市街地戦
アキラは虎の獣人リグが率いる部隊と共に、王都へと進軍していく。眠っているように静まり返る街に足を踏み入れた。
「静かですね」
「妙だな」
アキラもリグも周りを警戒しながら進む。ここまで、特に妨害もないどころか、街の中に兵の姿もない。アキラたちの目的は、王城までの通路の確保だ。街に入ってからの戦闘が想定されていたが、それは無い。まるでジオラマのように、店や家屋がただ並んでいるだけだ。広場らしきところに出ても敵影は一切ない。
「全員王城ですかね?」
「その可能性が高いか……一部を残し、王城に向かおう。五班と三班はここに残り、市街地を探索!
あとは、私と王城へ向かうぞ!」
リグは指令を告げ、前に進もうとしたとき、いくつかの家屋から爆発が起きた。がれきが通路をふさぎ、戦力が分断される。アキラたちの前に、家屋に隠れていたのであろう兵士達がぞろぞろと現れた。分断され、通路に取り残されたレジスタンスの兵士たちの方から悲鳴と衝撃音が聞こえる。がれきで見えないが向こうも奇襲を受けているようだ。
「来たな」
リグはすぐに指揮を取り、兵士達とぶつかった。辺りに複数鳴り響く金属音。その間を縫て肉を斬る生々しい音が聞こえる。罵声や怒声が飛び交い、徐々に血の匂い漂う。アキラは体が動かなかった。
『これが、戦争……』
恐怖と迫力に圧倒され、戦争前に決めた覚悟が揺るぎそうになった。
「アキラくん!」
リグの声に我に返る。目の前に剣を振りかぶる獣人の兵士。アキラは、後ろに跳んでなんとか避けた。
「人間が何故ここにいる!まぁ良い。いい機会だ、お前らに受けた屈辱ここで晴らしてやる!」
そう言って憎悪の瞳がアキラを捕える。以前スマトリプタンから脱走したときに追いかけてきたゲルニカが重なる。震える足で地面を踏み鳴らした。石畳と靴がカンという音をたてる。
「行こう」
誰に告げるわけでもなく呟き、刀を抜いた。
「ああああああああぁぁぁぁあああ!」
雑念を振り払うような絶叫と共に、相手の剣をはじき、その腕を斬り飛ばした。
「アアアアアアアア!」
相手が、痛みに叫ぶ中、その胸を突き刺し止めを刺した。殺したい当てを気にすることなく次の相手へと意識を移し、アキラも戦闘の渦へと飛び込んでいった。
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