森を抜け、最初の村へ
アキラとノアールは青々と茂る森の中を枝をかき分け草をかき分け進んでいた。
「なぁ、ノアールさんや」
アキラが額の汗をぬぐいながら切り株に腰を落とす。
「なぁに?アキラさん」
ノアールは白々しい、いい笑顔をアキラに向ける。
「北東に行けば村に出られるって言ってたよな」
「そうね」
「もう、結構歩いたと思うんだが」
「そうね」
「いつになったら着くんだよ!」
「もう少しよ」
「それさっきも言ってたな、お前まさか、道に迷ってないか」
アキラはノアールを見るとノアールは目を合わせない。
「そんなわけないじゃない」
「なぜこっちを見ない、ちゃんと目を見て言いなさい」
アキラは無理やりにでも目を合わせようとするが,何処から見ても目を合わせようとしない。ノアールの頬には冷や汗が流れていた。
「はぁ」
アキラは大きなため息を吐いた。
「仕方ないでしょ私泉から離れたことないんだもの」
「仕方ないな、この世界でも日は東から昇るのか?」
「えぇ」
「じゃあ、方角は間違ってなさそうだし行くか」
アキラは切り株から立ち上がり、ノアールと歩きはじめる。夢中で歩いていたら日が落ちてきたことに気づいたアキラは近くの川で野営をすることにした。二人が火を起こすために薪を集めていると、後ろの茂みがザワザワと音を立てたのに気づき、振り向いた。そこには岩よりも大きく、禍々しい角を生やしたイノシシが現われた。あまりの大きさにアキラが驚いていると、ノアールが身の丈よりも大きい鎌を自分の影から取り出し、一瞬で首を落としていた。
「今日の夕飯ゲットね。・・・どうしたの?」
アキラが平然としているノアールを目を点にしてみる。その視線にノアールが気付いた。
「いや、お前強いんだな。」
「ビッグボアなんて、そこまで強くないわ、大きいだけよ」
平然と言ってのけるノアールにアキラは絶対に怒らせないと決めた。
「これ焼いて食べましょう」
ノアールはアキラにイノシシを渡す。
「あぁ、オレが捌くのね」
アキラは、受け取ったイノシシをさばいていく。二か月騎士団の演習に参加していいたこともあり、なんとか動物をさばけるようになっていた。
火を囲んでイノシシの肉を焼いているとアキラはふと思った疑問を口にした。
「精霊って飯食うのか?」
同じく火を囲んでいたノアールがキョトンとした顔をする。
「そんなことも知らないの?」
「いや、食事不要なのは知ってるけど、お前、イノシシ率先して狩ってたじゃん」
「あなたが食べると思っただけ。基本的に食事は不要よ。空気中の魔力を取り込んでいるから。でも、味覚が無いわけじゃないから、味は分かるわよ」
「へぇーじゃあこの猪の肉いる?」
アキラはノアールに肉を差し出す。
「いらない、臭み取りもしてなくて、ただ焼いただけの猪肉なんて大しておいしくないもの」
「まじかよ、でも腹減ったからなー」
アキラは、猪肉をしばらく見つめ、意を決してかぶりつく。食べた瞬間、肉の臭みと血の味か口に広がる。顔をしかめながらも咀嚼し飲み込む。
「まずい」
「村に行ったら調味料とか買いましょうお金持ってるんでしょ?」
「一応、金貨五枚なら」
「それしかないの!?」
ノアールが驚き思わず立ち上がる。
「仕方ないだろ、逃げるのに必死だったんだから。」
アキラが光を失った目で火を見つめる。ノアールはアキラの肩に静かに手を置き、慰める。
「気になってたんだけど、その腕輪、魔道具よね?」
「あぁ、そうだけど」
「それを売ればいいんじゃない?」
ノアールの言葉を聞いた瞬間、アキラは腕輪を隠す。
「嫌だ、これは大切なものなんだ!後生だから。」
「わ、分かったわよ」
その後、二人で交代しながら火の番をし、夜が明けると同時に二人とも寝不足状態で森を歩く。
「精霊も寝不足になるんだな」
「睡眠は必要だもの」
会話をしながら森をひたすら歩いていると、開けた場所に出た。その場所から村の入り口が見えたことに安心した二人はその場に座り込んだ。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
やっと最初の村に着きました。




