる程であった。
午前10時 小次郎
カローラとグロリアが到着した。
カローラから、飛び降りた澄江は、勝也を見つける
と「もう!心配かけて!」と怒っているものの、目には涙を浮かべていた。
酒田辰之助と与島太助は、目を合わせたが、辰之助が一礼し、何も語らず、お互い笑みを浮かべた。
磯野益雄と酒田義之は、与島美登里と宿泊代の話しをしている。
荷物を持ち、何が言いたげな6人に向かい、
酒田辰之助は、「お疲れ様!〝宝〟は見つかったかな?」と声をかけると、隊長 美代がキレた!
「酒田君のお爺さん⁈あのね!あんたね!なんて地図子供に渡すのよ!ええ!見つかったわよ!宝じゃなくて〝死体〟がね!」と大声で怒鳴った!
他の子供達は、〝言っちゃったよ〟と頭を抱える。
辰之助は、「死体⁈そんなバカな!」と呆然と立ち尽くした。
〝民宿 小次郎〟に水を打ったような静けさが訪れた。