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とある少女の胸の内

無邪気な真白の胸の内です。意外と大人っぽい。

わたしは、村に着くまでの記憶が無い。自分の名前もどこから来たのかも分からない。気づいたときには村の人にとらえられて、地下にある牢屋に入れられた。村の日糸たちはわたしの髪や体が白いのを気味悪がって私を【悪魔の子】だって言い始めた。今が朝なのか夜なのかもわからない牢屋の中でしばらく過ごしていたら。真っ白な服を着た人が何人か来た。その人は【きょうかい】ってところから来たって言っていた。村の人はその人の事を【しんぷさま】って呼んでいた。その人は私を見るなり、激しくわたしを罵った。すごい剣幕で怖い事しか分からなかった。その日から、村の人は私に暴力を振るわれた。殴られて、蹴られて、罵声を浴びせられた。村の人は必ずわたしの事を【悪魔の子】っていう。そうか、わたしは人間じゃないからこんな目に遭うのか。そんな風に思っていたところに村の偉い人が私のところに来て言った。


「お前を一週間後【聖裁の義】によって火刑にかける」


それを聞いても、わたしは何とも思わなかった。ただどうでもよかった。何もかも。その次の日も何も変わらない日常だった。視界は色を失い白黒になっていった。そう思ってたら誰かが入ってくる気配がした。そして、その人はつぶやいた。


「アルビノだ……」


訊きなれない言葉に思わず振り返るとそこには見慣れない男の人といつもの男の人がいた。見慣れない男の人がわたしと目を合わせてからいつもの男の人と言い争い始めた。


「この子は人間だ」


言い争いの中で聞こえた言葉に思わず反応する。


「本当?」


男の人はこちらを見る。自分の目から熱いものが流れ頬を伝うのを感じた。


「私……人間なの?」


そう言うと、男の人は牢屋の隙間から手を伸ばしてわたしの頭に手を置いた。すごく暖かくて安心する。そして、男の人が優しい言葉で語り掛けてくれた。


「あぁ、君は人間だ」


その言葉は、わたしの胸の所を温かくしてくれた。男の人が組み伏せられながら言う。


「必ず迎えに来る。だから、少し待っててくれ。」

「本当?」

「あぁ。ノアール!」


男の人が叫ぶと、どこからか真黒な女の人が出てきた。女の人は黒い渦を出してその中に入っていった。男の人もその中に入ろうとする。それを見て、ここでお別れだと思った。あの人たちと一緒に行きたいと思った。それを察したかのように男の人が私に呼びかける。


「必ず助ける!約束だ!」


そう言った男の人が不思議とウソをついてるようには見えなかった。


「待ってる」


自然とそうつぶやいた。そのあとはずっと、いつ迎えに来てくれるのか楽しみにしながら待っていた。


わたしは、男の人に引っ張られて広場の中央にある十字架に磔にされた。結局迎えには来てくれなかった。そのことに絶望した。火がつけられて足が熱くなってきた。死ぬと思った。そしたら、あの男の人が言っていたことを思い出した。


「君は、人間だ」


そしたら、急に怖くなった。何でわたしは人間なのに死ななきゃいけないの?こんな熱い目に遭わなきゃいけないの?何で?何で?何で?何で?!

周りを見渡してもみんな嬉しそうな顔をしてる。一人だけ難しい顔をしてる女の人がいた。その人と目が合った時、自然と声が出た。


「助けて」


女の人は目をそらしてしまった。だから最後の力を振り絞って声を出した。


「助けて!」


そしたら、十字架が倒れて、あの時の男の人と女の人がいた。嬉しかった。迎えに来てくれた。二人は優しい笑顔を私に向けてくれた。わたしが覚えてるのはここまでだった。



 二人に救い出された後は、本当に幸せだった。目が覚めたら、女の人が作ってくれたスープを食べた。すごく優しい味で温かかった。その様子を女の人も男の人も優しい顔で見守ってくれた。すごいむず痒かったけど、嫌じゃなかった。男の人がどうしたいか聞いてきた。わたしは二人についていきたかったけど、自分は他の人から嫌われてるみたいだから辞めようと思ったでも、一人でいたってまたあんな目に遭うなら、今幸せな気分のまま死にたいと思った。そう言ったら、女の人が怖い顔して立ち上がろうとしたけど男の人が理由を聞いてきた。思ったことを素直に話したら、男の人がわたしの頬をつねった。痛いけど、村の振るった暴力と違って、怖くなかった。優しい感じがする痛みだった。この痛みは、嫌いじゃない。そして男の人が言った。


「全く、決めたお前、俺達と一緒に来い」


そのあと、いろいろ言われたけど覚えてない。ただ、嬉しかった。でも一緒にいたら迷惑が掛かる。


「良いの?」


そう聞いたら女の人が急に立ち上がって私を抱きしめた。


「もちろんよ!こんなかわいい子が一緒で良くないわけないでしょ。行きましょう一緒に」


あったかくて心地よかった。嬉しくて、涙が出た。男の人も頭を撫でてくれた。幸せだ。これが幸せなのかも。


「家族を作る」


男の人が急に言った。何を言ってるのか分からなかった。


「今日から俺たちは家族だ。俺はお前の兄貴、ノアールはお前の姉」


わたしは首を傾げる。男の人が手を差し出してきた。


「そして、お前は俺達の大切な妹だ」


この人たちはわたしを愛してくれる。そう思った。嬉しくてまた泣いた。泣きながら手を握ると男の人が笑った。その笑みは優しくて好きだ。


「俺は山本アキラ」

「私はノアール」


二人の名前を胸に刻む。わたしを愛してくれる、わたしの大切な人たち。


「よろしくな、真白」


聞き置慣れない名前に思わず聞き返した。


「お前の名前、無いと不便だろ?お前の名前は山本真白、俺たちの妹だ」


名前……今までなかったもの。わたしはやっと【あくまの子】から、人間になれた。そう思うと嬉しかった。この短い間に何回喜んだだろう。何回幸せを感じたんだろう。これからこの人たちと一緒にいたら。幸せ過ぎて死んでしまうかも。そんなことを考えて自然と笑顔になる。だから、わたしは二人についていく。人間の【山本真白】として。そう決心して二人を見る。白黒だった世界が色づいてく。そして、わたしは口にする。今一番言いたいことを。


「ありがとう、アキラお兄ちゃん、ノアールお姉ちゃん!」


これから、何があるのか分からないけど、わたしはワクワクするのが止められなかった。



「どうした?そんなニコニコして」

「どうしたの真白?」


先を行く二人が真白を振り返る。


「何でもない!」


そう言って、二人の下に真白は駆けて行った。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

一人称視点って難しい

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