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牢獄での再会

鉄格子が開き、アキラは乱暴に投げ込まれる。石畳の床に体を打ち付け、苦悶の息が漏れる。


「お前が吐かない限り尋問は止めねぇからな魔王」

「覚悟しろよ」


アキラを運んできた兵士たちが嫌悪に満ちた目でアキラを見下す。床に這いつくばりながらアキラはボソッと呟いた。


「俺は魔王じゃねぇっての。何回言えば分かるんだよ」


その呟きは、兵士達には届かなかったようだ。そのまま立ち去っていった。アキラは体を鉛の如く重い体を引きずって備え付けられている剥き出しのトイレを覗き込み胃液を吐き出す。しばらく吐き出し、こと切れたようにトイレにもたれかかる。虚ろな目から涙を流しながら、ブツブツと唱えるように呟く。


「俺は魔王じゃないって言ってんのに何度言えば分かるんだよ。なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだ」

「おい、大丈夫か?」


アキラの呟く声が外にも聞こえたのか隣の牢の住人から少し渋いが温かい声が聞こえる。


「レオンさん、すみません、ちょっと今日はきつかったです」


そう言いながらアキラは力を振り絞り壁まで移動してその壁にもたれかかる。


「そりゃそうだろう。拷問は君のような子供に対して行う事ではない。君が落ちないのが奇跡だ」


男は鎖で体を縛られ、その鎖は壁に打ち付けられ固定されていた。男が身動きするたびにジャラジャラと鎖の擦れる音がする。


「本当の事しか言ってませんからね、レオンさんはどうでした?」

「それでも、よく耐えていると言っているのさ。こっちも似たようなものだな、まさか、この街の獣人蔑

視がここまで強くなっているとは」


そうつぶやく男の体は灰色の体毛で覆われておりその手足には明らかに人ではなかった。そして、尻尾が生えており、頭に耳があり、顔は狼だった。そう、彼は獣人だった。


「びっくりしましたよ。アテン行きの馬車で一緒だった人とまさか、こんなところで再開するとは」

「私もびっくりだ。魔王が投獄されると聴いて見てみればあの時の兄妹の兄が投獄されてくるんだから、妹の方は無事なのか?」

「何とか逃がしました」

「しかし、私が獣人だと良く気づいたな」

「分かれると時、レオンさんに肩叩かれたでしょう?その時に獣の毛が肩に付いたので、もしかしたらと思ったんですよ」

「それは大した洞察力だな。魔王じゃなくて探偵になったらどうだ?」

「出来たらやってますよ」


二人はお互いの冗談にクスクスと笑う。アキラは笑った拍子に傷が開き傷を抑えながら笑う。牢屋だというのに冗談を言い合える相手がいることがおかしかった。


「楽しそうね」


そこに、呆れたような聞きなれた女性の声がアキラの影から響く。

「ノアールか遅かったじゃないか」

「ごめんなさい、安全な場所を見つけるのと真白を宥めるのに時間をくったの。あなたの影を見つけるのにも時間かかっちゃったし……」


アキラを置いて行った負い目から声のトーンが下がる。


「真白は?」

「相当落ち込んでいるわね、今も寝言であなたの名前を呼びながら泣いてる」

ノアールの報告を聞いて、逃げ延びていてホッとすると同時に心配になる。

「そうか……」

「アキラ?女性の声が聞こえるが?この匂い……闇精霊か?」

「だれ?」


闇精霊と見抜かれたノアールが厳しい声で尋ねる。


「私はレオン。レオン・マルクエスだ」

「レオンさんはアテンに行く馬車に一緒に乗ってたろ」

「あぁ、あのアキラが吐きそうになってた時背中さすってた人?」

「いらんことまで思いだすな」

「じゃあレオンさんも一緒に出しましょうか?」


ノアールが影から出てアキラの体を心配そうに触って傷を確認しながら聞く。


「それなんだが、オレの公開処刑が決まった。これから帝都に移送される。レオンさんも一緒に処刑されるらしくてな、一緒に移送される。王都での公開処刑時に救出してくれ」

「はぁ?なんでよ?今すぐ出た方がいいでしょ。この国さっさと出ないと」

「この国をい出るためにはここじゃなくて王都から逃げた方が次の国の国境が近いんだ」

「あーなるほどね」

「それと、レオンさんに協力することにした」

「なにそれ?」

「それは脱出後に話す。真白には心配するなって伝えてくれ」

「あなたねぇ」


ノアールは深くため息を吐く。


「アキラくん、私の件は別に」

「いえ、自分のためでもあるので」

「ノアールはこの基地にあるオレの装備を持って帝都の潜入しろ」

「分かったわ」


諦めた表情で頷く。


「すまん、それともう一つ頼みたいことがある」


ノアールはアキラからのもう一つの頼みに訝し気に聞く。


「何で?そんな事?」

「頼む」

「はぁ、わかったわよ」

「合図は【黒い龍】だ」

「了解」


ノアールはアキラの影の中に溶け込み気配が完全に消えた。


「良かったのか?私に協力する必要はないんだぞ。いち早くこの国から出た方が」

「いや、自分で決めたことですから。」

「そうか、ありがとう」


それだけ言うと、牢獄に沈黙が戻ってきた。アキラは、救出の目途が立ったので安心し、久しぶりに深く眠りについた。眠りにつく際ボソッと言った。


「そろそろ、大黒柱が必要だよな」


この呟きは、誰にも聞かれず闇に溶けていった。


最後まで読んでくださりありがとうございます!

引き続きよろしくお願いいたします!


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