これからの方針
宿に入り荷物を整理した三人は、これからについて話し合っていた。
「カロナール帝国はスマトリプタン王国と友好関係にあり、通貨が統一されている。ここで稼いだお金もカロナール帝国で使える、というわけで、この街で一か月程滞在し、お金を貯めます」
アキラの言葉にノアールは頷き、真白は首を傾げる。
「お金、無いの?」
「無いわけじゃないけど、ここにはまだ、俺の事が伝わってないから今のうちにお金を貯めて、いつでもスマトリプタン王国から脱出できるようにしておく」
ここでも真白は首を傾げる。
「お兄ちゃんの事?」
「そういえば、真白には話してなかったな」
アキラは自分が【魔王】として王国から追われている事とその経緯を説明する。真白はほとんど意味が分からないのか首を傾げるが、とりあえずアキラが勘違いで追われている事、捕まるとまずいという事だけは理解した。
「お金を稼ぐってどうするの?冒険者にでもなる?」
ノアールが影から出てきて尋ねる。
「冒険者には登録しない。というかした瞬間王国にここにいることがばれる」
「じゃあどうするの?」
「冒険者にならなくても、魔物やら動物やらの皮とか内臓とかが結構売れるらしい。ここから少し離れた
ところに森がある。そこで狩りをして得た素材を売っていく」
そう言うと真白に一冊の本を渡す。真白はアキラから受け取り、目を輝かせアキラを見る。
「これなに?」
「魔法の教本だよ。さっき売ってるのを見つけたんだ。真白はこれで魔法の勉強をしよう」
「魔法!やったー!」
本を胸元に抱きかかえるとクルクル回る。精霊であるノアールには、人間の魔法適性だいたい分かるらしく、そのノアールが言うには真白には「火の魔法に適性がある」という事をアキラは聞いていた。
「ノアールの話を聴いてちゃんと練習するんだぞ?」
アキラはクルクル回る真白を捕まえ、頭を撫でる。真白も満面の笑みで答える。
「うん!私頑張る!」
「二週間後には帝国に入る。その間に、できるだけお金を貯めておくぞ」
「おー」
真白の気の抜ける声が部屋に響く。
真夜中二人が寝静まったころアキラは、一人部屋を抜け出す。部屋の中ではノアールが真白を抱きしめるように寝ている。その様子を見て思わすアキラの頬が緩む。しかし、すぐに真剣な顔に戻り、トイレのへ向かう。そして、個室に入り、呟く。
「もうすぐ国を出るぞ」
その呟きはトイレの闇にとけていった。
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次回は、真白視点のお話です。




