いざ帝都へ
更新遅くなり申し訳ございません。
雨も止みそれぞれが旅の支度を始める。
「ここでお別れかーもう少し話したかったけどなー、お前の元居た世界の話とか、召喚された勇者の話とか」
「こっちは全然かまわないけど、ドイトは仕事がなんだろ仕方ねぇさ」
すっかり仲良くなり、アキラはドイトエフを愛称で呼び敬語も取れていた。ドイトエフもアキラに対し、親しげに話す。
「まぁまたどっかで会えんだろ、俺は世界各国飛び回ってるし、今度会ったら落ち着いて飯でも食おう」
「それはありがたい」
それぞれ旅の準備を終え小屋から出る。
「んじゃ元気でな、帝都での人さらいに気をつけろよ」
「あぁ、そっちもスマトリプタンに行くなら勇者たちに気をつけろよ」
「おうよ!」
ドイトエフたちが山を下りるのをアキラたちは手を振って見送った。
「もう少しリリちゃんたちとおしゃべりしたかった」
シュンとする真白の頭を撫でる。
「じゃあ行きましょうか」
「うん・・・・・・うわぁ!」
ノアールに促されて真白は歩き出す。その真白をアキラは肩車する。いつもより高い目線に驚きながらも顔をほころばせる。
「ちょっとアキラ危ないでしょう?!」
「大丈夫、大丈夫帝都に向けて出発だ!」
「あはははは、しゅっぱーつ!」
「もう!ちゃんと捕まってるのよ。真白」
「はーい!」
三人は笑い合いながら帝都へ向けて出発した。
ドイトエフ達は山を下りると待たせていた馬車に乗った。馬車の中でリンは厳しい顔でドイトエフを見る。普段天真爛漫なリリ、リリス、温厚なパスカルですら難しい顔をしている。
「良かったのですか?あの程度の相手ならば簡単に始末出来ましたよ。本部から出会ったら始末しろと言われてましたよね?」
リンは少し悲しそうな顔で告げるとドイトエフは手で口を覆い考え込んでいる。
「確かに、リンならノアールの嬢ちゃんが動く前にアキラを始末できたと思うぜ。でもお前本気でできたか?」
その声は低く威圧感がある。馬車の中は依然とピりついたままだ。
「悪い人には見えなかったよー・・・・・・」
「リリもー・・・・・・」
「俺もだな、なぁ大将あれが本当に魔王なのか?普通の優しい青年にしか見えなかったぞ」
「私も正直なところ彼らが悪い人間のようには見えません。ご主人様が強制命令を出さない限りやるつもりはありませんでした」
「だろうな、最後の方はお前ノアールの嬢ちゃんと大分仲良くなってたし」
ドイトエフは、両手を勢いよく叩きつける。パァンと鋭い音が馬車内に響く。それは合図だった。ドイトエフが重要な事を決めた時、迷いを断つための癖だとこの中の誰もが知っていた。緊張感はさらに増す。この決定がリンたちに不都合なものであっても自分たちの主人の決定は絶対だ。ドイトエフの口から決意が話される。
「俺たちはアキラ達を始末はしない。現状彼らは危険ではないと判断する」
決定にほっと胸を撫でおろす四人。
「しかし、良いのですか?」
「あぁ、そもそも情報元のスマトリプタン王国はここ最近おかしい。急に税率が引き上げられて民衆が貧困に苦しんでるらしい。その結果俺達に奴隷買取の依頼が来たんだ。親父にはオレから言っとくよ。親父もスマトリプタン王国を訝しんでるしな」
「税を上げるか、何があったんだろうな」
「あぁ、しかもその税をほぼ全て軍備に回している」
張り詰めていた空気は緩和され難しい話が始まってしまったため、リリたちは外を眺めている。
「アキラさんを始末するためでしょうか?」
「いや、個人に対する軍備とは考えられない、まるで戦争でも起きそうな感じだ」
「なんかいきたくないですねぁ」
パスカルが嫌な顔をする。
「まぁ、仕事だからな、今スマトリプタン王国はそういう状況だ。みんな気を引き締めていくぞ」
「「はーい!」」
リスの双子の気の抜けた返事に社内は一気に笑いに包まれた。一行を乗せた馬車はスマトリプタン王国へと進んでいく。
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次回、勇者の動向と本格的にカロナールでの物語が動き出します。




