死期
眠るアキラが目を開けると、そこは真っ暗だった。ガバッと勢いよく起き上がり自分の体を見る。そこには何の傷もない。
「どこだここ」
周りを見渡すが暗すぎて何も見えない。
「確か胸を貫かれて……死んだのか」
とりあえず立ち上がり、あたりを見渡しながら歩いてみる。歩けば歩くほど闇は深くなり、自分の体もまるで闇に溶けるかのように見えなくなっていく。そのことにわずかに恐怖を抱きつつ、それでも前に歩みを進めていく。
「真白たち大丈夫かな」
自分が異世界で出会った少女の顔が脳裏に浮かぶ。最初は弱弱しかった彼女だが、最近は表情が豊かになり、目標をもって前に進む強い瞳をするようになった。
「アリサには……悪いことしたな」
この世界にきて最初に出会った少女のことを思い出す。魔道具についてイキイキと話す彼女の笑顔を思い出し、アキラの顔が寂しそうに曇る。
「まぁ、これでやっと母さんたち会えるか」
亡き両親の姿を脳裏に描くと、今まで暗かった世界が急に明るくなっていく。
「なんだ!」
あまりのまぶしさに、思わず手で目をかばう。光が収まって顔を上げると。黒かった世界が真っ白になっていた。正面には神々しく輝く大樹が堂々と佇んでいる。その根元に見覚えのある人影が見えた。
「……母さん……父さん……」
在りし日の両親の姿に、突然目の前が曇ったように見えなくなる。近づくと二人の表情が見えてきた二人とも柔和な笑顔を浮かべている。
「母さ……ん!」
母親がアキラの顔に手を伸ばす。その母の手がアキラの頬を勢いよくひっ叩いた。
「母さん?!」
叩かれた頬を抑えながら母を見る。その顔は微笑みを称えているものの、よく見ると青筋が浮かんでいる。父は気まずそうに苦笑するばかりだ。
「しゃんとしなさい!あなたにはまだやるべき事があるでしょう!」
響く怒声が大樹の枝を揺らした。
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