緊急事態宣言の配達④
【5月6日まで自粛、休業させてもらいます】
宣言した後、すぐにというわけではないが。各々、準備が整い次第に自粛及び、休業となった。
休業の張り紙を張り付け。
飲食店の9割ほどはお休み……と思われたが。
「テイクアウト始めましたー!」
お店によってはテイクアウトを始めた。
店長と店員はマスク。消毒液をレジの隣において、仕事を続ける。
一方で、美容室などの人と関わる仕事の多くが営業停止……。(無視してるところもあったが)
その他の会社は営業時間の短縮、自粛……。
経済の停滞感というのをリアルで観られている。
この間にも閉店だったり、それを検討しているお店もあるだろう。
街の雰囲気は70%ぐらい落ち込んでいる。
「わーーーい」
「父ちゃーん、行くぞー!」
だが、公園や散歩道、ランニングコースなどでは通常の休日よりも賑わいを見せている。
健康意識の年寄りが多め(ここは地域のせいかも)、次に親子連れ。遠くに出掛けられずとも、家族揃って出かける事はできるものだ。父親とキャッチボール、縄跳びをしていたり。子供同士で遊んでいる光景を見ながら、ママさん会議を始めたりと……。
気分転換と意見交換をして、退屈を紛らわす。
外出自粛と言われているが、ある程度の抑止力になっていると思う。
「外出自粛言ったら、もう物流止めろや」
「独り者は外出してる様子がねぇしな」
「スーパーと公園ぐらいしか出歩いてないだろ」
人が込み合っている場所=みんなが外出しているわけでもない。
個人的に外出はすでに抑えられていると思う。
地域を回っていると特にいないと感じる年代、
「学生いねぇーな」
中学生、高校生、大学生。……そんな感じの人達があまり出歩いていない。
通勤時がホントによく感じている。外出している時、半分近くは彼等がいるはずなのだ。
ピンポーン
「荷物届けに来ましたー」
『あーっ、ごめんなさい。荷物、ドアの横に置いてくれる?』
激増したわけではないが、テレビとかで直接的な感染を防ぐため、玄関前に荷物を置く事が多少増えた。家によって異なるのだが、インターフォンがそもそも壊れていたり、いつもみたいに確認もしないでドアを開ける人もいるので、ホントに微増ぐらいである。
こちらとしてはどちらでもいいんだが、結局この荷物は配達員以外にも触れているから、怖いんだったらそもそも頼まない方がいいですよ?って気持ちです。
宅配ピザなどと勝手が違います。
「OH!」
当然ながら、外人さんのお宅にも荷物があれば行ってくる。
もう見慣れたマスクの箱を抱えて
「あー、この荷物はー」
自分は日本語も話せるだけで理解していないし、英語なんて分かるわけもない。
アメリカ?イギリス?金髪で背が高く、ダンディな外人さんに荷物を手渡すとき。
「マジでマスク届いてる!私の国、マスク争奪戦をしてるのに!日本すげーー!」
「日本語ペラペラじゃないですか」
マスク届いただけで、驚いてるんですけど……。
地域で英会話教室などを開いている方もおり、日本語のレベル差があれど。こーいう人達はビックリするほど、上手です。発音が日本人と同じ方もいます。
マスク届けたとき、凄くお礼をしてくれたのは意外にも欧米の方でした(自分にとっては)。不安を煽るような報道が多い中、外国と日本と比べると日本は緊張感ないって言われるのも、納得が行くような気がします。それだけ平和という事ですし、平和を守りたがるという事ですね。
一方で
「荷物です」
「○△×??○○○?」
不思議っちゃ不思議なのだが。
中華・韓国系と東南アジア系の人は、意外と日本語で話しができません。見た目、アジア人なのに不思議だなーっていう。彼等とは日本に来た理由が違うのかなっていう想像もあります。出稼ぎで来られてるベトナム・タイ出身の方などもいますし。
子供は喋るけど、親は喋れないっていうのも多くないですね。家族や仲間に1人くらいは日本語を普通に話せる人はいるので、困ることは滅多にないです。
そして、
「ア・リ・ガ・ト・ネェー」
カタコトながら、お礼を言ってくれる方々を見てちょっと嬉しいです。国境とか、人種関係なしに、良い事をしたっていうのは気分がいいもの。
世界的な感染であっても、こんなやり取りとこんな仕事が当たり前にできる日本は、良い意味で頭がオカシイと思う。日本も当然ながら、お礼を言ってくれる人達は多いし、通販関係が多いのは仕方なくも。それだけ欲しい物。
遣り甲斐なんて言葉は好きではないが、どうせやるなら互いが喜ぶことをしていた方が良い。
普段どんだけ面倒な荷物を配ってるんだと思ってしまうが……。
ガチャコンッ
「よーし!始めるよー」
「はい!」
緊急事態宣言から2週間以上も経過。
営業停止を告げられたとはいえ、そのまま過ごす事もできまい。なにせ、ホントに解除されるのか分かったもんじゃない。良い意味で言えば、国なんてカンケーねぇ俺達は俺達で対策する。そんな意気込みを感じるように、地域が動き始めた。
っていうか。
「国が遅いんだよ!!」
「営業しないと金にならない!」
……それだろうな。補償よりも客の争奪戦の方が重要かもしれない。群雄割拠に並んだ似たようなお店。この機会に新規の客や他所を使っていた客がこちらに呼び込めるかもしれない。公務員のような連中には持ち合わせていない、商売魂。
その商売魂を持ってして、
「配置変えるよー!」
「透明シートはそこ」
感染症対策を練っての店の改装。
休業中だからこそ、清掃やらを始めるお店は多かった。
周囲のお店が畳んでしまう状況も多いながら、それを前向きに捉えて活動する美容室を何件か見た。自分は美容室とイケメンは嫌いなんですが、この逆境の中でいつまでも不貞腐れるのは外面も内面もブサイクなんですよね。人間その両方を持ち合わせたら、人間と呼べないタダのクズ。
人だかりとは違った熱気はあった。
そして、こちらでも
ピロリロリローン
違う熱気があった。
「いらっしゃいませ」
パチンコ屋である。ここ五月蝿いので、自分は絶対にいかないし、絶対にやらないんですが。自粛自粛言われながら、ここは三密なのに営業中。時短もしてるし、臨時休業日も増やしたとかなんとかですが……。タバコや酒の臭いは普段よりかは少ないながら、普通に来る奴いるのなーって思ってしまう。人はいつもより少ないけれど。老若男女問わない面子……。
おそらく、常連客か。
1,2回しか入らなかったが、マスクしてないのが多いのはどうなんだろうかと思う。喋らずに打ってるからいいのか?そーいう事に気が回る連中ではないのは、ここにいる時点で察する。あえて言わないが、店員さんは客の扱いが大変だろうな。
ブロロロロロロ
騒ぎになっているが、やっぱり目に見えない災害のせいか。
地域に差はあれど、頑張ろうという気持ちと行動は散見される。業界によってダメージは確かに異なるが、それでギャーギャーと騒いだりするより、前向いて考えている人達。
「思ったより人が来ないかも……」
物流の雇用が見直されればいいとか思ったけど、今の仕事に愛着がある人は当然いるもんだ。早々変わるとは思えないか。観光関係はホントにどうしようもないダメージであるが、特に案はないけれど、仕事は沢山あるしやれる事はいくらでもあると思う。
こなせる仕事かどうかは別だけれど、死ぬもんじゃない。生きてりゃ結果は変えられる。飯食うために仕事をするという、ちょっと前の時代に戻って、頑張ってみるしかないんじゃないか。
書いた後ですが、最近では食品工場さんが工場直売を始めてました。
外での販売だから良いと思ってましたが、30人ぐらい並んでいるのはさすが日本の文化ですね。
やっぱり、自粛は簡単な事じゃないですし。飯食う金がいるのは必然ですしね。
これを気に新規の顧客や新しいアイデアも出ると良いかもしれません。これによって淘汰される存在もあると思いますが、悲しいけれどそれが時代に生きるという事なんですよね。
物流やスーパーもそりゃ大変ですが、全員が大変なわけで。泣き言なんて言ってられないし、政府がー国がーなんて、信用も信頼もしてませんが。あの人達も今大変だろうという同情はします。経済潰れるとマズイですし、早い収束を願います。
次回は………配達員のお話の予定ですが。ちょっとグロいかな。