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10 告白


クララによって語られる衝撃的な『事実』に打ちのめされ、リルローズはただ項垂れるばかり。そんな姿を底冷えする眼差しで見下ろしていたクララだったが一転、慈愛に満ちた微笑みを浮かべるとその場に(しゃが)み込み、鉄格子に唇を寄せ小さく耳打ちをしてきた。


「ああ、馬鹿で間抜けで、とっても可哀想なリルローズ様。せめてもの手向けに一つ、私の秘密を教えて差し上げるわ」


短い沈黙の後、その言葉にのろのろと顔を上げるリルローズ。目が合えば満足げに笑むクララだが、その笑顔に同居するのは臓腑を灼き尽くす程の悪意。


「私の『力』ってね、決して叶わぬ恋に身を焦がす殿方にしか効かないの。狂おしい程に求めても絶対に手の届かない女を、それでも一途に想い続ける愚かな男にだけ。だからまだ恋をご存知ないリュカ様にはちっとも効かなくて、うふ、嫌になっちゃうわ」

声を潜めても、ころころと笑う音が牢内に響き渡る。

「それでね、そんな男達には甘美な幻を見せてあげるの。やっと手に入った愛しい女を一心不乱に抱いている彼らは、本当は私の身体を貪っている事に気付かない。そうして溺れたならば後はもう……身も心も、私の思うまま」


恍惚と笑むクララの瞳に微かに揺れる昏く歪な炎に、果たしてリルローズは気付いているのか。


「無神経に彼らの心を掻き乱して弄んだりしなければ、こんな事にはならなかったのに。正に因果応報? ってやつですね。でもまあ、そのお陰であの四人は簡単に堕ちた訳だから、うふふ、リルローズ様にはお礼を言わなくちゃいけませんね」


そんなリルローズに対して、クララはまるで出来の悪い生徒を愛を持って諭す教師のように、優しく囁いた。




「……一つだけ、お聞かせ下さい。クララ様はお腹の御子を、どうなさるおつもりですか? もし、万が一、貴女の仰るようにセルジオ様の御子ではなかったと……したのなら……」

先程よりも長い沈黙を経て、リルローズは震えながらも声を絞り出した。


王家の血は濃い。その血を継ぐ者は母(或いは父)の身分がいかなるものであっても、例外なく瑠璃色の瞳を持つ。

産まれてきた子がその瞳を有していなかったなら、どんな誤魔化しの言葉も通用しないのに──

だが。


「ああ、別にそんな事、()()()()()()()()

「……え、どうだって……良い……?」

実にあっけらかんと答えられて、一瞬にしてリルローズの頭は真っ白になった。

大きく見開いた目で隅々までその愛らしい顔を凝視しても、彼女が虚勢を張っているようには一切見えない。

「あは。だって私の産んだ子なら全部セルジオ様の御子になるんですもの。『前』も『その前』もそうだったし。それに駄目だと言われたなら棄ててしまえば良いだけでしょう? ああそうだ、いっそのこと『アンネラ』にあげてみるのも面白いかも。産まれたての赤ん坊はご馳走だって言っていたし、捧げ物としてはぴったりだわ」




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