教え
レオンは剣に手を掛けながら、ゾラとフードの男を見る。ゾラから感じる気迫は、以前と変わらず強者の放つものだ。さらに、その隣のフードの男はそれ以上に凄まじい気迫と得体の知れない気配を漂わせている。城内の耳鳴りがしそうなほど静まり返った城内の雰囲気も相まって恐怖すら感じる。
「なぜこんなことを?」
レオンが尋ねると、ゾラは剣を抜いた。
「聞きたければ、力づくで聞くが良い」
レオンも剣を抜くと、ノワールに合図を出す。それは事前に取り決めた撤退の合図だった。
「聞きたいのはやまやまですが、【不確定要素が多い時は戦わない】あなたから学んだことです。ここは引きます」
レオンの言葉と同時に、ノワールが【影渡り(シャドウトラベル)】を発動し、全員影に沈んで消えた。ゾラは消えた床を見つめ、柔らかく微笑んだ。
アキラ元へ転移したレオンたちは、影から飛び出すと目の前の光景に目を見開いた。
「なにかしらこれ?」
ノアールの呟きと同様の事を全員考えていた。なぜなら、目の前に、向こう側が見えるボーリング玉くらいの大きさに穴の開いた木々があった。全員が気に近寄り、穴を調べていると、奥からアキラが現れる。
「お、帰った来た」
アキラを見つけると、真白はアキラの元へ走っていき抱き着いた。アキラも真白を優しく抱きとめる。
「アキラこれは何?」
ノアールが穴の空いた木を指さす。
「あぁ、それか?落ち着かなくて、新技の練習してたら穴開いちゃってさ」
頬を掻きながら恥ずかしそうにするアキラがジャクの姿を見つける。
「その人はだれだ?」
ジャクを見ながら問いかけるアキラに、レジスタンスや城内での出来事を話し、アキラもソフィエルが帰国したことを話した。
「レジスタンスの件は分かったけど、その獣人男って言うのは?」
アキラの質問に答えたのはジャクだった。
「あの男が親衛隊殺した男だ」
この答えにレオンが拳を握りしめる。
「あいつが……。気配が異様だった。強いのは間違いないが、あれはそれ以上に不気味だ」
「レオンさんがそういうなら用心した方が良いな。それに城内に誰もいないのか、思ったより戦力は
なさそうだな。それとも他の兵を置くより、そいつ一人の方が強いのか」
話し合いの末、レジスタンスの情報とも照らし合わせ作戦を考えることになった。レジスタンスと合流するため、一行はジャクの案内のもと隠れ家へと向かう。
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