邂逅
ジャクとの再会から、お互いの情報を交換していく。
「お父様とお母さまは?国民はどうなりましたか?」
「母様は無事だ。国民もできる限り、国外へ逃がした。今はエルフの集落やドワーフの里、魔王国に
保護してもらっている。ただ、父上はゾラと、反乱軍から私たちを逃がすために……」
「そうですか……」
知っていたことだが、ルーナは顔を俯かせる。
「兄さんはこれからどうするんですか?」
「王宮の状態を確認に来ただけだ、まだゾラを倒すのには戦力が足りない」
「戦力ですか……私の部下は今どこに?」
レオンの部隊には獣寄りの獣人も多くいたが、このような虐殺を行うような奴らではない事を知っていた。きっとレジスタンスに手を貸しているだろうと思っていたが王子からは返ってきた答えは横に振られた首だった。ジャクはレオンの肩に手を置き、顔を伏せる。
「君の部隊は最後まで私たちを護るために戦ってくれた。最後の一人まで最善を尽くし、命を懸けてくれた。そして、見事にその使命を全うしてくれた。君の育てた親衛隊は最後まで立派に戦ってくれた」
「そうですか。彼らも使命を全う出来て、本望だったでしょう」
レオンは目を瞑り、死んでいった部下を瞼の裏に思い描き労いを心の中で唱える。
『よくやった。あとは任せろ。お前たちの仇は必ず私がとる。ゆっくり眠れ』
「私の部下はゾラさんに?」
「いや、見たことのない獣人の戦士一人にやられた」
「ばかな!?」
レオンは思わず声が大きくなる。自分の部下は王国の中でも、指折りの実力者ぞろいだ。人数差で押し切られたならともかく、たった一人に壊滅させられるはずがなかった。
「本当だ、あの戦士は異常だ。親衛隊も二、三撃を凌ぐのが精一杯だった。あいつをどうにかしない限り、ゾラには届かない」
ジャクはルーナとレオンを交互に見つめ、頭を下げる。
「ルーナ、レオン力を貸してくれ。私は父の仇を討ちたい。父の愛したこの国を取り戻したいのだ!頼む」
決意と憎悪が入り混じり、怪しく光るジャクの瞳がレオンたちをを貫いた。レオンとルーナはその瞳に一抹の危うさを感じながらも、ルーナがジャクの肩に手をおいた。
「もちろんです。協力して取り戻しましょう」
「ありがとう」
兄妹が協力することが決まり、ジャクと共に王宮内への偵察へ行くことになった。ルーナによる【見えざる(アンノウン)放浪者】を再度発動し、王宮内を歩いていく。そこで、異様な空気を察したノアールが呟く。
「静かね」
そう、異様なほどに静かなのだ。何年も使われていない廃墟のような静けさが広がっていた。
「王宮内に兵士がいない?それどころか、使用人も見当たらないなんて……ん?」
ルーナが奥に曲がる人影を見つけた。それを追って行くと、かつては謁見の間出会った場所に出る。周りを見渡し、人影を探すもそこには誰もいない。すると、急に入口が閉じた。全員が入り口を振り向くと、そこにはフードを深くかぶった獣人と剣を携えた軍服を着た獣人が立っていた。軍服の獣人は年老いてはいるものの、その背筋はピンと伸び漂う気配は強者だと物語っていた。
「城内にネズミが入り込んでいるようだが、あなた達でしたかジャク様、ルーナ様、それに」
獣人は最後にレオンに目を向ける。
「レオン」
「ゾラさん」
目の前に、この騒動の元凶であるゾラが現れた。
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