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気さくな王

遅くなりました

申し訳ありません!

 アキラは、王様と対面した後、オリクス王に夕食に招かれた。普段なら客との食事は大広間で行うらしいが、急な事だったらしく王家の人が使うリビングに通された。


「うわぁ・・・・すごいきれいだなぁ・・・」


まぶしいシャンデリアと隅々まで掃除された部屋。部屋の中央に高価そうなテーブルがあり、テーブルの

両脇にはメイドと執事が三名ずつ壁に沿って並んでいた。


「アキラ様こちらです。」


さっき王と一緒に入ってきた初老の男性が椅子を引きながらアキラに呼びかける。


「ありがとうございます。ジキロさん」


アキラがそう言いながら座ると好々爺とした笑顔を浮かべ。執事の列に加わった。座って待っていると。王様とアリサとアリサによく似た女性とおとなしそうな少年が入ってきた。二人ともアキラと目が合うと会釈してくれたため、アキラが立ち上がろうとすると、王はそれを手で制したので、座ったまま会釈し返す。全員が着席すると執事たちが料理をメイドたちがお茶を入れてくれる。料理が全員のテーブルに並んだのを見てオリクスが口を開く。


「アキラ君、このような簡素な歓迎で悪いな、急だったもので許してくれ。我々は君を歓迎するよ。こちらに来てから、何も食べていないと聞く、存分に食べてくれ」

「ありがとうござます。」

「その前に妻と息子を紹介してもいいかな?」

「お願いします」


アキラがそう言うと、王の横の女性とアリサの横にいる少年が自己紹介を始める。


「オリクスの妻のイリーナ・スマトリプタンです。」


女性はにこやかに挨拶をする。アキラも立ち上がり「よろしくお願いします。」と頭を下げる。


「スマトリプタン王国第一王子のアルム・スマトリプタンです!」


多少緊張した様子で少年は挨拶をした。アキラは以前の施設の子供たちを思い出し、微笑みながら、優しく「よろしく」と返した。アルムはアキラの優しい態度にほっとしたのか方の力を抜く。自己紹介が終わったところでオリクス王が口を開いた。


「食事しながら出良いのでぜひ異世界の話を聴かせてくれ。」


オリクス王は笑みを浮かべながらそう言った後、食事が始まった。アキラは目の前に置かれた料理を口に入れた。


「ウマっ」


アキラはあまりの美味しさに敬語を忘れてしまった。それに気づき、周りを見ると意外そうな顔をしているアリサとニヤニヤしているオリクス王がいた。


「そっちが素のようだな、アキラ君」

「申し訳ありません。あっちでは敬語を使う機会があまりなくて」

「良い良い、お主は『来訪者』なのだ。というより素の方が私は好ましい。」


アキラは首を傾げる。『来訪者?何のことだ?』そんなアキラにはお構いなく、オリクス王はアキラのいた世界について質問を投げかけまくった。質問量の多さに困ったアキラは助けを求めるようにアリサを見る。アリサも子供のような目をたたえこっちを見ていた。『だめだ、助けてもらえそうにない』アリサの

様子に助けをあきらめようとした。その時、、イリーナがオリクス王を諫めた。


「あなた、アキラさんが困っているわ」

「お?そうか?異世界の話などなかなか聞けないものでな」

「それもそうですが、アキラさんが全然食べれていないではありませんか」

「ん?おぉ本当だすまんなアキラ君」


アキラはそのやり取りを微笑ましく眺めていた。


「いえお気になさらず。こんなに賑やかな食事は久しぶりで、とても楽しいです。料理もこれまでに食べたもののどれよりもおいしい物ばかりですし。ここ最近はカップ麺しか食べていませんでしたし。」


そのあとも、いろいろな話をして盛り上がりながら食事は進んでいった。


 食事も終わり、風呂も入った後、アキラは王の私室に呼び出されたため、広い廊下をジキロと歩いていた。日も落ち魔道具である廊下の明かりが淡く照らす中、ジキロが扉の前で立ち止まった。ジキロは優しくノックする。


「アキラ様をお連れ致しました。」


少しの間があり、中から声が聞こえた。


「入れ」


オリクスの低い声に光は驚いた。


「お入りくださいませ」


ジキロがドアを開けアキラを入れる。恐る恐る入ると椅子に座るオリクスとイリーナがいた。


「その椅子に座りたまえ」


オリクスの声は食事の時とは打って変わり、威厳がありなおかつ威圧するような声音だった。アキラは。ゆっくりとオリクスとイリーナの対面に座った。


「『来訪者』というのは異世界から来た人間の総称だ、そして、この国では、『来訪者』は世界を救うために神が連れてくる使徒だと言い伝えられている。」


オリクスはゆっくり低い声で語り始めた。


「君は本当に『来訪者』なのか?」


オリクスの目がアキラをとらえる。今まで見たことのない眼光だった。人を殺せそうなほどの鋭さと押しつぶされそうな圧迫感を感じた。のどが渇く、唾を飲み込もうにもうまくのどを通らない。


「まだ、私は半信半疑だなのでここで君に聞きたい。」


アキラはなおも衰えない気迫に歯を食いしばりながら耐える。


「本当に君は『来訪者』なのか?何が目的でここに来た。」


威圧感が一気にまし呼吸も満足にできないような錯覚を覚えながらもアキラは口を開いた。


「私は、異世界の日本という国から来ました。ただ、神の使徒なんてものではありません。この世界には急に飛ばされたのでよくわかりません」


オリクス王の目を真っすぐ見返しながら答える。しばらく見つめ合うと不意にオリクスが隣のイリーナを見る。イリーナは首を小さく横に振る。それを見たオリクスから急に威圧感が消える。


「すまないね、アキラくん、君の言う事は全て真実のようだ」


アキラが大きく息を吐きながら答える。


「どういう事ですか?」

「イリーナは真眼を持っているのだ」

「真眼?」


アキラが尋ねるとイリーナが優しい声で水を差しだしながら語り掛けてくる。


「真実を見通す目です。ウソをつくとその人の体が赤く見えるんです。もちろん使おうと思った時に使うので普段は普通の目ですよ。」


アキラは受け取った水を一気に飲み干す。乾いてたのどが徐々に潤っていく。


「君がウソをついていなくてよかった。」


オリクスがアキラに笑顔を向けてくるさっきの威圧するような感覚は全くなく、好感の持てる優しい笑顔だった。


「これで、異世界の話を思う存分聞ける」


アキラは頬を汗が伝うのが分かった。イリーナに目を向けるとため息をつきつつも止める気はないらしい。すると扉からノックが聞こえ王が呼び込む。ジキロさんが軽いお菓子と立派なティーセットを運んできた。あれよあれよという間に準備が整いジキロとイリーナが出ていく。イリーナが申し訳なそうにお辞儀をしてドアを閉める。


「さぁ、今日は寝かさないぞ」


王は修学旅行の男子高校生見たくはしゃいでいた。アキラはこれほどまでに、嬉しくない「寝かさないぞ」は初めてだ、と思いながら引きつった笑みを浮かべた。

 

 その後二人は空が白むまで、お互いの世界について語り明かした。ジキロが王の私室を訪れるとそこには満足げに笑みを浮かべる王と床にうつ伏せに倒れるアキラがいた。



最後まで読んで頂きありがとうございます!

仕事が忙しくなってきてしまったので

次の投稿も遅くなりそうです申し訳ありません

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