2.9(詩)
束ねた紙片に輪ゴムをかけた
それで何が買えるとも知らずに
口で言うのは簡単だが
はっきり言ってしまえば価値が吹き飛ぶ
女を買えばいいと知事候補は言った
おれにはそう聞こえた
なぜそうはっきりと偽りが言える
エネルギーで貧民が潤うと
小屋の無い子が賄えると
フェアな戦いは行われない
人気者が勝利して猛毒をまき散らすだけ
闇が訪れるのは早い
この季節は
全てが闇に包まれてしまえば
大嘘もまかり通る
プラットフォームで最終電車を待つ
無垢なサラリーマンたちも
自分のチケットが間違っていることに気付かない
電車には乗れても
未来は闇の中へ
大空の支配者も
天上の城主も
電波芸者も
嘘っぱちを並び立てて
弱者を煙に巻く
雪の中で凍り付いた手が
すくい取れないものがあるのを知る
針のむしろを進むのさ
やがて訪れる荒廃を前に
首つり台に引き上げろ
嘘つきの首領を
年金問題も
医療改革も
労働問題も
棚上げにして逃げ出した過去を許すな
許すな
許すな