悪魔の子
アキラは、宿屋の部屋で小汚いベットの上に座り、頭を抱えていた。
「これどうするの?」
溜息をつき、呆れた視線を影から出て実体化したノアールがぶつける。
「まさか、この村の物価がここまで安いと思わなかったんだよ。」
目の前にあるのは、大きな袋いっぱいの食料と水二つ分。
「こんなの背負って旅できないでしょ。」
「次の町までどれくらいだ?」
アキラは宿屋でもらった地図を広げる。ノアールも横から地図を覗く。カペルの村から道なりに進むと少し大きな町があった。歩いて二日、三日というところだ。
「意外と近いな。」
「こんなに近いなら、食料もこんなに要らなかったわね」
ノアールの何気ない言葉がアキラをさらに落ち込ませる。アキラを落ち込ませたことに気づいたノアールは慌てて話題を変える。
「そういえば、悪魔の子ってどんな子なのかしらね」
「ん?あぁそういえばそんなこと言ってたな。見に行ってみるか。ちょっと気になるし」
アキラはそう言って立ち上がると、ノアールはアキラの影に入る。
悪魔の子がいるという大きな建物の前に来ると、警備をしていた中年の男性がアキラに声をかける。
「悪魔の子の見学かい?」
「はい」
アキラは答えると男性が案内してくれた。この建物は、牢獄らしい。地下に下りると、ぬめりのある陰湿な空気が流れる。灯りが少なく、薄暗い。男性は奥の独房にアキラたちを案内した。
「ここに悪魔の子がいるよ。」
アキラが独房の中を見ると、そこには一人の少女がこちらに背を向けてうずくまっていた。
「これが悪魔の子・・・・」
アキラは目を丸くして唖然としていた。
「そうだよ、白くて気味が悪いだろ?」
そう、少女は白かった。少女の体は所々に痣はあるものの、その肌は薄暗い独房の中でも輪郭がはっきりと分かるくらい白かった。髪の毛もまつ毛さえも白く、その姿は夜空に浮かぶ月のように淡く光っているようにアキラは錯覚した。
「アルビノだ・・」
アキラは小さくつぶやいた。アキラは気づいた。悪魔の子の正体に。少女はアルビノの人間であることに。独房の中にいる少女がその声に反応し振り向く。その瞳は虚ろな白銀の色をしていた。
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