作戦会議
四人は用意した食事をつつきながらどうやってルーナ姫を救出するのか話し合っていた。
「そもそも、何故ルーナ姫は帝国に捕まってるんだ?」
「姫っていうからには、警護だっていたのでしょう?」
アキラとノアールは、スープをすすりながら尋ねる。真白は皿の上のゆで卵と格闘中だ。
「あぁ、それが良く分からないんだ。ある朝、寝室に行ったメイドが、ルーナ姫がいなくなっていることに気づいたそうで、城は大騒ぎだった。そこで、親衛隊長の私が探すことになったのだ」
「なんか、話だけ聞いているとおてんばな姫っぽいな」
「そんなことはない!姫は穏やかで思慮深く、とてもお優しい方なのだ」
「へぇー、やけに詳しいわね」
姫の事を力説レオンをニヤニヤとノアールが見る。その視線に気づいたレオンは赤面した顔を隠すように伏せる。
「し、親衛隊長だからな……」
声が小さくなるレオンを相変わらずニヤニヤと見続ける。
「それで、今どこにいるかわかってるのか?」
「あぁ、捕まる前に集めた情報と監獄内での看守の会話から大体分かった」
「どこだ?」
「信じがたいがどうやら帝城にとらわれているらしい」
「はぁ!?帝城!?」
アキラは意外過ぎる場所にガタッと席から立ち上がる。
「それって、皇帝が他国の姫を誘拐したってこと?国際問題じゃない」
ノアールも目を見開きレオンを見る。
「まだ皇帝が関与しているかどうかは分からない。しかし、姫が消えた前日に帝国から使者が来ていたのだ」
「だから、カロナールにいると思ったのか」
「あぁ」
「それは、少し厄介だなぁ」
アキラがむずかしい顔で考え込むとゆで卵に見事勝利した真白が口を開く。
「むずかしいお話ばっかりで良くわかんないけど、そのルーナさんっていう人はあのおっきなお城の中にいるんだね!」
「あぁ。そうだが、どうやって入るか……」
「壁壊すのはダメなの?」
真白が可愛らしく首を傾げる。
「嫌、あんな分厚い壁どうやって……あ」
「お兄ちゃんならできるよね?」
「暗黒魔法か」
アキラは自分の力を今まですっかりわすれていた。
「やはり、あれは暗黒魔法だったか」
レオンは少しの恐れをはらんだ視線をアキラに向ける。それを感じた真白はアキラの腕にひっつきレオンに対し語気を強める。
「お兄ちゃんはまおうじゃないんだよ!優しい真白のお兄ちゃんだもん!」
真白の言葉を受けてレオンは顔を緩め優しい声で謝罪する。
「すまない。君の兄を悪人と思ってるわけではないのだ」
「そんな事より、どうやって侵入した後だ。いくら暗黒魔法で壁ぶっ壊して入ったって、向こうも気づくだろ。脱出はノアールがいるから大丈夫だけど」
「そうね、さすがにあの巨大な城の中を手あたり次第に探すのはきついわよ」
「それなら大丈夫だ」
レオンはそう言いながら一つのハンカチを取り出す。
「それは?」
「ルーナ姫様の私物だ。この匂いをたどる。私は狼の獣人、鼻は良く効くのさ」
「それでも、あのバカでかい城だ時間稼ぎは必要だろう」
アキラはそういいながら皿の上のソーセージを口に運ぶ。咀嚼し、それを呑みこみ提案する。
「俺と真白で陽動しよう」
「なんだって?」
「ノアールは俺と真白の影を追うことが出来る。レオンさんと一緒にルーナ姫を救出後、俺達をピックアップすればいい」
なんてことないように言うアキラにレオンは首を振る。
「ダメだ、そんな危険な事を子供の君たちに任せることはできない」
その言葉に、アキラが盛大に笑い、真白は満面の笑みで自分の席から降りてレオンに抱き着く。
「なんだ?何がおかしい。なんで抱き着く」
「ハッハッハッハッハ……悪い悪い、オレが暗黒魔法を使えるって聞いて普通の子扱いして心配する大人なんて初めてだからさ」
「真白も悪魔の子なんて呼ばれて酷い目に遭ってたから、心配してくれるあなたに感謝を伝えたくなったんでしょうね」
アキラとノアールの言葉にキョトンとしたレオンは抱き着いてる真白を見下ろす。その姿は年相応の少女だ。確かに全体的に色は白い。でもそんな事言ったら自分など毛むくじゃらなオオカミの姿なのだ。見た目などに偏見は無い。アキラに関してもさんざん牢の中で語り合ったのだ。確かに魔王が使ったと言われる暗黒魔法を使えるが、彼が善人だというのは分かっているのだ。
「そうか、君にもそんなことが……」
そう言いながら、優しく真白の頭を撫でる。真白は気持ちよさそうに目を細める。
「レオンさんの気持ちは分かった。けど、これしかないと思う。姫を探すにはレオンさんじゃないといけない。脱出にはノアールが必要で陽動も必要ならこの役割分担しかない。心配しなくても、俺には暗黒魔法がある。いざというときは城の全て消し去って逃げるさ」
冗談めかして言うアキラにレオンはため息をつきアキラに近寄る。大きな手をアキラの頭に乗せ真白と同じように撫でる。
「すまない、頼む。ただ、無理だけはするな」
その言葉にアキラは遠い昔の情景が浮かぶ。
まだ父親が生きていたころ父の病床で言われたことだ。大きなごつごつした手で小さい自分の頭を掴んで優しく撫でながら父は言った。
「ごめんな、一人にしちまって」
「父ちゃん、大丈夫だよ俺頑張るから!」
涙を必死に我慢しながら必死の笑顔をアキラは父に向ける。そんなアキラを見て悲しそうな顔をしたアキラの父は一層優しく撫でる。
「無理するなよ」
「アキラ?」
「お兄ちゃん?」
ボーっとしているアキラに真白とノアールが声をかける。
「あ、悪いボーっとしてた」
「大丈夫か?」
レオンも心配するが、アキラは何事もなかったかのようにふるまうため、4人そのまま食事を続けた。
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