決意
レジスタンスの隠れ家についたアキラたちは、机を囲む。真白はルーナとノアールに付き添われ寝床へ行った。
アキラとレオンが用意された席に着くと、向かいにジャク、そして、虎の獣人、熊の獣人そして、猫耳を生やした女性が座る。それぞれ、レオンの知り合いらしく、ここで合流した際に互いに再会を喜び手を握り、抱擁を交わしていた。
「レオンは知ってると思うが、アキラ君のために紹介しておこう。こちらの熊の獣人がフォグ。元イソバイド陸軍王都守護部隊の隊長だ。虎獣人は元イソバイド陸軍特別攻撃大隊隊長だったリグ。そして、最後に猫獣人の第三隠密部隊隊長だったリサだ」
「隠密?」
アキラの頭に、カロナールで自分たちを襲ってきた集団が思い浮かぶ。すると、リサは深く頭を下げた。
「元とはいえ、私の仲間があなた達に危害を加えたようで、申し訳ございません。しかし、言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、私たち第三隠密部隊は、革命当初国外での任務にあたっておりました。そのため、現政府とは無関係です。すぐには信用できないと思いますが、ジャク様のお力になって頂けませんでしょうか」
特に責める気は無かったアキラは焦りながら、リサに頭を上げさせる。
「いやいやいや、責める気は無いんです。自分もおそらく皆さんの信用を得られないと思うので」
アキラの言葉に首を傾げる、イソバイド側にアキラは手を広げその上に黒い靄を出現させる。それを見た、リサたちは武器を構え臨戦態勢に入る。
「俺の名前はアキラと言います。この通り、暗黒魔法を使えます」
「君は魔王なのか?」
剣を抜いているジャクが訊ねるが、アキラは首を横に振る。
「暗黒魔法が使えるだけで、魔王を名乗ったこともコレで誰かを傷つけたこともありません。信じてもらえないでしょうけど」
アキラの脳裏にスマトリプタンでの出来事が脳裏をよぎり体がわずかに震える。そんな様子のアキラを見て、ジャクは剣を納め、他の三人にも武器を下げさせた。
「レオン君は彼を信頼しているのか?」
「はい。彼はただの心優しい青年です。少し抱え込みすぎるようですが」
即答したレオンのアキラを見る目はまるで子供を見る父親のように温かかった。
「そうか、なら私たちも彼を信じよう」
そう言ってジャクはアキラの肩に手を置いた。手から暖かさとわずかな振動が伝わってくる。
「さて、ではどうやって城を落とすか話し合おう」
ジャクたちは改めて席に着く。
「レジスタンスの戦力はどれほどなんでしょう?」
「十万だな」
「多いですね……敵の兵力はどれほどかわかってますか?」
「あぁ。約二万程だろう。
「少な!」
思わずアキラが声を上げる。
「その通りだ。今回の革命、成功したのが不思議なほど相手の兵力が少ない」
「そんなのもう、数で押しかけて終わりなのでは?」
「最初はうちには十五万の兵力があった」
「え?」
「住人たちを隠すため、奔走していた際、敵に見つかり包囲されたことがある。それを救出するため、そして敵側の戦力を削るために約三万の軍勢を送った」
ジャクが俯く。
「帰ってきたのは百人だった」
「なっ!」
レオンが目をむく。
「帰った者の話では、やったのはあの正体不明の獣人だそうだ。さらに、あいつの魔法にはある特性があることが分かった」
「それは?」
「毒だ。遅効性の毒で最初は風邪のような症状なのだが、三日もすると体が動かなくなり、五日もすると吐血し死亡する。帰ってきた百人はそれで死んだ。しかもこの毒は……」
ジャクが顔を歪めて、膝に置いた拳を握りしめる。それを見てアキラが思いつく。
「まさか、感染するんですか?」
アキラの答えに悔し気に頷く。
「気づいたときには、かなり広がっていた。解毒の方法も分からない。だから、焼くしかなかった」
アキラも情景を想像してしまい、目を背けるように伏せる。同族を焼く。それがどれだけ辛かっただろうか。
「だから、下手に数で潰すことが出来ない。もしそれで勝ったとしても、毒を使われたら、またどれだけ被害が出るか」
アキラはしばらく考え、覚悟を決めた。大きく息を吸い、思いついた作戦を告げる。
「正面から行こう。その獣人は俺がやる」
アキラは覚悟を決めた。殺すという覚悟を。
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