3
──パシッ
伸ばした手が弾かれる。
流石に少しイラッとした美鷹は少し琥珀と距離を置いて頭を冷やそうと琥珀を見た瞬間あることに気がついた。
「・・・っ、、ィ・・・ヤ・・・」
自分の方を抱きながら震えている琥珀の目は一点を捉えて離さない。
それは───
「・・・あ?、もしかしてこれか?」
美鷹はそれを自分の前に持っていくと琥珀はビクッと体を大きく震えさせる。
「これが怖かったのか」
そう。それはつい先程まで吸っていたタバコであった。
「はぁ、ちょっと待ってろ」
美鷹はそのまま立ち上がると1度大きく息を吐き部屋を出た。
まさか煙草を怖がるとは思わなかった。
うる覚えだが、琥珀が住んでいたあの部屋にも灰皿はあった。
ってことはあの女も吸ってたはずだ。
なんであんなに怖がったんだ?
美鷹はリビングにある灰皿にタバコを押し付けながら先程のやり取りを思い出していた。
大袈裟までに震えていた小さな体。
涙に濡れた大きな瞳と怯えた表情。
そして、、
「・・・ぐちゃぐちゃにしてぇな」
何よりも大切にしたいと
大事にしてやりたいと
思う己とは反面
何も知らない真っ白なアイツを
めちゃくちゃにしてしまいたい。
壊してしまいたいと思う自分自身もいることに苦笑をもらすのだった。