最初の村、カペルの村
村の入り口が近づくと突然ノアールの体が真黒な液状のようになりアキラの影に吸い込まれていった。アキラが驚いてオロオロしていると、頭の中にノアールの声が響く。
『闇精霊ってあまり良いイメージが無いのよ。連れているのを気づかれると面倒なことになるわ』
「そうなのか・・・・あのさ」
『何?』
「なんか体が重いんだけど」
『そりゃ、あなたの影に入ってるんだから重くなるでしょ。というか女性に重いって言うのは失礼よ。次は許さない。』
ノアールの怒気を孕んだ声が響く。アキラはすぐに敬礼した。
「了解!」
アキラは重いものでも背負うかのような足取りで村の入り口に向かった。
村には、木造の家が立ち並び、数は少ないが商店がいくつか村の入り口から続く大通りに並んでいた。村の規模は小さいが村人が何人も店先で和気あいあいと話している暖かい雰囲気が流れていた。アキラは村に入り、必要なものを買おうと水や食糧が売っている店に向かう。向かう途中、一番大きな建物が目に入った。入り口には槍を持った村人が二人門番をしていた。違和感を覚えながらも、店に入る。店の中には店主らしき男性が他の客の女性と談笑していた。店主がアキラに気づいた。
「おぉ、この村に客とは珍しい、旅人かい?」
アキラはにこやかに店主に挨拶する。
「こんにちは、ハイ、旅人です。王都から来ました。ここに来るまでに食糧が尽きてしまったので1金貨分の食料と2金貨分の水を頂けますか。」
「おう!分かったぜちょっと待ってな」
そう言って、店主は店の奥に行った。アキラが店を興味深く見回していると、さっきまで店主と喋っていた女性が話しかけてきた。
「旅人さん、あんたは良いところに来たよ」
「良いところ?」
「ああ、5日後にこの村で『聖裁の儀式』をするのさ」
聞きなれない単語に顔を傾ける。
「聖裁の儀式?」
「知らないのかい?聖裁の儀式ってのはね悪魔とそれに類するものを葬りさるための儀式さ。」
女性によると、聖裁の儀式とは、用は悪魔やその子供などをとらえた時行われる儀式らしい。悪魔の力は強大で人が捕まえることがほぼ不可能なので珍しい事らしい。話の内容にアキラは内心顔をしかめる。
『要は、処刑ってことだよな。』アキラの内心も知らず女性は話し続ける。
「今は、悪魔の子を見に行くこともできるから、聖裁の儀式前にここを出るなら見に行ってごらん。あの、でかい家に行けば見れるよ。」
そう言って女性が指さした家は、アキラが違和感を持った家だった。そこの店主が戻ってきた。
「これでいいかい?」
アキラは店主の持ってきた大きな袋を2つ見て中身を確認する。
「ハイ、ありがとうございます」
アキラは2つの袋を担ぎ、大きな家の前を通り過ぎて宿屋の看板がある店に向かった。
スマトリプタン王国では、勇者召喚が行われていた。一面真っ白な部屋で複雑で巨大な魔方陣が描かれている。魔方陣を囲むようにローブに身を包んだ魔法使いが6人立っていた。6人が目をつむり、一心に詠唱を続けていると、魔方陣が突然眩く光り出した。
光が消えた時、魔方陣の中央には3人の男女がいた。
「なんだ、ここは・・・」
「何これ!どうなってるの!」
「おいおいおい、何だこりゃ」
3人が困惑ていると部屋の扉が開き、オルクス王が入ってくる。
「おお!成功したか!ようこそ、勇者たち、私はオルクス・スマトリプタンだ。今は混乱しているだろう、事情を説明しよう。その前に3人の名前を聞いてもいいかな?」
オルクスの和やかな雰囲気に少し落ち着きを取り戻した3人は名前を告げる。
「高山昇です」
「加坂凛です」
「五十嵐達也だ、です」
アキラのクラスメート3人が勇者として召喚された。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
次回、やっとあの子の登場です。




