入城
ダンゾウの自爆からフォグをかばったノアールが、苦悶の表情を浮かべながら倒れこむ。
「お姉ちゃん!」
真白がすぐさまノアールに駆け寄る。ドレスの背中は焼け落ち、見える素肌ところどころ焼けただれ、痛々しかった。ノアールは駆け寄ってきた、真白に笑顔を向け、その頬を撫でる。
「心配しないで真白。これくらいなんてことないわ」
そういうとノアールの体がかすかな光に包まれていく。
「お姉ちゃんやだよ!」
消えてしまうと思った真白が、強くノアールの手を握る。ノアールの体が完全に包まれた。そして、光が収まる。するとそこには、戦闘前と変わらないノアールの姿があった。
真白を強く抱きしめると、目の前で放心しているフォグが目に入った。
「父さん……なんで」
わずかな黒染みを残すだけの爆心地を眺めている。
「立ち止まってる場合じゃないでしょう?」
ノアールの声にハッと我に返ったフォグは、ノアールを親の仇を見るような目でにらむ。
「何?今度はあなたが敵になるの?」
ノアールがフォグの視線にあきれながら言うと、フォグが腰の短刀に手をかける。しかし、突如動けなくなる。
「マダ、ヤルノ?」
抱きしめられている真白から、殺気が漏れている。子供が放つには濃密すぎるさっきに、歯がガチガチとなる。
「いえ……先を急ぎましょう」
同時にさっきが消える。立ち上がったフォグは、まだ体に残る恐怖を振り払うように走り出した。それにノアールたちが続く。
『悪魔のようなさっきを放つ子だ……』
わずかに振り返って真白を見る。先ほどとは打って変わって、朗らかな笑顔でノアールと並んで走っていた。
しばらく走ると、特に襲撃もなく秘密の入り口にたどり着く。内側から扉を開けると、レオン、ルーナ、ジャク達が率いる本隊がいた。真白はレオンとルーナに駆け寄る。
「真白ちゃん大丈夫だった?」
ルーナが優しく抱きしめる。
「ケガはないか?」
レオンが心配そうに声をかける。
「うん!大丈夫!いっぱい敵倒したよ!」
「そうかそうか。えらいな」
嬉しそうに報告する真白の頭を優しくなでる。真白も少し照れたように、はにかみながら撫でられる。
「そろそろ行かないか?」
これから決着をつけるというのに、ほっこりしてしまった空気をジャクが咳払いをして元に戻す。
「そうですね、行きましょう。真白ちゃんノアールちゃんもう少しだけ手を貸してください」
「もちろん!」
「真白が行くなら私も無論よ」
ルーナは真白を離し、先頭に行く。
「行きましょう!必ず私たちの国を取り戻します!」
ルーナの宣言に全員が拳をあげて続く。
玉座に座るゾラは、おもむろに立ち上がり後ろを振り返る。
「私は獣人の誇りを取り戻すのだ……」
誰に向けたわけでもないつぶやきが、誰もいない部屋に響いた。
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