夏連海音 1
人形達が学校に襲撃する4時間前に遡る。
夏連海音は、目を覚ます。海音は、一人暮らしをしている。一人暮らしといっても親から離れて生活している訳ではなく、親が死んだ為現在一人暮らしをしているのだ。海音という名前だが男である。
朝食を作り、一人で朝食を食べてマスクを着けて家を出て、学校に行く。マスクを付ける理由は、口元に傷、顎に切り傷がありそれをクラスメイトにあまり見られたくないからである。学校に着くと小学校からの友人の森智樹と中学校からの友人の江田拓哉に挨拶して自分の席に座る。ちなみに拓哉から先に挨拶する。
「おはよっ!夏連!」
「おはよう。海音。」
「ああ、おはよう。」
僕は挨拶を済ますと自分の席に座る。江田が話しかけて来る。
「夏連知ってるか?今日から3年生修学旅行なんだぜ!羨ましいよなー!」
「確かに羨ましいな。授業しなくていいもんなー。」
修学旅行の話をしてるとチャイムが鳴り朝礼が始まり、1限目の授業が始まった。ぼーとしてるとチャイムが鳴り休み時間になった。
「いやー1限目の歴史は、マジでいらんて!てか、歴史の授業そのものがいらんわ!」
江田が話しかけて来た。
「江田。お前歴史が苦手なだけだろ。歴史の本でも読んで歴史を好きになれば嫌いじゃなくなるぞ。」
智樹が呆れながら言う。変わらない。いつも通り平和な生活だ。
…魔力?妙だな魔力の気配をうっすらと感じる。すると智樹が不思議に思って夏連海音に話しかける。
「どうした、海音。なんかあったか?」
「え、いやなんでもない。」
「そうか。変な奴。」
気のせいか?まあいっか。2限目が始まる。ぼーとしてるとチャイムが鳴り授業が終わる。
「かーだりー。水曜日の時間割が一番嫌い。体育も無いくせに歴史があるなんてまじ最悪。」
江田の授業嫌いトークを聞く。一つ気になったことがあったので僕は江田に質問する。
「じゃあ、お前何曜日が1番好きなんだよ?」
「そりゃあ勿論、木曜日だろ!なぜなら…」
「体育があって歴史の授業がないからだろ。」
江田が理由を説明するより早く智樹がツッコミを入れる。
「そう、その通り!that's right!」
ぐっと親指を立てドヤ顔をする枝拓哉。そんなこんなで3限目の授業が始まった。
僕の席は一番後ろの窓から1つ離れた席だ。左には、江田がいて枝の前の席に智樹がいる。授業が始まって8分程たった。窓を見ていた枝が異変に気づいて僕に話しかけて来た。
「おい、夏連見ろ。凄え事になってんぞ。」
江田が窓を見ていたので僕も窓を見る。
「は?なんだあれ。」
校庭に人が大勢集まって来ている。いや、あれは魔力!?凄い魔力だ。魔力の塊が学校に押し寄せて来ている。
「なんだ!?」
智樹が大声で驚いた。おそらく僕と江田の会話を聞いていて、校庭を見たんだろう。
「どうした何かあったのか、森?」
先生が智樹に質問する。
「せ、先生校庭を見てください!」
先生は教卓から窓に移動して校庭を見る。
「な、何だ!?だ、誰だあいつら!ちょっと自習してろ!」
そう言って驚きながら急いで教室を出て行った。生徒達も校庭を見た。教室は、大盛り上がりである。江田と智樹と喋る。
「な、なんかやばくね!」
「何わくわくしてんだ江田!あいつらが教室に入って来たらどうするんだ!あいつらなんか武器持ってたぞ!」
江田を怒る智樹。するとぎゃーと叫び声が廊下から聞こえる。そして数秒後バットなどを持った男たちが教室に入って来た。
そして男は叫んだ。
「テメェら静かに自分の席に着け!!でねぇと殺すぞ!!!」
銃で電光灯を破壊してクラスメイトを威嚇する。教室は大混乱である。すると智樹が大声で叫ぶ。
「みんな静かにしろ!この人達の言うことを聞くんだ!!」
教室から一人逃げようとした奴がいたが銃で攻撃され気絶?した。魔力だ。こいつらモデルガンに魔力を込めて攻撃しやがった!
みんな恐怖のあまり大人しく言うことを聞いた。
「おし、席に着いたな!俺らはこれからこの学校を支配する!大人しくしてろ!!!」
他の教室からも叫び声が聞こえてくる。同じようなことが起こったのだろう。クラスメイトは震えながら席に着いている。
夏連海音は考える。こいつらなんか変だな。魔力を纏っていると言うか魔力の密度が高いと言うか。てかこいつら顔似てる?いや、一緒だ!何なんだこいつら。何が目的なんだ。支配して何がしたいんだ。僕の近くに不審者がいる。不審者の魔力を感じるが、凄い濃いな。なんか魔力で出来ているみたいだな。
…!?上から魔力の気配を感じる。上で誰かが不審者達と戦っているのか。魔力の気配を感じていると智樹が黙って手を上げた。
「テメェ何手上げてんだ?殺すぞ!!」
「なら、殺す前に教えてください!貴方達は、何が目的なんですか?学校を支配して何がしたいんですか!?こんな事をして楽しいんですか!?」
智樹は、 銃を向けられているにも関わらず勇敢に質問している。すると不審者が質問に答える。
「…何が目的だと!支配してテメェらが怯える顔が見たいんだよ!質問には答えた。じゃあ…死ね!!」
智樹はなす術もなく銃で撃たれた。
「ガハっ!」
口から血を吐き出した。教室は悲鳴に包まれる。
「智樹!!」
僕が席から立ち上がると同時に江田は智樹を撃った不審者目掛けて走っていた。
「テメェ!!よくも森を!!!」
殴りに向かうも銃で撃たれ江田は、倒れた。
「ち、ちくしょう。」
…何をやっているんだ僕は。友達がやられた。死ぬのか?死ぬ?え、死ぬ?クソっ!何やってんだ。我を忘れて僕は江田と智樹を撃った不審者目掛けて走っていた。
「クソ!テメェらよくも!!!」
不審者は、僕に向けて銃を撃って来た。
「食らうかよ!!」
僕は手から魔力で作られた錆びた片手剣を出し。弾丸を避け、不審者に近づき銃を切断し、不審者の腹を魔力を纏わせ思いっきり殴った。
「グハ!」
智樹と江田を撃った不審者が倒れる。しかし前にいたもう一人の不審者がバットで殴ってくる。無駄な事を。バットを片手剣で受け止めバットをすぐさま弾きバットを切断した。そしてこいつにも魔力を纏わせたパンチを食らわせてやった。
教室の後ろのドアに立っていた不審者が前に来ていた。こいつも同じように片手剣でバットを切断し、腹に魔力を纏わせたパンチを食らわせた。
敵は、倒した。いや、まだだ!殴って分かったがこいつら魔力で出来てるんだ。だからこいつら少し霞んでいる。他のクラスにいる不審者達も魔力で作られた人形なんだ。人形を作り出した奴を倒さないとこいつらは多分消えない。人形を作った奴は、多分2階にいる奴だ。何がしたいのか分からないが自分で作り出した人形を自分で倒してるんだ。2階に行こう。奴を倒さないと!
僕は教室を出て2階に向かおうとした。
「邪魔だ!」
マスクをしていたが、邪魔だったので外した。2階に行くには、玄関を通らなければならない。そこで玄関に着いた時に僕は驚愕した。
ボコボコに殴られた教師が倒れていた。
「…ここまでするか。」
倒れている教師を横目に僕は2階に上った。2階に上る途中で魔力の気配と人の気配を感じた。そこには、今から1階に降りようとしている眼鏡をかけた生徒がいた。僕は質問した。
「誰だ!?…2年の人か。」
こいつだ。こいつがあの人形達を作り出した元凶だ。すると2年の人が質問してきた。
「お前こそだれだ!?俺は2年の御手洗浩太だ。名前を教えろ!あと何しに上ってきた!?」
僕は少し考えた。こいつをどうするべきか。とりあえずこの人の質問には答えるか。
「僕は1年の夏連海音です。上に上って来た理由は、職員室に行こうと思ったからです。」
「なつらみお?男のくせにみおだと?」
そんなことどうでもいいだろ。てかこの人何しに1階にいくんだ?聞いてみよ。
「御手洗さんこそなんで1階にいこうとしてるんですか?1階に行くと何かあるんですか!?」
御手洗は、面倒くさそうに悩み、僕の質問に答えた。
「俺はみんなを守る為に1階に行こうとした。君も知っているだろう!?今学校は、不審者達に支配されているんだ。だから俺は不審者を倒すために1階に行こうとしたんだ!」
「その杖みたいなのを使ってですか?」
「何!?」
度肝を抜かれたかのように御手洗は驚いた。
「君まさかこの杖が見えるのか!まさか君は1階にいる人形達を全て倒して来たのか!?」
驚いているな。僕もだけど。この学校に魔力を使える奴がいたことに。…あの杖を破壊すればおそらくだが人形達が消えると思う。一撃で破壊してやる。そのためには…。
「人形?さあ、どうかな?倒したかもしれないし、倒してないかもしれないですね。てか、あんたの武器杖か。人を作り出す能力。でもそんなに脅威ではないね。」
安い挑発だ。御手洗は、怒りながら答える。
「脅威じゃないだと!?ふざけんな!」
そう言うと同時に御手洗は、2階からジャンプし、杖を下に思いっきり振り下ろしてくる。
僕は片手剣で杖を受け止めた。すると、杖が消えた。
「な、なに!?馬、馬鹿な!?う、嘘だ!」
御手洗は、とても動揺している。悪いなそういう能力なんだ。人形達の魔力を感じられない。消えたんだ。よし、じゃあ後は…
「さあ、大人しく投降してください。」
僕は、御手洗を捕まえようとすると…
「う、うわぁぁーー!!!」
と叫びながら。御手洗は魔力を足に込めてジャンプして3階に逃げた。
「無駄なことを。」
僕も御手洗を追いかける為に3階に上った。
馬、馬鹿な。俺の人形達が消えただと!?何故だ!何故!くそっ!クソ!!
御手洗は、怒りながらとにかく逃げた。何故3階に逃げたのか御手洗自身も分かっていない。3階に着いた。とりあえず逃げようと角を曲がった瞬間壁から口の様なものが飛び出して来た。
「う、うわ!!!」
口が御手洗に噛みついた。口に入れなかった御手洗の腕が切り落とされ、さらに口を中心にして舌が花弁のようにして御手洗を包んだ。
「うわ、い、痛い!!だ、誰か!助けてー!!!」
悲惨な断末魔は、花に飲み込まれ聞こえなくなった。
上に上って来た夏連海音は、花弁のような舌に包まれベキベキと御手洗の骨が砕かれる音と御手洗の断末魔を立ちすくしながら聞いていた。そして、壁から生えてきた花のようなものは壁に戻って消えた。
な、なんだ。今の。し、死んだのか!?
いや、まて、まだ敵が潜んでいるのか?どこだ。急いで錆びた片手剣を構え大声で質問する。
「だ、誰だ!?誰かいるのか!今の花みたいなのを出した奴、どっかに隠れてんのか!?出てこい!!」
恐怖にのまれないように僕は大声で叫んだ。しかし、質問の答えは返ってこなかった。
…いや一旦ここから離れよう。そして、警察を呼ばないと。と思ったらパトカーのサイレンの音が聞こえた。クラスの人が呼んだのかそれとも近所の人が警察を呼んだのか分からないが終わったのだ。