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戦士の正体

土煙が晴れるとそこには、肩で息をするアキラが膝をついていた。足はバチバチという音をたてて稲妻が奔っている。アキラを目にした真白が駆け寄っていく。


「お兄ちゃん!!」

「来るな!」


アキラの怒鳴り声に、真白の動きが止まる。次の瞬間、アキラの姿が消える。それから轟音が鳴り響き、先ほどまでアキラがいた場所にクレーターのように地面がへこむ。次に音が聞こえたのは、玉座の後ろの壁だった。そこには、獣人の戦士が壁にめり込み、その体に突き刺さんばかりに蹴りを入れているアキラがいた。


「速い……全く見えなかった」


レオンが呟くと、アキラが蹴りの反動を利用して、真白たちの近くに着地する。足の稲妻はなくなり、代わりに、血が噴き出していた。


「お兄ちゃん大丈夫!?」


真白は、足が赤く染まっていくアキラを見て心配する。


「大丈夫だすぐに止まる」

「すぐに止まるって……何したらそうなるのよ」


ノアールも足の傷を見ようとすると、アキラの足が黒い靄に包まれる。靄が晴れると元の

健康的な足に戻っていた。


「少し無茶しただけだ」


ガラガラと音を立て、壁がはがれ落ち、同時に獣人の戦士も床へと落ちる。地面に激突する寸前で体勢を立て直し見事に着地した。


「ば、馬鹿な……」

「ウソ……」


獣人の戦士を見てレオンとルーナの二人が固まる。


「「ウルス様……」」


ふたりは同時に戦士の名前をつぶやく。


「ウルスって、あのウルスですか?」


アキラは二人が呟いた名前に心当たりがあった。ここにきてから、スマトリプタン王国で目にしていたからだ。


「初代勇者パーティ【武神】のウルス」


それは、アキラが読んだ初代勇者の物語で登場した獣人の戦士の名だった。昔に死んだ人間が目の前で戦っているという状況に一瞬混乱するものの、ウルスとゾラは容赦なく先頭へ入る。とっさに動けた、アキラと真白、ノアールの三人が二人の攻撃を受け止める。


「レオンさん!ルーナさん!」


アキラの声に我に返ったレオンたちも戦闘へ参加する。真白、ノアール、アキラがウルスと相対し、

ルーナとレオンの二人がゾラに向き合う。真白は不意に視線を感じ、先ほど崩れた壁の先を見る。一瞬小さな二つの緑の光が瞬いたように見えた。


最後まで読んでいただきありがとうございます

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