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進め

 あたりに敵味方の死体が横たわり、血の匂いがする。アキラが何人目か分からない敵を切り捨て、頬に飛んだ返り血を拭う。回りを見ると敵の数が減り、こちらのゆうせいとなっていた。


「アキラ君大丈夫か?」


急に声を掛けられ、刀を向ける。しかし、すぐにリグだと気づき警戒を解いた。


「初にしては大戦果だな」


アキラの切った敵を見ながらリグが言う。


「もう大丈夫なんですか?」

「あぁ、大丈夫だ。ここまで優勢なればな。しかし、ふさがれた道をどうにかしないと」


そう言った瞬間一つの通路から轟音と共に、何かが飛んできた。咄嗟に躱すとそれは、レジスタンスの兵士の死体だった。跳んできた方を見ると、穴が開いた崩れたがれきを背に黒いボロ布を頭からかぶる大男が立っていた。


「あれは?」

「来たな、敵の【主力】が」


リグとアキラが構えると、大男が消えた。次の瞬間、アキラは腹部に衝撃を感じる。そのまま後ろに飛ばされ、壁にぶつかった。肺の空気が強制的に吐き出され、カハッと短い息を吐く。グラつく視界に大男がまた姿を消したのを確認した。


『来る!』


本能で察したアキラは咄嗟に横へ飛ぶ。バァンという炸裂音と共に先ほどまでアキラの頭があった位置に丸太のような腕が突き刺さる。リグの方を見ると、彼は唖然とこっちを見ていた。どうやらアキラだけを意図的に狙っているようだ。


「リグさん!こいつは引き受けます!先へ!」

「いやそれは!」

「早く!」


そうしているうちに、大男はがれきに埋もれた腕を、乱暴に引き抜いた。アキラは、合掌する。


(てん)十二単(じゅうにひとえ)


アキラの体が魔力の光に包まれる。いつもより、魔力の光が濃い。


「来い!」


刀を構える。大男から突き出された拳を紙一重で躱し、懐に入り、腕を斬りつける。カキンという音と共にはじかれてしまう。無防備になった腹に先ほどと同じような衝撃が奔る。しかし、今度は吹きとされず、踏みとどまった。


『穴開いてねぇよな』


自分の腹を一瞥する。ちゃんとそこに健在なのを確認し、大男を見る。大男は俺と後ろのレジスタンスを交互に見ている。アキラはリグを振り向き、叫びに近い声を腹の底から出す。


「リグさん!ススメェ!」


そして、右手をリグたちにかざす。すると、リグとアキラの中間地点から黒い壁がせりあがった。アキラが暗黒魔法で作った壁だった。リグの視界から消える寸前、アキラは拳で胸を叩いていた。


「任せろってことか。生き残ってるやつは集まれ!道を切り開くぞ!」


リグは生き残ったメンバーで王宮を目指す。決してアキラを振り返らない。男が任せろといったのだ。それを信じて疑わない。そんな意思を示すように力強く前へと進む。



最後まで読んで頂きありがとうございます!

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