力の意味
「取り押さえろ!」
オルクスの号令と共にゲルニカと入口に待機していた近衛兵がアキラを取り押さえる。
「お父様、何を!」
アリサが叫ぶがオルクスは無視しアキラを尋問する。
「暗黒魔法は魔王が使った魔法だ。それが使えるという事は彼が魔王なのだ」
「そんな、ありえません!アキラが魔王だなんて。」
アキラは組み伏せられながらオルクスを見あげる。
「オルクスさん、暗黒魔法がたとえ魔王が使った魔法だとしても、魔法は魔法ですよ。」
「なんだと?何が言いたい!」
「だから、所詮は力だという事です。私を取り押さえてる兵士が持ってる剣、彼がそれで悪人を切って
も、それは正義です。しかし、もし何の罪もない女、子供を切ったとしたら?それは悪でしょう。しかし使っている剣は同じです。同じ剣でも、持ち主がどう使うかで善悪が変わる。暗黒魔法も同じです。以前の持ち主はこれを悪用しました。しかし、今の持ち主は私です。この力を悪用しないと誓います。私を信じてくれませんか」
アキラの真剣な目を見て、オルクスはアキラを解放するように言う。アリサがアキラに近づこうとするが、オルクスが止めた。
「アキラ君、君の人となりは十分知っているつもりだ。信用に足る人物だと私も思ってる。しかし、暗黒魔法は強大な力だ、強大な力は人を呑み込み変えてしまう。・・・君を部屋に軟禁させてもらう。これが、国王として私にできる最大限の譲歩だ。君が力に呑まれたら。その時は分かるね。」
「はい・・・・」
兵士に連れられて行くアキラをアリサは心配そうに見ていた。それに気づいたアキラは微笑んだ。アキラが出てったあと、謁見の間は静かだった。オルクスはアリサを抱きしめた。
「すまない、アリサ。国王としてこうするしかないのだ。」
アリサは、何も言わず泣いた。泣くアリサをイリーナに預け、オルクスはグスタフを見る。
「アキラ君の監視を頼む。」
「かしこまりました。」
グスタフがアキラの部屋へと向かい、アリサたちも暗い顔で謁見の間を出ていく。オルクスは一人頭を抱え、謁見の間を出ようとすると後ろから声を掛けられた。振り向くとそこには灰色のローブを身に纏う小さな女の子だった。
「誰だ!」
オルクスは、叫ぶ。
「オルクス王、暗黒魔法は魔王の魔法。魔王以外使えない魔法。とても危険な魔法です。暗黒魔法が使えることこそ、彼が魔王である証拠。魔王は滅ぼさなければならない」
それだけ述べ、少女は消えた。オルクスは暗い目をして呟く。
「魔王は滅ぼさねば」
オルクスは、迷いのない歩みで謁見の間を後にした。
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