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人狼ゲームと中学生  作者: えいま
4/8

人狼デスゲーム~3日目~

衷「嘘だ…私は認めない。」

誰も何も言おうとはしない。言ったところで何にもならないからだ。

鳥井「…空翔が処刑されるの?」

答える者はいない。私も答えない。鳥井君の動揺した雰囲気があたりに広がってもだれも何も

言わない。

野々市「セズ、てめぇ何で今の今まで黙っていやがったんだ?空翔が疑われたとき何で黙ってた。」

ドスの効いた強い声。普段の紳士的な言葉を使う野々市君から想像もできないような言葉が飛び交う。

野々市「てめぇ、頭悪いのか。低能な男だとは思ってたけどよ、空翔を庇いもしない。」

鳥井「ごめん…本当にどうすれば分からなかったんだ。謝って許されることじゃないのは知ってる。」

二人の声だけがあたりに広がる。そんな時、野々市君が拳銃を手に取った。皆戸惑っていた中で、

不知火さんが野々市君を押えた。

野々市「何しやがる。てめぇ。この男好きが。」

不知火「何とでも言ってくれて構わないよ。」

不知火さんは拳銃を取り上げ、それを藍野君に手渡した。今日は藍野君が衷さんを撃つってこと?

藍野君は何も言わずに銃口を衷さんに向けた。

衷「いやだ…!やめて!」

藍野君が顔を苦しそうにゆがめた瞬間、昨日と同じ破裂音が鳴り響いた。いや、昨日より少し

大きくなっていた。そんな気がする。地面に血が広がり、衷さんは置物のようになってしまった。

藍野君は拳銃を置くと真っ先に部屋に戻ってしまった。不知火さんが部屋に戻ると、他の皆も

続いていったので、私も帰ろうと思った。野々市君と鳥井君は部屋に残っていた。

今日はもう寝よう。起きている意味もない、もしかしたら私が明日の犠牲者になっている可能性は十分にあるが今起きていたとしてもそれが回避できる訳じゃない。私はゆっくりと目を閉じ明日こそは誰も死なないことを願って眠りについた。

そしてまた夜が明けた。近くの部屋から重たい血の匂いが漂う。そうか、誰か人狼に襲撃されてしまったんだ。一体だれが死んだっていうの?私は恐る恐る部屋から出ると一つの部屋の前に皆が集まっていた。誰の部屋かは分からない。

利川「おい、どうなっていやがんだ。夜の襲撃で死ぬ人は一人なんだろ?」

不知火「そのはずよ。私に聞かれても分かる訳ないじゃん。二人死んでる理由なんて…鳥井君と叶山君、二人とも死ぬ理由なんてあるの?」

二人…?たった一夜で二人が襲撃された?人狼が襲えるのは一晩に一人。騒めき戸惑う私たち。答えが出ないまま部屋の前から動かない。灯火さんが皆の後ろからゆっくりと話し始めた。

灯火「私昨日鳥井君を占ったの。結果は人狼だったよ。ここの役職には猫又がいる。鳥井君は叶山君を晩に襲撃して道連れにされたんじゃ…」

灯火さんからは鳥井君の人狼と叶山君の猫又が確定した。いや、私たちみんなの中で二人のどっちかが猫又なのは決まった。私たちは重い足取りで話し合った場所に行くことになった。

野々市「セズまで死ぬのかよ…俺どうすりゃいいんだ?」

そんな事知らない。私は真也が生きていてくれればいい。野々市君はこれからどうするんだろう。衷さんが処刑されて、鳥井君までもが死んでしまった。幼馴染の二人を一晩にして失ってしまった。私たちは人狼側と市民側、そして狐側の人間が決着をつけない限り殺し合いを終われない。

利川「とりあえず、会議所に行かない?」

彼の声に皆反応し、会議所に向かう。鶴の一声と言ったところだろうか。私も皆と同じように会議所へと足を運んだ。飯山さんの時と同じように、死体は片付けられていた。匂いもしない。

村井「まだ終われないんだよね…」

私が言うと皆が口をつむぐ。言わない方が良かったかな。軽率な発言は控えた方が良い状況で今の発言は駄目だった。

妹島「とりあえず今日の会議を始めようよ。」

まだ会議に乗り気になっているのか。妹島さんの事は理解できない。彼女は元から軽い人だったけど何で人が死ぬ時まで軽いんだよ。会議なんてもう皆嫌でしょ。妹島さんはまだ続けようとするの?

藍野「とりあえず会議だけでもしよう。」

会議だけでもか。会議だけするつもりで昨日も一昨日も人を撃って、晩には人が襲われて死んでを繰り返す。3つの陣営の1つが勝ちを得るまで。勝ちを得るために市民も人狼も妖狐も殺し合う。何でなの。どうして私たちは殺し合うゲームに参加させられているの。

不知火「野々市、言っとくけどさ。女誑かしまくってる御前に男好きとか言われるのは遺憾だ。」

不知火さんの声って常にドス聞いてて怖いんだよな。不知火さんの家が反社会的勢力の関係者だって言う噂は本当なのかな。今まで、所詮は噂だって信じてこなかったけど本当に思えてきた。

灯火「藍月ちゃん、昨日の発言はもういいじゃない?」

藍月ちゃんと呼ぶって事は親しいのかな。まあここに居る人間の友好関係なんて今この状況には関係無いけどね。

大野「…今日は、どうするんだよ。」

重い口を開く大野君。殺す人を誰にするか皆に聞いてるって捉えて良いのかな。大野君はまた誰かを殺すつもりでいるの?黙りこくる皆の代わりに口を開いたのは真也だった。

利川「昨日の結果は白。衷は恐らく狂人。狼側は殆ど潰れた。だから狐を狙う。」

狐側か。背信者と妖狐だよね。飯山さんが背信者ではない限り、狐側はまだ全員残っているのか。衷さんが狂人だったとして後は狼が1人。狐狙う場面だね。

藍野「まあよく分からないのは村井だな。怪しいと言う訳でも無いが。」

私が疑われているのか。私はただの市民だしな。反抗する材料がない。今の藍野君の言葉で疑われたら私は飯山さんや衷さんの様に死んでしまうの?嫌だ。

野々市「ならもっと怪しい奴がいる。大野、御前だ。さっきから当たり障りの無い事ばっかり言ってるのは市民側でも人狼側でも無いからだろ。」

良かった。他の人にヘイトが飛んでくれた。死ぬのは勘弁だよ。大野君がどう出るかだね。しばらく待っても大野君は口を開かない。今日は大野君で決まりかな?

不知火「悠哉は、狐ではない。そして背信者でもない。」

だんまりの大野君に代わって口を開いたのは不知火さん。どういうつもりなんだろうか。大野君が狐側じゃ無かった時それを断言できるのは妖狐か背信者だけ。まさかだけど、不知火さんが狐側ってこと?

野々市「今断言したって事は、自分が狐側と言っているようなもんだぞ。」

不知火さんはどうでる?こうなってしまっては逃げ道は存在しない。不知火さんは命を投げ出すつもりなのかな。

灯火「藍月、どういうことなの?今日の占いは藍野君だったから庇うのも無理。」

藍野君が白だったのね。もし黒出てたら朝一で報告するはずだしさ。

不知火「簡単な事。私が狐だから。」

狐が自分から名乗り出た。今の状況が分かっていないの?狐が分かれば迷わず殺す状況でどうして名乗り出た。もしかして何か見えない真意があるの?

大野「藍月…?自分が何をしているか分かってるの?」

動揺を隠せないのは当たり前だ。不知火さんと大野君の仲良しぶりは学年の中で知らない人がいない程。不知火さんの処刑は絶対に免れない。動揺するのも変では無い。

不知火「悠哉が生きてくれるのなら、私は別に死んでも構わない。心残りがあるとすれば、もう悠哉に会えない事だけだ。」

大野君がそれだけ大切って事か。確かに、不知火さんが狐を匂わせ始めたのって、野々市君が大野君にヘイトを向けたときだった。まさか不知火さんは大野君を庇うつもりで狐だと言っているの?

利川「何か腑に落ちない。不知火は何がしたいんだ。」

不知火「もう面倒臭いから。気にしなくても良い事よ。」

生死がかかっているのに、面倒臭いって理由でわざわざ死に行くかな。やっぱり不知火さんには大野君を庇うという目的があるんじゃないの。

妹島「まあよく分かんないけど狐の不知火さん吊りで良いじゃん。」

不知火さんが死んでしまう。誰もこのゲームに抗わないのは何でよ。私を含めて誰も反抗しない。妹島さんはやっぱり軽いし、皆も仕方ないという顔をするだけ。

藍野「じゃあ投票をしよう。」

言うまでも無く不知火さんに票が集まった。大野君は無投票、不知火さんは野々市君に投票していた。投票を終える。

【今日の処刑先は『不知火 藍月』さんに決定しました】

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