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ノアールVSダンゾウ

 獣人国イソバイド、隠密第三部隊隊長フォグは、両親がいない。二人とも任務の中で、殉職した。それを引き取ったのがダンゾウだ。ダンゾウは、任務で亡くなった同朋の子どもを引き取り育てていた。それが、未練なくあの世に送ることが出来ると信じていたからだ。フォグたちにとって、ダンゾウは第二の母であり父だった。だから、この反乱もダンゾウ側に着いた者も少なくない。しかし、フォグは敵対を選んだ。優しく、時には厳しく育ててくれたダンゾウがなにもなく敵側についているとは思えなかった。その真相を知るためにこちらに着いた。何かの間違いであってくれ。任務の一環で会ってくれと願いながら。


「ダンゾウ様!教えてください!なぜ!こんなバカげたクーデターに!」


短刀を重ねながら問いかけ続けるフォグの腹に、容赦ない蹴りが飛ぶ。


「お前は人寄りだからわかるまい。わしらがどれだけの屈辱を人という種族から受けたのか!」

「そんな事……」


フォグのセリフの途中で大鎌が横なぎに振るわれる。フォグは咄嗟にしゃがみ込み、ダンゾウは後ろに跳ぶ。明らかに不機嫌そうな顔で、大鎌を構えるノアールが、しゃがみこんだフォグの前に建つ。フォグはその背を見る。


「ごちゃごちゃうるさいわね。さっきも言ったけど戦う気がないならどいててくれる?邪魔」

「あなたこそ邪魔しないで!今私は……」

「どんな理由なら納得できるの?」

「へ?」

「このおじいちゃんがどんな理由を述べたら、こんなバカけた虐殺をしたことに納得がいくの?もうどんな理由を並べたって正当化できる範囲を超えてるわ。仮に任務だったとして、それで、このバカたちがしでかしたことはじゃあしょうがないかって許せるの?奪われた人の気持ちはどうなるの?もう引き返せないのよ。あなたもこのおじいちゃんも敵対して、戦場で会ったのなら殺し合わないといけない、そうでしょう?おじいちゃん」


同時にいつの間にか首元のナイフを突き立てようとするダンゾウを躱しながら訊ねる。


「そうじゃ。わしは誇りのために成した。後悔はない」


戦闘が始まる。神出鬼没の急所を狙うダンゾウと、舞のように躱すノアール。その様子は殺し合いと

いうより、まるで舞踏会のようだ。


「やるな、こちらも本気で行くぞ」

「手早く終わらせましょう」


ダンゾウが、腰から巻物を取り出す。巻物広げると二本の短刀が現れる。一本は禍々しい黒い短刀。もう一対は神聖な雰囲気を纏った白い短刀。


「行くぞ」


ノアールが、ダンゾウの黒い短刀を受け止めると、鎌が消える。ノアールは目を見開いた。その隙を逃さず、白い短刀でノアールを斬りつける。すんでのところで躱すも、手をかすり、じんわり血が湧き出る。突如ノアールの視界が白で塗りつぶされ。


「どうだ?見えんだろ?」


光のの中から、ダンゾウの声だけが聞こえる。


「黒刃は力を消し、白刃は五感を消す」

「厄介ね」


ノアールは、ゆっくり目を閉じる。相変わらず視界は白い。大鎌を再度影から取り出し、音のみを頼りに相手を探る。捕えた気配に、大鎌振るう。また消える。そして、白刃が来る。事は無かった。


「どこだ!」


ダンゾウの焦った声が聞こえた。


「視界を奪うのはあなただけの特権じゃないのよ」


砕けた鎌のかけらが靄に変わり、ダンゾウの目を覆っている。


「私は闇精霊なの。視界程度さした問題ではではないわ。でもあなたは……どうかしらね」

「なめるなよ、小娘」


お互い、視界を奪われ、互いに気配を感じながら、感覚のみで戦う。白人を受けては壊れる武器を即座に影から引き出して戦う。お互いに見えているのではないかと疑うほど、正確にお互いの位置を把握して戦っている。ダンゾウが懐から、投げナイフを投げる、それは、ノアールを通過して後ろの柱に刺さる。ノアールが白刃を受け止めるとまたあ武器が消える。すぐに武器を取り出そうとすると、ダンゾウがノアールの足元にナイフを突き刺す。すると、刺さっていたナイフが光り、ノアールの体を二本の鎖が巻き付いて、拘束する。白刃をノアールの首元に突きつける。


「カハッ」


短い息と共に、吐血する。


「ダンゾウ様!」


フォグが叫ぶ。ダンゾウの白刃はノアールの首元で止まっており、その体には、ノアールの影から飛び出た剣が突き刺さっていた。ダンゾウの手から短刀が滑り落ち、鎖が消えた。ノアールの視界がクリアになると、虫の息のダンゾウを抱えるフォグが見えた。


「ダンゾウ様!ダンゾウ様!おとうさん!」


フォグの体がダンゾウの血で染まっていく。


「フォグ……」


口から血を流しながら、フォグの顔に手を添える。


「わしの娘……」


そう言って、手が力なく垂れさがる。わずかにその体が光っていた。その様子をみたノアールは、突然声を上げる。


「はなれて!」


ノアールがフォグに覆いかぶせる。すると、ダンゾウの体が爆発した。爆風からフォグを庇うノアールの背中が派手に焼けた。


最後まで読んで頂きありがとうございます!

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