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Interlude1 -By the way-

「なんであの人達がここにいるの…」

「まさかあれがばれたのか、いやそんなはずは…」

 あかりの消えたリビングで冬姫は考えていた

「ナニカモンダイデスカ」

「いや、大丈夫…」

「モンダイガアッタラレンラクシマス」

「ありがとう」

 茅乃は無機質な頭をなでる

「じゃあ、私は行くから引き続きお願いね」

「オマカセクダサイ」

 茅乃は月明りで薄明るい外に歩みを進める


「よお、冬姫。ここでも元気でやってるか?」

 茅乃を呼び止めた一つの声が夜の街にこだまする。

「元気よ、おかげさまで」

 そこにいたのはもう一人の統星。

「嘘つけよ」

「何を――」

 冬姫が何か言いかけたところを統星がさえぎる。

「お前、いい加減にしないと体が持たねえだろ」

 それは大よそ敵対する人間にかけるような言葉ではなく、その口ぶりもどこか優しさをはらんでいた。

「余計なお世話っていう言葉のこれほど適切な使い方を知らないわ」

「もう止めとけよ。お前の統星はもういない」

「いない?そんなことは百も承知よ」

 少しだけ感情をあらわにした冬姫とそれと相対して冷静な統星の間には微妙な空気だけが流れた。

 それは夜の冷たい風を伴って二人の間を取り巻く。

「復活もしないと思うんだけどなあ」

「それは貴方がそう思うだけ」

「ん、まあな」

 素直に引き下がる統星に冬姫も少しだけ警戒を解く。

「やっぱり、あそこで殺しておくんだった」

「おお、怖い。どこの世界にも殺人罪はあると思うんだけど」

「捕まらなければいいだけの話」

「どの人間にも良心はあると思うんだが」

「それを持ち続けるかは別問題ね」

「やっぱ、殺されておくべきだったのかな」



 へラっと笑ってみせる統星

 冬姫はキッと睨むと統星に背を向け歩き出す

「戻るのかい?、あっちに…」

「戻らないと…なにも終わらないし始まらない、希望は捨てたくないけど…現実は見ないとね…」

 そう言って少しだけ振り向いた冬姫の顔は哀しい笑みを湛えていた。

「そうだな、オレのほうもなんとかしないとなぁ」

 統星は夜空を見上げる

「こんな星空を見上げられるのもあと少しなのかね」

「…………」

 統星の呟きに冬姫は答えない

「9月32日……、改変の日…、どうなっているか楽しみだな」

「そうね…、あなたは死んでいるだろうけど」

「おいおい、そりゃお互い様だろう?」

 2人は少しの間見つめ合う

「ま、そうならないよう努力しましょう」

 そういって冬姫は歩き出し闇に消える

「あと半年…せいぜいあがいて見せろよ、オレ…」

 そう言い放ち統星は姿を消した。

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