悪夢
王都に入る数日前、真白は緊張した面持ちで、寝る準備をしていた。ノアールが心配そうに真白に寄り添う。
「真白、大丈夫?ここ最近うなされてるみたいだけど」
「ノアールお姉ちゃんがいてくれるから大丈夫」
「そう?」
「何かあったらすぐ起こすのよ?」
そう言って、二人は抱き合って眠りにつく。王都ティープルに近づくにつれ、真白は同じ夢を見続けていた。
「まただ・・・・・・」
真白はただただ白い空間に浮かんでいる。白いだけだった景色がだんだんと変化していった。音のない世界が次第に騒がしくなる。楽しそうな喧噪ではなく、雄たけびや悲鳴がこだまし、各所で剣を交える金属音。天を突くほど巨大な樹木には真紅に燃え上がり、黒い煙が太陽を隠す。薄暗くなった、木のふもとには、戦うそこか見覚えのあるぼやけたシルエット。その光景を見ていると胸が苦しくなり、思わず叫ぶ。
「もうやめて!」
真白の叫びに呼応するように突然情景が消え、全てが黒くなる。そして聞こえてくる轟音。何かが地面にぶつかりつぶれたような音。そして、誰かの泣き叫ぶ声。急に闇が晴れたかと思うと映るのは、黒い靄の塊を抱きかかえて泣く白い影。その正面には、大樹よりも大きな獣。その獣の口が開きそこから光が放たれた。
真白は胸を押さえながら、勢いよく起き上がる。息が上がり額には汗が浮かんでいた。目を上げると目を丸くした。
「なんで・・・・・・?」
そこには、一緒に寝ていたノアール以外にも、離れて寝ていたルーナや外で火の番をしていたはずのレオンとアキラまで心配そうに真白を見つめていた。
「うなされてるって聞いたからな。大丈夫か?」
「真白ちゃん大丈夫ですか?」
レオンは真白の肩に手を置き、ルーナは優しく抱きしめる。ルーナの落ち着くは香りに包まれ、肩にレオンの温もりを感じて、真白の目に涙が溜まっていく。なぜ涙が出るのか自分でも分からないようだ。
「真白?大丈夫か?」
世界で一番安心できる声が真白の耳に聞こえた時、限界を迎えた真白は声を上げて泣いた。
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