勇者の最初のお仕事
勇者として召喚された三人は、騎士団の訓練に参加していた。
「つ、つらい」
「凛、大丈夫かよ」
休憩に入り、座り込む凛に、達也が手を差し伸べる。
「私は、魔法使いの適性があったのに何で騎士の訓練にまで参加しなくちゃいけないのよ」
達也の手を取り、立ち上がりながら、ぶちぶちと文句を言う。そこに、ゲルニカと昇がやってきた。
「いくら、魔法使いと言えど自衛ぐらいできんと話にならんぞ」
「そうだよ、凛」
「でもーーあ、姫様!」
二人から正論を言われ、立場が悪くなった凛は訓練所にやってきたアリサを見つける。
「こんにちは」
アリサはにこやかに挨拶する。
「アリサ、今日はどうしたんだ」
昇は少し頬を赤らめアリサに話しかける。そんな昇をつまらなそうに凛が見る。
「昇、皆さんにお願いがあります。後ほど、私の部屋に来ていただいてもよろしいですか」
「分かりました!後ほど伺います!」
アリサは、昇の返事を聞いて、城に帰っていった。ニヤニヤしながら自分を見る達也に昇は気づいた。
「な、なんだよ」
「ベッつにー」
達也は、昇から目をそらす。昇は凛に目を向ける。
「ふん」
鼻を鳴らして凛にそっぽを向かれた。
訓練が終わり、三人はアリサの部屋に向かった。部屋をノックすると中からアリサの返事が聞こえ部屋に入る。三人はアリサの向かいに座り、メリロが持ってきたお茶を四人で飲みながら話していると、アリサが本題に入った。
「今日、昇達を呼んだのは、ある頼み事があったんです」
「そういえば、そんなこと言ってたな」
「頼みって何なの?」
達也と凛がアリサに訊き返すと、アリサは真面目な顔で続ける。
「カペルの村というところで行われる。悪魔の子を処刑するという、『聖裁の義』が行われます。それに出席してほしいのです」
「何で、それに出席しなくちゃいけないんだ?」
「悪魔の子を人間だと言いはり、迎えに来ると宣言した者がいるそうです。『聖裁の義』は遂行されなければなりません。もし、そういう者が現われた場合、悪魔の子の奪還を阻止してほしいのです」
「何で、私たちなの?」
凛が訊くとアリサは答えづらそうにする。
「相手が、闇精霊を使役しているのを見たと村人から報告がありました。闇精霊の使う闇魔法は厄介です。ですが、三人は勇者ですから、闇魔法の耐性がずば抜けています」
「なるほど」
昇が少し考え込んでいると、アリサが慌てて付け足す。
「も、もちろん!皆さんだけというわけではありません!騎士が数名付き添います」
そこまで聴いて、昇は頷く。
「分かったよ。行こう」
「ありがとうございます」
昇の返事を聞いて、アリサは頭を下げる。
「アリサの頼みだしな、明日、さっそく向かおう」
昇達は発つ準備をするため部屋から出ていった。アリサは、昇達が出ていったドアを見つめながら、呟く。
「どうか、無事でいてください・・・・・・」
アリサは窓の外に目を向け空を仰ぐ。空は、美しいほど青く澄んでいた。
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