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戦況

 カロナール帝国の皇帝グースは玉座に座り、不貞腐れたように頬杖をついて大きく息を吐く。


「なぁ、ワシも戦場に……」

「ダメですよ」


横に控えていた男が皇帝の言葉を食い気味に否定した。


「先の魔王との戦いで暴れたんですから我慢してください」

「それだって結構前……」

「あの時の城の修繕やら、ほかっ各所の調整にどれほどかかったと?さらに勝手に、魔王と密約なんかかわしたのはどこのどなたですか?」


男から睨まれ、皇帝は大きなため息をついた。


「【死兆】の中から三人も戦場に向かっているのです。心配はいりません」

「心配というか……暴れたいというか……」

「何か?」

「イエ……」


男が笑顔で皇帝を威圧する。その背後には暗黒魔法の黒い靄が見えた気がする。


「こいつの方が魔王っぽいわ」


小声でつぶやいた皇帝の言葉に男が詰め寄ろうとすると、部屋の扉をノックする音が聞こえる。すぐに男は皇帝から離れ、横に控えた。


「入れ」


皇帝が入室の許可を出すと、兵士がひとり入ってきた。


「お伝えします!まお……アキラ殿たちが到着いたしました!どちらへお連れしましょう!」


伝令を聞き皇帝の顔が少年のように喜色に染まる。


「おう!来たか来たか!ここでよい!」


兵士は、礼をすると部屋から出ていった。皇帝はいそいそとテーブルと椅子の準備を始める。男は大きくため息を吐いた。


「私がやりますから、あなたは座っていてください」


そういって準備の仕事を取り上げた。




 室内のソファーに五人は入りきらなかったため、真白はルーナの膝の上に座っている。ニコニコと嬉しそうな二人に場が和むも話す内容が内容なため、皇帝はアキラを見る。


「いいのか?全員で聞いて?」

「あぁ、良いんだ。俺の事情もこの人達は知ってるから」

「まぁお前が言うならいいだろう。ダン、地図を」

「はい。こちらに」


そういうと、テーブルに地図を広げる。そこには大陸の一部を切り取ったような地図だった。中央に帝国、その東側にスマトリプタン、西側にはイソバイドと聞いたことのない国、そして森や山脈、川の場所といったものが書いてある。


「この地図すごいな」

「そうだろ?うちの国には優秀な測量士たちがいるんでな」

「いいのか?地図なんて軍事機密だろ?」

「構わんさ。どうせお前さんに攻められたら守り切れんし」


あっけらかんという皇帝に、あっけに取られるもそれを無視して説明が始まる。


「戦線布告を聞いて、まず国境付近の民衆を退避させ、国境線に軍を配置した。と言っても最小限だ。そのおかげもあって、こっちにはまだ死傷者は出ていない。国境を越えられた時点でけん制して下がり、攻め入られた場所に付近の軍を集結させて押し返す作戦だった。奴ら、アテンの壁を破壊して乗り込んで来おった。そして作戦通り、誘い込んで追い返したんだが……」


地図を指さし駒を置き説明する。指が動いた先には開けた平原。


「ニ陣が思ったより早く動いた。いまはこの平原を挟んでにらみ合ってる。ここは平原があり、それを見下ろすように砦があるから避けると思ったんだが、どうやらここを力押しするようなんだ」

「なんでだ?」

「敵陣に、勇者一行やゲルニカなどの敵主力と攻城兵器が集結しつつある」

「それは……マジでなんでだ?」


アキラは首を捻る。


「この近くには何があるんでしょう?」


レオンが顎に手を当てながら、皇帝に聞く。


「特に何もないはずなんだよ。だから向こうの狙いが分からん。わざわざ陽動までしてここに陣取る意味が分からん」

「よろしいですか」

「ダン、なんだ」


皇帝が顎髭を撫でながら考えこむ。そこにダンが発言権を求めた。


「この付近には確か祠があったと思います。いつできて、誰が管理しているか分からない祠です。確か、ここだったかと」


そういってダンが指をさした場所は、現在両軍が見合っている平原そこの少し北側、丘になっている場所だった。


「その祠に何かあるのか……」


皇帝が顎髭を擦りながら、地図上を見る。


「でも戦争中に祠なんて取りに行くか?」

「わかりません。しかしあそこはかつてスマトリプタンの領地だったことがあります。もしかしたら、スマトリプタン側に何か情報があるのかもしれません」


部屋の中でアキラと皇帝、レオンが頭を悩ませる。


「ねーお兄ちゃん」


真白が飽きたのか、アキラの袖を引っ張る。


「どうした?」

「今度はこの平原でたたかうの?」

「いや、戦うかどうかは……ってそうか」

「どうした?」


何か思いついた様子のアキラに皇帝が訊く。


「いや、そういえば俺たちはカロナール側で戦うわけにはいかないよなって」

「それはどういうことだ?」

「世間的には、俺魔王だからさ」


自嘲気味にそういうと、アキラはダンの方に向く。


「ダンさん、カロナールの装備品っていくら位?」

「はい?」


笑顔で聞くアキラ。なんとなく感じる、面倒ごとの香りに、ダンの頬に冷や汗が伝った。



最後まで読んでいただきありがとうございます!!


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