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chinese citron  作者: たまご
2/11

-2-

夜の7時くらいだったと思う。

吹奏学部に所属している香奈は慌てて帰る準備をした。

走って昇降口まで行く。


チャリ通だけど急ごう。

美人は襲われる可能性大だし。うん。


ローファーをはいていざ帰宅!




その時、目の前に大翔(ひろと)が立っていた。





「あ、広瀬。

もしかして今から帰るところ?」




もしや夜のデート?!

香奈はどきどきした。



「うん、そうだよ」



冷静のフリをしたが、ダメだったかもしれない。

声が裏返ったような気がする。





そんな事を気にもせず大翔は続ける。


「じゃあさ、途中まで一緒に帰らない?

てか家まで送るよ。

もう夜も遅いし、さ。」





願ってもないチャンス。

イケメンと帰れる。

たとえ回りから見て釣り合ってない二人だったとしても、誘って来たのは大翔だ。


「うん!」








二人で夏の夜の坂道を自転車を押しておりていった。

ああ、これが青春ってやつか。



すると大翔がふとこんな事を言い出した。


「広瀬ってさ、彼氏いるの?」




思わず立ち止まってしまった。

まさか脈アリ?!

同時にこうも思った。

どこをどう見たら彼氏持ちに見えるのか、と。



「い、いる訳無いじゃん!こんなのに!

いたら奇跡だよ…」




すると大翔も立ち止まった。


「…そうかな?」





ゆっくりと大翔の顔が近づいてくる。



僅か数秒の出来事。

でも香奈には止まった時間のように感じた。





二人が徐々に離れる。

目をあけるが、相手を見ることは出来ない。






大翔は照れ臭そうにしながら言った。


「じゃあ俺はここで。

…また…明日、な。」





夢かと思うような時間だった。

これが夢なら、どうかさめないで欲しい。


香奈はそう心の中で繰り返した。


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