VSおもらし怪人ホーニョーン:敗北ルート(後編)
◆敗北ルート「もしもホムラがもらしちゃった場合」
「私はこの身体の中でさまざまな液体を自在に生成できるんだにょ~。今、お前に飲ませているのはとびっきり吸収力が高くそのまますぐにおしっこ袋に運ばれていくおしっこ薬だにょ。にょほほほ~」
そんな無茶苦茶な話が聞こえているのか聞こえていないのか、ともかくホムラはとめどなく溢れてくる尿意に抗えない。
「ぁぁ……、ぁあぁー……」
一度死を覚悟して諦めてしまった心もポッキリと折れたまま戻らず、理性とか抑制力のようなものも、全部おしっこと共に出してしまっているかのよう。
ホムラは液体を飲まされるまま飲まされ、ポンプのようにおしっこをじょぼじょぼと垂れ流していた。
まるでおしっこをするためだけに存在するおしっこポンプにされてしまったホムラは、放心状態。飲まされているのか出しているのかも分からなくなるくらい、焦点の定まらない目が、宙を泳いでいた。
「にょんっ」
ホーニョーンが小さく合図する。すると、突然ドバドバと放出されていたホムラのおしっこが蛇口をひねったかのようにピタリと止まる。
「はぇ……?」
「ほ~にょ~んっ!」
「んんむぅぅぅ~~っっ!!」
かと思えば、またホムラのおちんちんから噴水。
「にょんっ」
ピタッ。また噴水が止まる。
「ふぅ……、ふぅ……」
「どうだにょ? お前はもう、自分じゃおしっこできないんだにょ」
これぞまさしく、おもらし怪人の真の力だろうか。おしっこを完全にコントロールしてしまうだなんて、なんて無駄な能力なのだろう。
おしっこしたい。しかし、今度はどういうわけか、どんなにお腹に力を入れても、ホムラは自分でおしっこができなくなっていることに気付いた。
ホースから無理やり飲まされる液体は止まることなく、今もホムラの膀胱の中に溜まっていっているというのに、栓をされたかのようにピクリともおしっこは出てこない。
これもホーニョーンの能力のせいなのか。それを理解したところで、もはやこの状況下で打開策などあるわけがなく、押し寄せる尿意に、また両足をもじもじさせるしかなかった。
「おひっこ……、おひ……っ」
口にすっぽりハマりこんだホースにギリリと歯噛む。涙やら鼻水やらでぐじゃぐじゃになったなさけない顔を晒しながらも、ホムラはおちんちんの先のむずむずに身体をくねらせていた。
「痛たっ……、あんまり噛み付いたら痛いにょっ」
きゅぽんっ、とホムラの口からホースが抜けて、ようやく開放される。
しゅるしゅるしゅる。ホースの先はまた霧の向こうへと消えていくが、開放されたところで、ホムラの口から出るのはもう威勢のいい言葉なんかではなかった。
「お、おし……っこ、……おし……っこ、させ……て……」
ヒザとヒザをくっつけてもじもじダンスしながらも、ホムラはおしっこを懇願してしまっていた。
何せ、無理やり飲まされては出させられてを繰り返されて、公園のホムラが立っている周辺はすっかりおしっこまみれの水溜りになっていた。
もう何日分のおしっこをこの短時間でさせられたことだろう。
日常生活ではありえない量、ありえない恍惚感を一気に味わってしまったホムラにはこれ以上我慢するなんて心は残っていなかった。
正義感に強い少年ヒーローの姿など、もうそこにはなく、ただただおしっこしたくてしたくて仕方がない子供がポツンと立っているだけ。
「ほ~にょにょ~っ♪ その顔、その顔いいにょ~♪ とろっとろのまっかっか。か~わいいにょ~♪」
もっと近くで見たくなったのか、霧の向こうからホーニョーンがホムラの前へと姿を現す。
あまりにも無防備だが、もはやホムラに戦意がないことを把握してか、堂々と真ん前まで来て、尿意に踊るホムラを楽しいオモチャか何かのように眺めてニヤニヤとしていた。
「にょほほほほっ~。とどめをさしてやるにょ!」
「にゃ……にゃにを……?」
もう滑舌も崩壊するレベルでどうしようもない状態になっているホムラが涙目でホーニョーンに「もうやめてくれ」と訴えかける。
だが、相手は怪人。非情だった。
「ほ~にょ~んっ!」
さっきの合図を出す。おしっこの合図だ。
「ほ~にょ~んっ!」
また、重ねがけて合図。
「ほ~にょ~んっ!」
さらに、合図を重ねる。
「も、ら、めらぁ……っ! あああ、ああぁぁ……、うああぁぁっっ……!!」
ホムラは次の瞬間、おしっこのタンクが破裂したかのような錯覚に陥った。
さっきまで泣き顔になるほど我慢できないくらい溜め込んでいたたっぷんたっぷんのおしっこが飛び出してこようとしていたのだから。
バシャァ。とうとうホムラの両足が力尽きて、その場に、自ら作ったおしっこの水溜りの上に仰向けに倒れる。そしてピンと空に向けて反り勃ったホムラの小さいおちんちんの先からそれが溢れ出す。
プッシャアアアアァァァ。
ホムラがおしっこ噴水と化していた。空に打ち上げられた大量のおしっこはそのままホムラにシャワーとしてバシャバシャと降り注いでくる。
「あへへ、あひゃ、あひゃひゃ、はぁ……っ」
噴水ホムラはもう全身おしっこまみれでびちゃびちゃになっていたが、タガが外れたかのように笑っていた。
おちんちんもすっかり壊れた蛇口のようにぴゅーぴゅーと噴き出して止まらず、時折ピクンピクンと痙攣したかのように小刻みに身体を震わせていた。
それがどれだけ続いたか。
数分だったか十数分だったか定かではない。
ともあれ噴水の勢いはすっかり収まったが、ホムラはまだ正気には戻れておらず、おしっこの水溜りの中でちゃぷちゃぷと、泥んこ遊びする幼児のように呆けていた。
辺りの霧もすっかり晴れており、その周囲が雨上がりの水たまりのようにおしっこまみれでなければ、まるで何事もなかった公園の一風景の、平穏のような光景がそこにあった。あまりに一方的だった戦いもようやく終えたらしい。
「ほにょ~ん」
耳元で小さく呟く。ホムラのおちんちんがピクンと動く。
ホムラのおもらし体質が完全に定着したことを確信する。
「今日は楽しかったにょ、ファイターボーイ。お前の心にも身体にも、おもらしの快感が染み渡ったにょ。これから気持ちいいと思うようなことが起きたら、お前は自分の意思に関係なくおもらししてしまうにょ」
ホーニョーンはまた「にょほほ」と満足そうな笑みを浮かべて、おしっこまみれのびちゃびちゃホムラを見下ろし、また屈んで顔を覗き込み、かわいい自分の子のようにそっと頬を撫でる。
「お風呂に入ったときとか、お布団で眠るときとか、スポーツで身体を動かしたときとか気持ちいいときゼーンブ。にょほほ、お前はおもらししてしまうんだにょ」
ぷにぷにと、ホムラをつついてホーニョーンがまたにへりと笑う。
「また会うときがあれば、遊んでやるにょ。おもらしヒーロー君」
それだけ言い残すと、すくりとホーニョーンは立ち上がり、おしっこまみれのホムラを後にして公園から静かに立ち去っていった。
後に残されたホムラはといえば、あへあへとおかしな笑い声を上げながら、白目をむいて気を失ったまま。
その後、救助が来たのはまたしばらく後のこと。
駆けつけてきた救助隊員の応急処置の末、病室で気が付いたホムラに理解できたことは、自分がおもらし体質になってしまったことと、怪人に敗北してしまったということ。
そして心の奥底でまたあの怪人に会いたいという気持ちが密かに芽生えていた。
恐怖とも違う、不安とも違う、不思議なその感情の正体を、まだ少年であるホムラには、ハッキリとさせることはできないのだった。
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