人狼デスゲーム~2日目~
???「やあやあ。投票先が決まったようだね。じゃあ今から『飯山 苺』ちゃんの処刑タイム!
と行きたいところなんだけど、まだ処刑方法を教えてなかったよね。今からしっかり
教えてあげるから聞いててね。」
利川「おい、本当に殺すのかよ!本当にそんなことがあっていいのかよ‥」
利川君がピエロに反抗した。私だって飯山さんを本当に処刑するんだとはまだ思えない。
でもピエロは殺す気満々でいる。本当にするの?飯山さんは本当に死んでしまうの?
最悪な考えが脳裏をよぎる。いやいやそんなことは絶対にないよね。
???「まだわからないの?本当なんだよ昨日も言ったじゃん。やるって言ったのは君たちなんだから
今更ごねないでくれる?時間がかかってめんどいんだよね。じゃあ、さっさと処刑方法説明
しちゃうから黙っててね?。えーと君らが今囲んでいる机の引き出しに拳銃が入ってるんだよね
その拳銃はちょっと特殊で処刑先に選ばれた人に向かってしか発砲できないんだよ。」
灯火「うわ、ほんとに入ってる。これで殺すってこと?でも本当に殺すなんてやっぱり…」
拳銃、本物かはわからないけど本当にあのピエロは私たちが殺し合うようなことを望んでいるの?
そんなのやだよ。確かに飯山さんとは大した接点も無いし、情があったわけじゃない。でもやっぱり
人を殺すなんて…
???「じゃあ誰かが飯山ちゃんにむかって拳銃を撃ってね。もし誰も撃たないなら皆死ぬからね」
皆死ぬ、不穏な言葉を残してピエロが映っていたモニターの映像がきれた。どうしてだろうか。
なんで私たちが急に集められて、こんなことしなければいけないのか。皆何も動かず黙りこくって
しまう。飯山さんは拳銃を持って何か叫んでいる。
飯山「この拳銃は誰にも渡さない!私を殺すなんて許さない。私は生きる、誰にも邪魔させない」
半狂乱になっている飯山さんから拳銃を奪い取ったのは野々市くんだった。何も言わずそっと
拳銃を飯山さんから取り上げた。
野々市「俺は君を殺したくはない。でも状況が状況なんだ、許してくれ。命を秤にかけるような
真似はしたくないけど一人の命、十一人の命、どうしたらいいか一目瞭然じゃないかな
人は人を踏み台にして上に上がるんだ。もう、わかったよね。ごめんね」
野々市くんが『ごめんね』といった瞬間にけたたましい破裂音が鳴った。銃声だった。
飯山さんは身体から大量の血を出して倒れていた。段々とむせ返るような血の匂いがしてきた。
すごく辛い、苦しい、でも逃げられない。みんな同じだった。どうしようもなくなって、皆部屋に
戻った。夜に狼の犠牲者が出ないことを祈って。
そして夜が明けた。私たちは昨日話し合いをした場所に集まった。飯山さんの死体はなくなっていた
皆顔を暗くしている。野々市くんは誰よりもひどく暗かった。きっとあの時心を鬼にして、いや、
鬼どころか心を悪魔にしたんだと思う、飯山さんを撃った時一番辛そうに顔をゆがめていたのは彼だった。そして今日の犠牲者は、いなかった。狩人が守ったのだろうか、でも狩人が守るのは霊能だけならわざわざ狼は噛まないだろう。ならどうして何でみんな生きてるの?生きてくれている方がいいけど…
鳥井「みんな思ったはず何でみんな生きているのか。狼はわざわざ霊能を噛んだりはしないだろう
答えは狐だろ?狐を噛んでしまったから誰も死なず生きているんだ。」
言われてはじめてわかった。狐は噛まれても死なない。ということは今日噛まれたのは狐の可能性が高いってこと?狼は確実に分かっていると思う。霊能者の真也を噛んだわけじゃなかったんなら
今日噛んだ人は狐ってことになるから。
妹島「ねえねえ、今日はどうするの?もう昨日みたいな事繰り返したくないよ。でも誰かを
殺さないと終わらないんでしょ?」
妹島さんが言った、彼女は皆が生きるために誰かひとりを殺すしかない、そういう考えに至っているもしかしたら昨日野々市くんが言った言葉が刺さったのかもしれない。私も昨日寝る前に考えた。
飯山さんはどうして死ななければいけないのとも考えた。答えが出るはずもない。私はいつの間にか
寝てしまっていて気づいたら朝だった。
村井「私は何とも言えないけど、やっぱり今日も何か行動を起こさなければいけないと思う。
それができないと皆死ぬ。それだけじゃないかな。」
もう悲劇は繰り返したくない。何としても何か策を講じて皆を救いたい。私の頭では無理かもしれないけれど何とかできないかな。
衷「今日は灯火さんでいいんじゃないかな。今日灯火さんを占ったんだけど人狼だったよ。
だから今日は灯火さんを処刑したい、私は狼をなるべく早く処刑してなるべく多くの人が
生き残るようにしたい。」
衷さんは灯火さんを占ったのか。でもその行為に意味があるのかは甚だ疑問。衷さんは多少の犠牲を払ってなるべく多くの人を救いたい…みんなで生きる方法はないのか。
灯火「私は村井さんを占った。」
村井「あ、私を占ったのね。」
早く占って市民だと言ってくれる方がいいし、占ってもらうに越したことは無い。灯火さんが本物の場合の話なんだけどね。偽物だったら人狼と言われかねない。
大野「村井さんの反応見る限り市民側だろうな。人狼なら占ったと言われたときあんな反応しなさ
そうなんだよね。」
不知火「悠哉に賛成だわ。とても占われて焦っているような感じはしないし、演技で隠している
感じもしないし。」
灯火[ええ、村井さんは市民だったよ」
よかった、灯火さん衷さんどちらが本物かはわからないけど市民側と言われたら少しは安心できる。
よかった。
藍野「なあ今日は衷を処刑しないか?」
藍野くんの言葉に皆が驚くものの納得できそうな感じの人もいる。私は納得できるかな。
何で灯火さん占ったのかわからない、不可解な点はどれだけ些細でもその人自体を疑うことができるもの。
大野「僕は衷でいいと思うな。こんな状態で対抗相手占って何か生まれるの?生まれないよね。」
野々市「ちょっと待ってよどうしてそれだけで空翔を処刑するなんて言うの?止めてくれ、
空翔を今ここで殺す理由はないはずだ。」
野々市くんが少し声を荒げた、普段は騒いでいるのにどこか冷静な野々市くんが。でもねこの状況で衷さんを庇ったら君まで処刑の対象になりかねない。なのに衷さんを庇って意味があるの?
衷「やめてよ!何でそれだけのことで私を殺そうとするの?ひどいよ…」
死にたくないのは私も一緒、でもそれも仕方ない。飯山さんだってそうだったから。
叶山「空翔、絵馬、お前らさっきからそれだけとか言ってるけど、苺だってそうっだったじゃんか。
震えている、それだけの理由で処刑されたんだ。空翔、お前が今怒っているその行為は
昨日あんたが苺にしたこととなんらかわりないんだよ?」
衷さんの表情が変わった。彼女は飯山さんにしたことに気付いた。彼女はひどく項垂れて何も
言おうとはしなくなった。そうしている内に時間が迫ってきた。今日も大野くんが
一人一人聞いていく。衷さんの時に5人手が挙がった。手を挙げなかったのは鳥井くん、野々市くん衷さんだった。そして大野くんが全員分聞き終わったところでモニターに映像が映った。
【今日の処刑先は『衷 空翔』さんに決定しました】