宣戦布告
アキラたちが、ゾラと死闘を繰り広げている頃、スマトリプタン王国では国王の宣言が発布されていた。内容は、奴隷制の撤廃についてだった。元々奴隷制を良しとしなかったスマトリプタン王国は、同盟国であるカロナール帝国に奴隷制の撤廃を要求。カロナールはこれを固辞したため、同盟を破棄する旨が書かれていた。
「奴隷なんて野蛮な風習すぐに取りやめればいいのに」
「なぜカロナールはすぐにやめないのだ?」
「きっと奴隷はひどい扱いを受けてるに違いない!」
「人を人とも思わない非道な制度だ!すぐ撤廃するべきなのに!」
民衆の反応は王の宣言を支持するものばかりだ。
王城の謁見の間の扉が勢いよく開く。そこから飛び出すアリアと謁見の間に向かっていた昇がぶつかった。
「アリア?大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
アリアは笑顔を浮かべて立ち上がった。そしてそのまま、急ぎ足で立ち去った。昇はアリアを心配に思いながらも謁見の間に入る。
「高山昇、陛下に呼ばれ参上いたしました」
そういって、跪いた。肘置きに頬杖をつき、横柄な態度のオリクスが昇を出迎える
「うむ。よく来てくれた昇。神聖光魔法の修行は順調か?」
「はい。宮廷魔導士殿のおかげで、我々全員会得することができました」
「この短期間で会得したか。見事だ」
「いえ、身に余るお言葉でございます」
「これならば良いだろう。貴公らに頼みがある」
「はい」
「この度、カロナール帝国との同盟を破棄した。再三奴隷という蛮習をやめるよう働きかけてきたが、
やめる気はないというのでな。そして、いまだ向こうにとらえられている哀れな奴隷達を解放するために我らはカロナールを武力占領ことにした。貴公らも前線で戦いに参加してほしい」
「え……」
オリクスの言ってることに理解が追い付かず思わず声が漏れる。
「動揺するの無理はない、しかしこれはやらねばならんのだ。どうやらカロナールは、我が国の国民をさらい、奴隷として扱っているという証拠も入手した。彼らを解放するためにもこの戦争は必要なのだ」
「戦争……」
自分たちの生きていた世界には、もう教科書や資料でしか知ることができない単語に、怖気づく。
「今も、罪なき人々が奴隷として不当な扱いを受けている。これは彼らを救うための戦いなのだ」
「救うためですか?」
「あぁ頼めるか。君にしかできないことだ。どうか、とらわれている我が国の民を救い出してくれ!」
オリクスは真摯に頭を下げる。その姿勢に、昇はうなずいた。
「任せて下さい!スマトリプタン王国のため協力します!」
「ありがとう昇るよ。我が娘アリアも貴公らに同行させる。頼むぞ」
「アリアもですか?」
「あの子の力は貴公らの役に立つはずだ頼んだぞ」
「はい!」
昇は謁見の間から出ると、玉座の傍にローブをかぶった人物が現れた。
「カロナールを潰せばまた世界は正常になる。貴公も頼んだぞ」
「はい陛下」
そのまるで、少女のような無垢な声が姿とともに消えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!




