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chinese citron  作者: たまご
4/11

-4-

「香奈、遅かったね。」


友人のちはるが言った。





病院に到着したとき、すでに病室にはクラスメートがほとんど来ていた。



「ごめん、ちょっと考え事してて…」


香奈はそう言ってベットの方を見た。





大翔(ひろと)が寝ている。

意識不明らしいので、この表現は不適当なのだろうけど。

大翔が眠っていた。



香奈は胸が苦しくなった。






あの後…私と別れた後に事故に遭ったんだ。



涙が出そうだった。






ふとベットのそばに目をやった。


伊織(いおり)が大翔の手を握って座っていた。


また、胸が苦しくなった。





『触るな。その手を離せ。』



びっくりして振り返ると、そこには大翔がいた。



「…っ、触るななんてそんな…!」






病室の空気が凍った。



みんなに大翔の姿は見えないようだ。


イコール今言ったことは香奈の独り言となってしまう。




やばい。香奈はパニックになった。



伊織が香奈をにらみつけながら言った。


「…それ、あたしに言ってんの?」


「いや、そういうつもりじゃ…」


『そーだよ。』


「そーだよって…」





また空気が凍った。



伊織は確かに抜群の美人だ。


でも怒らせると、ひょっとしたらその辺の先生達より恐いかもしれない。



香奈以外のクラスメートは逃げるようにすばやく、でも気付かれないようにそっと帰っていった。




「伊織さん…これは、その…」


「香奈は大翔の何なの?」


言葉が詰まった。



クラスメート。

たまたま今日一緒に帰って、キスをしただけ。

付き合い始めたわけではない。



『彼女だよ』


「そんな彼女だなんて…」




香奈は照れながら答えた。


そしてヤバイと思った。




他の人から見たら私アホだ。

ピン芸人にだって負けないかも。




伊織はため息をついて立ち上がった。



「香奈妄想僻あるらしいし。

じゃあゆっくり二人の時間楽しんで。」



余裕の笑みだった。





香奈はひとまずホッとした。

何故か何かのゲームのラスボスを倒した気分だ。



病室には香奈と大翔以外誰もいなくなった。


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