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再誕世界の黙示録(リベレーション)  作者: 那智
第一章 失われた時代
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一話

うー、ファンタジー書くのムズイ。でも楽しい!

商業都市ゼーレン。

ここは各国の主要都市のちょうど中間に位置する交通・交易の要所である。北にはその立地を活かしてどの国にも属さない独立都市国家として各国と対等に渡り合ってきた。

この都市国家に過ぎないこの国が各国と渡り合えた理由は二つある。

ひとつは他国が国王が一人で国の舵取りをするのに対して、ゼーレンは貴族などの有力者の中からだけでなく商人、市民会など平民の中からも複数の代表を選び複数人数で舵取りをする共和制を執っていること。これにより柔軟な対応を可能としている。

もうひとつは各国への交通の要所であることを最大限活かすべく、関税を無くすことで旅人や行商人の集まりを良くし、彼らを経済基盤に取り込んでいることだ。

これに加え、要所であるからこそ各国が攻めることができないという利点がある。なにしろどこかの国がゼーレンを占拠したら残りの国が連合を組んで襲いかかってくるのは明白。抜け駆けをすれば破滅が待っているだけにどの国も動くことができず結果として独立を許しているのだ。


さて、そんな国に二人の傭兵が来ていた。

片や見上げんばかりの巨体の大男なのに対し、もう一人は至って平均的な背丈の少年だった。言うまでもなくヒルギスと波多那である。

ゼーレンは波多那が今まで見てきた町では考えられないほどの活気があった。人混み、というほどではないが人通りは多く、途切れることはない。そこはまさに大都市という言葉がふさわしい場所だった。

道を行く人々は人間が多いがその中に亜人の姿もある。見かける頻度はやはり今まで見てきたどの町よりも多かった。

波多那はその大通りを見て感嘆の声を上げた。それを見たヒルギスは苦笑する。


「ハタナはこの都市に来るのは初めてだったな」


「はい! なんだか人がいっぱいでわくわくします」


目覚めてから今までほとんど村、大きくても精々町ぐらいにしか立ち寄ったことのない波多那は目を輝かせた。この時代で見た初めての人混みはかつて彼自身が体験したものと比べると遥かに小規模であったが懐かしさを感じるには十分なものだった。


「人が多いということはそれだけ争いや厄介事が起こりやすい。 巻き込まれんように注意を怠ってはいかんぞ」


「いや真っ先に首突っ込むの師匠じゃないですか」


波多那は一年間の旅を思いだし、ため息を吐いた。思えば巻き込まれた厄介事のほとんどはヒルギスが原因であった。もちろん少なからず波多那が原因となることもあったのだが。


「さて、まず何しましょうか? 武器の整備ですか? 酒場で情報収集ですか? それとも宿をとりますか?」


「飯だ」


「つまりいつも通りですね」


さて飯屋はどこだろうかと辺りを見回したその時、波多那の耳が聞き慣れた―――この一年で聞き慣れてしまった音を捉えた。ヒルギスも気付き足を止めている。


「……なんかやたら物騒な音が聞こえません? 具体的に言うと剣戟の音が」


「そのようだな。 用心せい」


その言葉に従い波多那は思考を戦闘用に切り替える。そうしている間にもその音は段々と近づいてきており、それにともない通行人達も騒ぎだした。

そして剣戟の音がすぐ近くまで迫り、木で造られた壁を突き破って鎧を身に纏った若い騎士が現れた。いや、現れたというのは語弊がある。騎士は吹き飛ばされてきたのだ。

元は見事な代物であっただろう騎士の鎧は血で汚れ、至るところに傷が付き、胸の部分が無惨に凹んでしまっている。その様子から大怪我をしているだろうということは誰の目からも明らかだった。

さらに騎士が持つ剣は半ばから折れてしまっていた。その折れてしまった剣で戦っていたのだろう。残った刃の部分は傷だらけで血にまみれていた。

騎士を追うように壁の穴から一抱えほどの大きさがあるメイスを持った男が現れた。その身体はヒルギス程ではないが大柄で十分大男と称することができる。おそらく彼が騎士を吹き飛ばしたのだろう。


「同業者ですかね?」


「おそらくはな。 だが碌な者ではあるまい。 一人に集団で襲い掛かるなど戦士の風上にもおけん」


「いや今そういう話してないんで。 それはともかくちょっと気に食わないですね。 」


所々に傷を負った男はニタリと笑みを浮かべると騎士に近づいた。


「へっ、手こずらせやがって。 まあいい、これで止めだ」


周囲が止める間もなく男はメイスを振り上げ、騎士に止めを刺すべく降り下ろした。


―――ガキィン


金属がぶつかり合う音が響く。結論から言えばメイスは騎士の身体を捉えることはできなかった。


「ちょっとちょっと、こんな街中でお仕事なんて空気読めないにも程があるでしょ」


「なんだテメェ」


男のメイスを止めたのは波多那だっだ。両手で持ったトマホークの背でメイスを受け止めたのだ。

波多那は相手を挑発するかのように薄い笑みを浮かべた。


「僕は本来厄介事に首を突っ込む質じゃないんだけど、おっさんのマナーがあまりにも悪いから注意したくなっちゃったよ」


「テメェには関係ねえだろう! 邪魔すんじゃねえ!」


男はこのまま押しきろうと腕に力を込める。だがメイス動かない。


「悪いけど僕があんたの邪魔をする理由はふたつあるんだよね」


ぐぐ、と腕が持ち上がる。男は驚愕で目を見開いた。

普通に考えて物を振り上げるよりも降り下ろす方が力が込めやすい。戦いにおいて高所を確保するのが有利とされる理由のひとつである。だが波多那はその不利を物ともせず押し上げたのだ。


「ひとぉつ! 周りを見ようとしないあんたの精神が気に食わない! 堅気の人に迷惑かけるなんて傭兵失格だよ?」


波多那の口上を聞きながらも男はさらに力を込める。が、どれだけ力を込めても押しきることができない。いやそれどころか押され始めてさえいる。

(このガキ……どこにこんな力が!?)

そう男が驚愕している間にも波多那はさらに腕を押し上げる。


「ふたぁつ! そしてなによりっ!」


ある程度地面と腕の間に空間ができると波多那は男の腕を蹴り上げた。男の体勢が崩れる。さらに蹴り上げた際の勢いで身体を捻る。


「あんたの顔、どっからどう見ても悪人面だなんだよ! 死ね!」


勢いのまま波多那は回し蹴りの要領で男を蹴り飛ばした。


「げふっ」


今度は男が壁に突っ込む番だった。二度も人が突っ込み穴が開いた壁は耐えきれずに崩れる。男の上に残骸が降り注いだ。


「あんたみたいに周りのことを考えない奴がいるから傭兵が軽く見られるんだ。風評被害ってもんを考えろよ。僕の言ってること理解した? 理解したよね? 理解したなら地べたに額擦り付けて許しを乞いやがれ」


壁に止めを刺したのは波多那なのだがそこは気にしてはいけない。


「この……クソガキが! 」


波多那が吐き捨てた言葉に激昂した男が血走った目で立ち上がる。


「俺を怒らせやがって! なぶり殺しに―「ふん!」――ぐべっ」


いつの間にやら男に近付いていたヒルギスが男に拳を叩きつけた。ヒルギスの拳を受けた男は最後まで言葉を言えずに気絶した。

それを見た波多那は構えを解く。そして呆れたように言った。


「師匠、複数で襲い掛かるのは卑怯じゃなかったんですか? というか今その人なにか言ってませんでした?」


「戦いではない。 うるさい羽虫を黙らせただけだ。 言おうとした事もどうせ大したことではあるまい。 それよりその者の傷の具合は?」


「見てみます」


波多那は騎士の元に駆けていった。その間にヒルギスは気絶した男を調べる。

(ふむ、武器はそこそこの代物だが防具は粗雑なものだな。 あまりにも不釣り合いだ)

命あっての物種である傭兵稼業において傭兵達が真っ先に整えるのは武器でも生活環境でもなく防具である。命さえ無事なら取り返しは付く。そのためまず金を掛けてでも身の守りを万全にすることにより次の機会に繋げるようにするのだ。その考えはこの稼業に身を置く者であれば例外はない。

あえて例外を挙げるならば波多那の例がある。しかし波多那は傭兵になる際に防具に金を掛けてないがそれはあくまで警備員服がそんじょそこらの防具に劣らない防刄性を備えた優れた防具であったからなのだ。

だというのにこの男は防具よりも武器を優先している。しかも明らかに男の力量に不釣り合いな武器を、これをひとつ買う金で男の力量にちょうど良い装備が一式揃うのにだ。それはあまりにもおかしい。例えばとんでもない世間知らずでなければそんなことはしなあだろう。

となれば考えられるのはひとつ。

(武器は依頼人から支給されたものか。 だがそこまでしてなんのために?)

この男を雇った依頼人にはどうしても消したい相手がいるのだろう。そのために質の良い武器を渡したのだ。そうヒルギスは推測した。

ではそのどうしても消したい相手とは誰だ?答えを知るのはこの男か……あの騎士だ。

ヒルギスは視線を騎士に向けた。

騎士は波多那に応急手当を受けている。凹んだ胸甲は外され服は捲られているため地肌が丸見えだ。彼が殴られたところは内出血が酷いのか肌が黒ずんでいる。医療知識がないヒルギスから見ても助かるようには見えなかった。

それでもあえてヒルギスは波多那に尋ねた。


「どうだ?」


「おそらくですが内臓がやられてます。 内出血が酷いですが出血自体はそこまで酷くありません。 たぶん心臓が弱って血の巡りが悪くなっているのかと。 残念ですが……」


助からない。波多那は言外にそう言った。それを聞き、ふむ、とだけ呟くとヒルギスは騎士の前に屈み込んだ。


「お主は最早助からん。 我らでよければお主の最後の言葉を聞き届けるぞ。 どうする?」


それは自分でもわかっているのか息も絶え絶えな騎士は最後の力を振り絞り言葉を絞りだした。


「ど、どうか……」


「なに?」


「どうか……お嬢様を……たす、け……」


それだけ言って騎士は息を引き取った。波多那は力尽きた騎士の目を閉じさせ傍らに落ちていた剣を騎士の胸の上に置いた。それから目を伏せ数秒黙祷すると立ち上がりヒルギスに聞いた。


「それでどうします?」


「決まっとる」


波多那の問いにヒルギスは剣の柄を撫でながら言った。


「戦士の最期の願いだ。 聞き届けるぞ」


「さらに厄介事に首を突っ込むわけですね。了解です」


周りにいた野次馬に衛兵を呼ぶように言うと波多那とヒルギスは壁が壊れた場所を通り裏路地へと駆け出した。


長くなりそうだったので一端区切りのいいところで切りました。早く旅出させたいけど書くことまだたくさん・・・。

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