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夜の7時くらいだったと思う。
吹奏学部に所属している香奈は慌てて帰る準備をした。
走って昇降口まで行く。
チャリ通だけど急ごう。
美人は襲われる可能性大だし。うん。
ローファーをはいていざ帰宅!
その時、目の前に大翔が立っていた。
「あ、広瀬。
もしかして今から帰るところ?」
もしや夜のデート?!
香奈はどきどきした。
「うん、そうだよ」
冷静のフリをしたが、ダメだったかもしれない。
声が裏返ったような気がする。
そんな事を気にもせず大翔は続ける。
「じゃあさ、途中まで一緒に帰らない?
てか家まで送るよ。
もう夜も遅いし、さ。」
願ってもないチャンス。
イケメンと帰れる。
たとえ回りから見て釣り合ってない二人だったとしても、誘って来たのは大翔だ。
「うん!」
二人で夏の夜の坂道を自転車を押しておりていった。
ああ、これが青春ってやつか。
すると大翔がふとこんな事を言い出した。
「広瀬ってさ、彼氏いるの?」
思わず立ち止まってしまった。
まさか脈アリ?!
同時にこうも思った。
どこをどう見たら彼氏持ちに見えるのか、と。
「い、いる訳無いじゃん!こんなのに!
いたら奇跡だよ…」
すると大翔も立ち止まった。
「…そうかな?」
ゆっくりと大翔の顔が近づいてくる。
僅か数秒の出来事。
でも香奈には止まった時間のように感じた。
二人が徐々に離れる。
目をあけるが、相手を見ることは出来ない。
大翔は照れ臭そうにしながら言った。
「じゃあ俺はここで。
…また…明日、な。」
夢かと思うような時間だった。
これが夢なら、どうかさめないで欲しい。
香奈はそう心の中で繰り返した。




