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・・・起きたのか?
美鷹は音のした寝室へと急いで足を向けると、被せていた毛布を鼻が隠れるまで引き上げこちらをじっと見つめる琥珀と目が合った。
「おい、」
目が覚めたか?っと続くはずだった言葉は「ひっ、」といった引きつった声によってかき消された。
よく見ると、ベットから起こした肩は毛布の下で大きく震えており
少しでも距離をはなそうと必死に後ずりをする琥珀の目には涙が溜まっていた。
1歩美鷹が近づくにつれ琥珀も後ろへと下がってゆく。
すると、、
「な、あぶねぇ!後ろっ!!」
──ガタンッ
琥珀は必死すぎてもう後ろにはベットが続いていないのにも関わらず、そのまま後ずさりしようとしたため後ろから体制を崩す。
「・・・っ!あっぶねぇ。何してんだバカ!落ちたら怪我すんだろうが!!」
とっさの所で琥珀をささえた雅近はもう一度琥珀をベットの上へと戻し息を吐く。
「ひっ。ご、ごめんなさ、ごめ・・・ふぅ、ふぇっ、ごめ、さいっ」
・・・しまった。
突然のことでつい怒鳴ってしまった。
そう思った時にはもう遅く琥珀はもう完全に怯えて切ってしまい、大きな瞳からは次々と涙がこぼれ落ちる。
「な、待て!俺が悪かった。ほら、泣くな。怒ってねぇから。な?」
「、、っ!!」
この時、美鷹は内心これ以上ないほど焦っていた。
そっと琥珀に手を伸ばしてみるものの、ビクッっと体を揺らしすぐに手の届かないベットの隅へと逃げてしまう。
さらに手を伸ばし近づくと次はベットから降り部屋の隅へと逃られてしまった。
元から小さい体をさらに小さく縮こませてこちらをビクビクと伺っている姿はまるで小動物のようで見ていて可愛らしいのだが、雅近の行動一つ一つが怖いのか行動する度に敏感に反応する琥珀をどう扱っていいのかが分からないでいた。
生まれてこの方、泣かせてきた数は何百とあれど人を慰めたことなどある訳もなくただただ時間だけがすぎてゆく。
「もう泣くな。別に怒ってるわけじゃねぇから・・・な?ほら、こっちに来い」
流石に痺れを切らした美鷹は極力、出来るだけ優しい声で話しかけ少しずつ距離を縮めて行く。
そして、そのまま琥珀へと手を向けると・・・
「・・・・・・っ、・・・や・・・!」