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彼女と私はくたばらない

作者: 三日月

 久しぶりに会った彼女はとても晴れ晴れとした表情をしていた。


 数日前、同じ場所で会った時は陰鬱(いんうつ)な雰囲気を(かも)し出し、活気のない、酷く沈んだ表情をしていたのに。


 今日の彼女は出された朝ご飯に感謝し、ゆっくりと手をつける。


 食事は半分も食べられなかったけど、食べ終わると静かに手を合わせ「ご馳走でした」と一言。


 私が食べ終えた食器を下げると頭を下げながら「ありがとうございます」と一言。


 人は誰でも遅かれ早かれ生まれてきたからには人生の終わりが訪れる。


 彼女は未だ若く、六十代の癌患者さん。


 それも、末期と診断され余命宣告もされている。


「余命宣告」······治療に励む彼女にとって、最も聞きたくなかったであろう言葉。


 そんな彼女が、病室の扉に手を掛け部屋を出ようとしている後ろ姿に向かってこう言った。


「又、明日も会いに来てくださいね」


 日々失敗馬鹿りの新人看護師の私は、どうやら彼女に見透かされていたのだ。


「はい!」


 私は笑顔でそう答えた。


よし、明日も又ここに来よう。

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