表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼空を仰げば・・・  作者: 葵桜
3/11

3

男の言葉に母親はクスリと笑うと近くにあった椅子へと腰掛ける。


「どうもこうもないわよ。そのままの意味。こいつに言葉なんて分かるはずないじゃない。その辺の犬や猫と一緒よ。説明するだけ無駄。言う事聞かせたかったら殴るなりなんなりしたら大人しくはなるわ。特に今みたいにめんどくさい事になったときはね」


男の腕の中で「ごめんなさい」と泣き続けている琥珀を目で捉えた母親はすっと椅子から立ち上がると躊躇いもなく琥珀の首へと手をかけた。


「ごめんな、、ぁ、かはっ、、っっつ!!」

「五月蝿いわね。このクズが。誰が喋っていいって言った?あんたは大人しくこの人たちについて行けばいいんだ、「てめぇ!!」きゃぁっ!!」



加減なく琥珀の首を締め付ける母親を男はすぐさま蹴り飛ばし、慌てて後ろで控えていた右京が押さえつける。



「っ、げほっ、けほ、っぁ、はぁ、、あ、けほっ」

急に入ってきた空気に咳き込む琥珀の背を撫でながら男は母親を睨みつけた。


「てめぇ、俺のもんに手ぇだすとはいい度胸じゃねぇか。こいつはもう俺が10億で買ったんだ。それともぶっ殺されたいか」

「ちっ、なによ。ならさっさとそのクズを連れて帰りなさいよ。目障りだわ。」


右京に押さえつけられた母親は蹴り飛ばされた時に口を切ったのか口の端が赤く染っていた。


「・・・右京。行くぞ」

「はい」


男は琥珀を抱え直すと床に落ちたスーツの上着で琥珀を包み込み玄関の方へと歩き出す。


後ろからは右京が少し距離を開けてついてくる。


「か、母さん……」



琥珀は、男の肩から母親に手を伸ばして見るが、、



「ふん。母さんだなんて呼ばないでちょうだい。気持ち悪いのよ。どうして、あんたなんかを産んだのかしら さようなら。」



そう言うと、母親はくるりと机に向かうと、なにやら大量の紙の束を笑顔で机に並べ始めてしまった。



これが琥珀が最後に見た母の姿だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ