旅路
三人は、晴れ渡る空の下、心地よい風が頬を撫でる中、整備された街道を歩いていく。
「まさか、日焼け止めがあんなに高いなんてなー」
「まぁ貴族向けの商品なら仕方ないんじゃない?」
「それもそうか」
そんなことを話しているアキラとノアールの前には、目を輝かせながら前をあっちこっち大忙しに動き回る真白の姿があった。
「アハハハハハハ!すごーい!お兄ちゃん!お姉ちゃん!あれなに?!」
「真白は元気だな」
「真白!気を付けるのよ」
喜色満面にローブのフードから見える景色一つ一つに、真白は目を輝かし走り回る。ノアールはそんな真白が転ばないように後を追っていく。
「ほら捕まえた」
ノアールが真白を捕まえた。真白はノアールの方を向き輝く白銀の瞳でノアールを見つめる。
「外ってこんなになってたんだね!スゴイよ!」
花咲く笑顔でノアールに笑いかける。
「微笑ましぃねぇ」
その様子を遠くから見ていたアキラは一人呟き二人の下にあるいいていく。
数十分後、整備された街道を抜け、山道に入ったころ、真白を背負ったアキラは汗を流しながら歩いていた。
「もう少し荷物持つ?」
「頼む」
アキラは、はしゃぎまわり疲れて眠った真白を背負い山道を歩く。脇の草むらから微かに葉がすれる音が聞こえる。アキラは耳を澄ます、かすかにだった音は大きくなっていく。
「ノアール」
「分かってる」
ノアールは荷物を下ろし、自分の影から大鎌を呼び出す。
「真白起きなさい」
アキラは真白を起こし、自分の近くを離れないように言う。そして、腰の無明を抜き構える。耳を澄ませて気配を探る。しかし、音が急に鳴りやんだ。しばらくたっても何も起こらない。アキラは、刀を鞘にしまおうとしたとき、ヒュンと音を立て、アキラの頭めがけて矢が飛んできた。気づいたアキラはギリギリで躱す。どこからか舌打ちが聞こえ、すぐさま刀を抜いた。
「ノアール、右な斜め後ろの木の方向!」
ノアールは頷くとアキラの影に入る。
矢が合図のように三人のいかにも山賊のような男が現れた。
「命が惜しけりゃ、金目のモノ置いてきな」
「そこの上玉二人でもいいぜぇ」
「最初から殺しにきといてよく言うよ」
武器を構える男たちに怯える真白。アキラはそんな真白に笑いかける。
「安心しな真白、兄ちゃんこれでも結構強いんだ」
そう言った瞬間、山賊の一人が切りかかってくる。それを受け止め、弾き飛ばし、他の二人が取り囲もうとするの牽制しする。
「覚悟を決めよう」
アキラがそうつぶやいた瞬間、三人一斉に切りかかってきた。アキラは魔力を体に循環させ、強化した。そして、突っ込んだ。真ん中の一人目掛けて突っ込んだアキラに山賊も剣で応戦する。キンと金属の硬質な音が鳴る。そのままの勢いで一人の山賊を押し飛ばす。後ろから切りかかろうとする二人を、振り向きざまに横なぎの斬撃を繰り出す。剣閃は二人の腹を切り裂いた。飛び出る血を浴びながら、後ろから切りかかってくる山賊に対して、刀を持ち手を変えて後ろに刀を突きだす。肉を指す感触と共に刀に重さが増すのを感じた。振り向き、山賊の腹から刀を抜き、横に振って刀に着いた血を払う。刀をしまい、真白の下へ行く。
「お兄ちゃん!」
そう言いながら抱き着こうとする真白を手で制した。
「血が着いててきたねえからあとでな」
「そんな可哀そうな事言わないの」
そう言いながら、ノアールが現れた。
「向こうも片付いたわ、あ、これ」
そう言いつつノアールは金貨の入った小包を投げ渡す。
「路銀の足しにしましょう」
「お前……やってること山賊と変わらんぞ」
「向こうが先に仕掛けてきたんだもの自業自得でしょ」
「まぁ……そうだけど」
「というかあなたの返り血をおとさないと、近くに川を見つけたわ、そこで休憩しましょう」
二人はノアールについていくと川があった。アキラはそこで血の付いたローブを洗っていると、真白が抱き着いてきた。
「お兄ちゃん、強いね!真白もお兄ちゃん見たく強くなりたい」
「いや、お前は別に戦えなくてもいいんじゃ」
「なりたいの!」
目を輝かせる真白にアキラはため息をつく。
「そのうちな」
「うん!」
元気よく返事をした真白は、ノアールの下へ向かった。アキラは自分の手に視線を落とす。血は落としたその手はいつもと変わらない。瞬きしたと同時に映った手は血がべっとりとついていた。ハッとしてもう一度よく手を見ると血の付いていない手はいつも通りの手であった。遠くから、真白に呼ばれ、アキラは真白たちの元へ戻って行った。
その夜、熟睡する真白とノアールを横目にアキラは、野営をしているテントから出て行こうとする。その気配に気づいた真白が目をこすりながら尋ねる。
「おにぃちゃん?どこ行くの?」
アキラはどこか悲しげに笑みを浮かべながら、返事する。
「トイレに行くだけだよ」
「そぅかー……」
返事を聞き、安心した様子で眠りにつく。アキラは、真白が眠ったのを確認した後、外の木陰へと向かう。そして、自分の手を見て顔を覆う。
「人を殺した……」
未だ、手に残る人を切った感触を嫌悪して嘔吐する。
「ハァ……ハァ……」
肩で息をしながら、心を落ち着かせる。
アキラが人殺しの葛藤をしている中、テントでは、真白が外に出ようとしていた。
「今のお兄ちゃん?」
めをこすりながら、苦悶の声が聞こえ、外に出ようとするとノアールが真白の手を掴みとめる。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん苦しそうだよ。行かないと」
「真白、今は一人にしてあげて、お兄ちゃんは大丈夫だから」
「んー」
ノアールは納得いかない顔の真白を抱きしめ、無理やり寝かしつける。
「いつか、お兄ちゃんから話してくれるわ。そしたら、二人でいっぱい叱って、いっぱい慰めてあげましょう」
優しい笑みを浮かべ、真白の頭を撫でる。
「うん……」
真白はノアールの温かさにまどろみ眠りにつく。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
なんとか投稿で来ました……。
全然週一投稿できず申し訳ありません。




