戦士
再び対峙する二人の間に、張り詰めた空気が流れる。突然、笛の音のようなけたたましい音と同時にオレンジの煙を放つ矢が上空を切り裂いた。
「良かった成功したんだ。こっちもなんとかしないとな」
アキラが言い終わると同時に戦士が襲いかかる。
『速くなくていい。体の軸を使って、無明のように最小限で……』
軸足を起点に相手の拳を避ける。見た目はギリギリだが、心の余裕が先ほどとは違う。反射神経で避
けるのではなく、次の攻撃を予測して避ける余裕があった。
「あまり長くは無理だな。そろそろ教えてくれよ?お前はどこのだれで、何故革命に手を貸した?」
「…………セ……」
わずかに戦士の口から洩れた、かすかな声を聞いた。
「なんだって?」
聞き返すと、戦士は大きく腕を地面に叩きつけた。アキラは跳びのき避ける。大地が割れ、あたりに破片を飛ばしながら大きく陥没する。
「……コ……セ」
なにかをブツブツ呟いている戦士の姿はどこか痛々しかった。
「本当になんなんだ?」
再び戦士は野獣のように襲い掛かる。それを躱し、空いた胴に刃を滑り込ませる。刀の刃はわき腹を捉え切り裂いた。しかし、感触が浅い。
『なんだこの感触?さっきまで切ってきた獣人の兵士達とは違う。まるで固まった粘土を斬ったような感触だ』
相手を見るとわき腹から赤黒い血が一滴落ちる。
「……ロ……」
未だに念仏のようにブツブツ呟く。戦士の動きが、鈍くなってきたのを見逃さず。今度はアキラから仕掛ける。戦士は、アキラの剣撃を華麗にかわす。その過程で今まで深くかぶっていたフードが取れる。そこには、熊の耳を生やした人寄りの獣人の顔があった。アキラはその顔に同様し、思わず動きを止めてしまった。
「なんで……」
それは、その顔が知っている顔だったからではない。人寄りの獣人だったからではない。
「何であんた……グッ」
言い切る前に戦士の拳が腹に刺さる。吹き飛ばされたアキラは立ち上がりこそするが、刀を構えない。
「何であんた泣いてんだよ!」
アキラが動揺した理由は、あれだけ容赦ない攻撃をしてきた相手が、革命時、血も涙もない行いをしたと聞いた戦士が、顔を歪めて泣いている。その表情には悔しさがにじんでいた。
「コロセ!!!!」
戦士は今まで呟いていただけの言葉を、すがるように叫んだ。叫びは倒壊した壁を震わせ、その一部がガランと崩れ地面で砕けた。
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