護るために
アキラたちが兵士達を監視している頃、レオンたちは生き残った村人たちから事情を聴いていた。
「姫様!良かった!良くご無事で」
「皆さんも良く生き延びてくれました」
ルーナに集まる村人たちは、先ほどまで自分の命が危険にさらされていたことも忘れて、優しく抱きしめたり、手を握ったりとルーナの生存を喜んだ。
「レオンさんもよくご無事で……」
先ほど襲ってきた兵士は皆獣寄りだったため、レオンが自分たちを助けたとはいえどこか警戒しているようだ。ふと村人の目がレオンの後ろに隠れている真白を見つけた。
「その子はもしかして、お二人の子ですかな?」
一人の老人が口にした一言に、レオンとルーナは顔を真っ赤にして否定する。
「ち、違います!」
「こ、この子は連れの妹でして!」
「ふぉっふぉっふぉ、申し訳ございません随分とお二人を慕っているようでしたので。お嬢ちゃんお名前は?」
老人が、優しく真白に笑いかける。
「真白……です」
「真白ちゃんね、綺麗な髪だ」
そう言って老人は真白の髪を優しく撫でた。真白は目を固くつむって、一瞬体をこわばらせるが、老人の手の温かさに緊張も溶けたようだ。
「反乱は成功してしまったんですね」
ルーナが老人に訊ねる。
「はい。城に多くの血が流れ、アリオス王が首を落とされたと聞きます」
「兄さんやお母さまは?」
「ジャク様とメイリーン様は現在、行方不明のようです。なんでもアリオス王が自ら囮になったと……」
ルーナの顔は俯きはしないものの、若干曇った。
「新しく王になったのは誰なんですか?」
「ゾラのようです。ゾラ・マグナディス」
老人から紡がれた名に驚いたのは、ルーナではなくレオンだった。
「あのゾラさんが……」
「ゾラは王を殺し、王座に就くと人寄りの獣人たちを迫害し始めました。各地の村や町の人寄りを捕
まえ王都に連行されているようです。従わない者は皆その場で……」
そう言って老人は外を見る。先ほどあった惨劇を思い出しているようだ。
「そういえば、レダンカの街にレジスタンスがいるとの噂をききました」
「レジスタンスですか」
「そこならジャク様隊の情報を得られるかもしれません」
「ありがとうございます。そこに向かってみます」
ルーナは老人の手を握った。
兵士を監視しているアキラたちの元にレオンがやってくる。
「どうでした?」
「運よく治癒師が無事だったからな、皆ケガは治った」
「良かった。これからどうしますか?」
「レジスタンスがいるらしい、そちらに合流しようかと考えている」
「そう、行先は分かったけど、こいつらどうするの?ルーナの姿見られてるし、このまま放っておくわけにもいかないわよね」
ノアールは、兵士たちを見ながらレオンに淡々と聞く。兵士の肩がわずかに震える。
「それは……アキラ、ノアール、ソフィエル様はルーナ様たちの所へ向かってください。こいつらは私がどうにかします」
ソフィエルとノアールは、レオンの言葉に従い家へと向かう。
「アキラ君も」
「見届けさせてください」
「しかし……」
「この先旅を続けるなら、こういうことに慣れて行かないといけないと思うんです」
「そうか、きつくなったら目を閉じろよ」
そう言ってレオンが腰の剣を抜く。兵士たちが騒ぎ出した。
「レオン殿!なぜあなたのような方がまがい物の味方など!」
「命だけはどうか!」
レオンが獣寄りの獣人だからか、敬語を使う兵士達。レオンは何も聞こえていないかのように、剣を勢いよく横なぎに振る。風邪が吹きぬけて、兵士たちの首がずるりと地面に落ちた。レオンの表情には何にも変わらない。
「アキラ、護ると決めたらどんなことであれ、やれるようになれ。たとえ、敵が自分の家族でもだ」
アキラは、並ぶ兵士たちの死体からレオンへと視線を移す。その姿には、一切に迷いなく堂々としていた。
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