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アテンの冒険者

長らく休止してしまい、申し訳ありません。

ここアテンは、カロナール帝国とスマトリプタン王国の国境をまたいで存在しており、町の中央を大きな壁が隔てている。壁の半分がカロナール帝国領であり、もう半分がスマトリプタン領という変わった町だ。このことから両国の友好の象徴と呼ばれている。中でも、スマトリプタン側の湖は綺麗な事で有名で妖精の棲む湖とも言われている。アキラたちは、まずその湖に向かおうと、道を門にいた兵士に聞いていた。


「てことは、湖には行けないんですか?」


アキラは、さっきまでルンルンしていた真白が明らかに落ち込んでいるのに目をやりながら問いかける。


「あぁ、実は湖に厄介な魔物が棲み付いたらしくてな、それの討伐を冒険者に依頼しているところだ」

「その魔物ってどんな魔物なんですか?」

「それが分からんらしい、とにかくでかいという事だがなぁ、まぁ、一週間もすれば行けるようになるさ。あ、だから、森に入るなら、深くまでは行くなよ」

「ハイ、ありがとうございました」


そう言って、二人は宿へと引き返した。


「そんな顔すんなよ、真白」

「だって……湖楽しみだったんだもん」

「一週間もすれば行けるようになるって言ってたろ」


そう言いながらアキラはフードの上から真白の頭を撫でる。


「ううぅ」

「まぁ今日は街の中歩いてみるか」

「うん……」


テンションの落ち切った真白を連れて大通りを歩いていく。



真白はさっきと打って変わって上機嫌い通りを歩く。


「お兄ちゃん、次あのお店みてみたい!」


アキラの手を引っ張りながら次のお店に向かう。


「さっきまであんなに落ち込んでたのにな」

『子供の復帰って早いわね』


ノアールの声が頭に響く。


「コラ真白、そんな引っ張るな。ちゃんと行くから」


この調子で街を歩いているとひときわ大きい建物に着いた。


「お兄ちゃんここなに?」

「ここは、冒険者ギルドだな。湖の件も聞きたいし入ってみるか」


アキラは冒険者ギルドに足を踏み入れると、中には強面な男や、ローブを着た女性など多種多様な人がいた。真白は強面の男たちを見て怯えてしまいアキラの背に隠れ裾を掴む。アキラは苦笑しながら受付に向かう。


「初めて見る方ですね登録ですか?」


受付に着くと眼鏡をかけた受付嬢がアキラに問いかける。


「いや、少し聞きたいんですが、湖っていつ位に行けるようになりますか?先ほど門番の方に冒険者に依頼したと聞いたのですが」

「その依頼なら、先ほどAランクパーティーの【銀の剣】が受注しましたので、おそらく三日ほどで行けるようになると思いますよ」


受付嬢は笑顔で答える。すると、アキラの後ろから声が掛かる。


「兄ちゃん、どうしてそんなに湖に行きたいんだ?」


あきらが振り返るとそこには強面な筋肉マッスルな男性がいた。その後ろにはローブを着た女性や槌を担いだ青年、露出の高い鎧を着ている女性がいた。アキラは後ろに引っ付いている真白に手を置いて話す。


「妹は病気で外に出ることが出来ず、やっと病気が治ったので綺麗と有名なここの湖を見せてやりたいと思いまして、この町まで来たんです」


事情をでっちあげて話すと強面の男がアキラの肩を掴む。『なんだ?もしかしてこれはテンプレの絡まれるヤツか?』そんな風に思っていると、男が強面の顔を涙でぐちゃぐちゃにしていた。


「うぐっ、泣かせるじゃねぇか。妹のために兄妹だけで旅までしてここに来るなんて、任しとけ!俺たちが必ず湖の魔物を倒してきてやるからよ!」


そう言いながら男はアキラの肩を何度もたたく。『なんか、普通に良い人で心が痛いな』騙していることに罪悪感を感じながら、素材の買い取りなどの話をするために受付嬢に向き直ると受付嬢も泣いていた。

『おまえもか』



アキラは彼らに真白を任せると素材買取の話をする。真白は最初は強面を恐れていたが、すっかり慣れたのか楽しそうに肩車されていた。


「ここまで来る途中に狩ったモンスターや動物の素材を売りたいんですが、冒険者ギルドで売ることはできますか?」

「うーん、アキラさんは冒険者にならないんですよね?だとするとお店に直接売りに行った方がいいと思います」

「それは何故ですか?」

「冒険者になれば冒険者ギルドで売った方がお得です。ギルドから少しばかり色が着きます。しかし、冒険者じゃない人が冒険者ギルドで売ると手数料が引かれてしまいます。なので、直接店に行った方がいいと思います」

「なるほど」


アキラは他にも、色々聞き帰ろうと真白を見ると、楽しそうに冒険者たちと遊んでいた。真白が勢いよく持ち上げられた拍子にフードが取れ、アルビノの姿があらわになる。冒険者はそんな真白を見て硬直する。『まずい!』アキラは真白の元へ駆け寄ろうとした。真白も青い顔をして、アキラを見る。


「お前、髪白いな!」

「真白ちゃんのお顔可愛いね!」

「真白ちゃん肌白い!」


冒険者たちは真白の風貌を見ても恐れることはなかった。意外な展開にアキラも真白も呆然とする。


「皆さん、恐れないんですね」

「冒険者には基本いろんな種族の人がいますし、色々な事情を抱え、色々なところを転々としながら活動していますから。変わった種族や人はも慣れていますから」


自分の容貌を見られても嫌悪しない冒険者たちに戸惑いながらも、優しくしてくれた冒険者たちに嬉しそうにしている。


『良かったわね、真白』

「そうだな、やっぱりあの村がおかしいんだろうな」


アキラは、自分をの容姿を見ても嫌悪しないことに喜色満面な真白をしばらく見ていた。



遊び疲れた真白を背負って、冒険者ギルドを後にする。


「皆さんありがとうございました」

「良いってことよ!湖の事は任しときな!必ず行けるようにするからよ!」


強面の冒険者、【銀の剣】リーダーのグレックはアキラ手を握りながら言う。


「また真白ちゃん連れてきなよ」

「そうだそうだ、いつでも遊びに来いよ」


他の冒険者たちも口々に言う。


「ありがとうございます。必ずまた来ます」


アキラは、柔らかい表情で眠る真白を背負い宿へと向かう。


「楽しそうだったな真白」

『そうね、これで少しは自分が敵視される存在じゃないって分かってくれると良いけど』

「そうだな」


アキラは、真白を起こさないようにゆっくりと歩いていく。




アキラが去った後の冒険者ギルドでは、真白の話題で持ちきりだった。


「真白ちゃん可愛かったなぁ」

「俺は、娘思い出しちまったなぁ」

「髪や肌が白いのは驚いたけど、そこも可愛い」

「今度、お菓子を持ってきておこう」

「俺もおもちゃを用意しておこう」


冒険者たちは口々に真白の話をする。


「にしても、アキラもすげーな。妹のために子供だけでここまで旅してくるなんて、深い事情があったんだろうな」

「俺は決めたぜ!」


突如として、グレックが立ち上がった。他の冒険者たちが注目する。


「ここに、山本兄弟のこと応援し隊、そして、真白ちゃん見守り隊を作る!」

「「「「おぉ!」」」」

「それ、俺も入るぜ」

「私も!」


冒険者だけでなく、ギルドの職員までも真白の可愛さに魅了され、真白を大切にしているアキラに関しても好感を持っていた。アテンの冒険者を中心に真白たちのファンクラブが広がっていくこと、そしてそのファンクラブがアキラたちを救う事になることをアキラたちはまだ知らない。


最後まで読んでくださりありがとうございます!

なるべく週一になるよう頑張っていきます!

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