アテン到着
大分投稿遅れました……申し訳ありません。
三人は、馬車にゆられ街道を行く。アキラは馬車から身を乗り出し青い顔で口を押えていた。御者のおじさんが馬を操りながら声をかける。
「お兄さん大丈夫かい?頼むから、中には吐かないでくれよ」
冗談めかして言うおじさんに、アキラは絶え絶えに返事をする。
「だいじょう……ウプ……です」
真白は心配そうに戸惑っている。
「お兄ちゃん大丈夫?真白どうすれば良い?」
そんな、真白にアキラは手を挙げて『大丈夫だ』と告げる。しかし、どう見ても大丈夫じゃないアキラに真白はオロオロするばかりだ。真白の影に入っているノアールも真白に『大丈夫よ』と言ってるが真白には効果が無かった。ふとアキラは背中をさすられる感覚に気づいた。
「こうしてやれ、そうすれば兄も少し楽になるだろう」
アキラが振り向くと、真黒なローブを深くかぶった男がいた。顔が見えず姿も分からないが声が男性だったので男だと分かった。真白は男のマネをして、アキラの背中をさする。
「ありがとうございます」
アキラがお礼を言うと手を振りながら男は優しく答える。
「いや、気にすることはない」
そう言って元の席に戻っていった。アキラはその様子を目で追うがすぐに吐き気が押し寄せ外を向く。
「お兄ちゃん楽になった?」
無邪気に訊いてくる真白に引きつった笑顔で答える。
「あぁ、大分良くなった。真白のおかげだな」
「やったぁ!」
背中をさすりながら真白はヒマワリのような笑顔を見せる。
馬車は、アテンにたどり着き、アキラたちが降りる。先ほどの男もおりていた。アキラは男に近寄り話しかける。
「先ほどは、ありがとうございました。あなたもアテンに?」
男はアキラに気づき、柔らかな口調で答える。
「あぁ、君たちもか私はここからカロナール帝国に入ろうと思ってね」
そこも、アキラたちと同じだった。ここアテンは、スマトリプタン王国とカロナール帝国の国境上にある。そのため、この町の中央には大きな門がある。所謂、「関所」というものだその門は街の中心にあり、町を分断している。関所のこちら側がスマトリプタン王国の領土、向こう側がカロナール帝国の領土となっている。【両国の友好の証】の街とも呼ばれている。
「俺達と同じだ」
「君たちもカロナール帝国に?」
「はい、しばらくここで資金を集めてからカロナール帝国に入ろうと思ってます」
「そうか、私はこの後すぐに関所を通って、向こう側に向かう」
「そうなんですか、残念です。向こうで会えたら今回のお礼をさせてください」
「気にしなくてもいいのだが、そうだ、これをやろう」
男はゴソゴソと自分の持ち物を漁る。そして、アキラに手渡した。見ると、小さな木の実だった。
「これからは、乗り物に乗る時それを食べると良い。【ビアンの実】と言ってな、乗り物酔いに良く効く」
「ありがとうございます」
アキラは受け取りポケットにしまう。
「向こうで会えたらゆっくり食事でもしよう。妹と仲良くな」
そう言い男はアキラの肩を叩き、真白の頭を優しく撫でアテンへ入っていった。真白が笑顔で手を振る。
「良い人だったねぇ」
真白はそう言ってアキラと手をつなぐ。アキラの影と真白の影が繋がったことにより、ノアールの声がア
キラにも聞こえるようになる。
『アキラ、どうしたの?』
叩かれた肩をじっと見て固まっているアキラに、ノアールの声が頭に響く。
「いや、何でもない」
そう言ってアキラたちもアテンに入った。アキラの肩から獣の毛が落ちた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!




