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VSペット怪人ジュージーン:敗北ルート(前編)

◆敗北ルート「もしもホムラがペットにされちゃった場合」

「わっふふ~ さあ、観念して私のペットになりなさ~い」


 ちりんちりん。ホムラに向けて、あの鈴がまた鳴らされる。


「ケモケモ・メタモル・リンリ~ン!」


 ぐるぐるぐると世界が回るような眩暈を覚え、ホムラの目が焦点に合わなくなる。そして、思考がぐにゃぐにゃになって、だんだん体が心地よくなっていくのを感じていた。


 攻撃しかけようと思っていたことがバカなことだと気づき始め、どうしてそんなことをしようと思っていたのか理解できないと思うようにさえなってきた。


 何故って、今ホムラの目の前にいるのは敵なんかじゃなく、ホムラのご主人様だからだ。


「ワゥン」


 両手をきちんを前に置いて、おすわりポーズになって、ホムラがジュージーンを見上げる。その姿は半分獣なんかじゃない。もう子犬そのもの。


「ほぅら、ごろんってして」


「わふっ」


 ジュージーンの一声で、ホムラは何の違和感も持たずにその場の地面にごろんと仰向けになり、お腹を見せる。まるで動物の服従のポーズのよう。完全に無防備でどんなことをしても受け入れてしまう体勢だ。


「わっふふ~ん。こんなダボダボのスーツなんて脱いじゃいましょうね~」


 スーツの中からはもうほとんどすっかり子犬と変わらない小さくてかわいいもふもふの柴犬みたいなホムラが姿を現した。服のサイズもかなりダボダボとなっており、脱がすのにもそこまで手間は掛からなかった。


「わーぉ、かぁ~わいぃ~ワン」


「はふ、はふ、はふ……」


 ごろんとした仰向けのまま、子犬のホムラは熱っぽく息を荒げていた。


 こうやって無防備な格好のまま、しげしげと眺められているせいか、ホムラの口はぽっかりと開いたまま、興奮気味にだらだらとよだれを垂れ流していた。


「そんな捨て犬みたいな顔しちゃってもう」


 返事なのかなんなのか、くぅんと気持ちよさそうにうなる。これにはジュージーンも、やれやれとため息をついた。


「ちょっとだけ戻してやるか」


 そういうとジュージーンはしぶしぶと鈴を取り出し、またちりんちりんと鳴らす。するとホムラはまたしても目をぐるぐると回し、ぱたりと気を失う。


 そして、全身のもふもふの毛がまるで引き潮のようにサァーっとなくなっていくと、次の瞬間には元の人間の姿のホムラが眠るようにくったりとしていた。


「さあ、起きなさい」


 パンパン、と手を叩くとホムラはすぐさま目を覚まし、服従ポーズからおすわりポーズに戻る。


 先ほどと違うところといえば、もふもふの毛もなくなり、スーツも脱がされてしまったからすっかり裸んぼうの少年の姿になっているところくらいだろうか。


 しかし、ジュージーンの鈴の音が大分効いてきているのか、反抗的な意思はホムラには何もなかった。


「そういえば、キミの名前、なんだっけ?」


「ホムラ。火乃ホムラです」


 目を輝かせるようにして、ホムラはジュージーンの問いに素直に答える。すっかり従順になっていた。まるでよく躾けられたペットのようだ。


「そう、ホムラクンね。いい子いい子」


 ジュージーンがまた頭をそっと撫でる。


 それを待ってましたと言わんばかりに、ホムラが心地よさそうな笑みを浮かべてジュージーンの差し伸べる手を受け入れていた。


 そうしているうちに、ジュージーンにキュンキュンとくるものがあったのが、ホムラに対して特別な何かが沸いてきた様子だった。


「ほれほれ、ホムラクン? これが何だか分かるぅ?」


 そういってジュージーンはドッグフードの一欠片をちょいとホムラに差し出してみせる。


 今のホムラは犬ではないのだが、まるでそれが喉から手が出るほど欲しくなる宝石か何かを見るような目で釘付けになってしまう。


 そして、今にもジュージーンの差し出す手に食いつこうとした、その瞬間だ。

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