第23話(カーテンの中の秘密)
「早く〜!ハル!電車行っちゃうよ。早く!!早く!!」
僕の手を引っ張るユキは、旅行かと思うくらいの大荷物。
ポニーテールって男にとっては、永遠の憧れ・・・。
早くも、僕の体は・・・熱くなってる。
電車は、残念ながら結構空いていた。
僕としては、ぎゅうぎゅう詰め状態を期待してたんだけど。
電車が揺れるたびに、僕のひじを掴むユキは、面会に行った時のお父さんの話をしてくれた。
「今日、ハルとデートだって話したら、よろしく言っててくれって。大のお気に入りみたい。」
お父さん・・・ごめんなさい。僕、今日ユキさんを抱いちゃいます・・・。
「お父さん、早く出てきたらいいのにな。そしたら、ユキの家に遊びに行きたいな。」
「絶対だよ。でも、私の部屋の床、結構響くんだ〜。バレないかな?」
「あ〜!そりゃバレるな。僕激しいもん。ユキも声でかいしな。」
「もう!ハルのエッチ!!」
こんな平和な会話をしながら、温泉に向かう。
ひっそりとした、静かな山の中。
この世に2人きりしかいないような気分になる。
「新婚旅行みたいだね。ドキドキしちゃう・・・。」
僕の腕にくっついてるユキを愛しく思う。
一生大事にするよ。だからずっとくっついててね。
「あぁ、そうだな。いつかまた来ような・・大人になったら。」
少し肌寒い風が吹く。
僕は心の奥からこみ上げる2種類の感情に戸惑う。
『結婚したい』って事、『君を抱きたい』って事。
「いらっしゃいませ〜!お待ちしておりました。」
愛想のいい仲居さんが迎えてくれる。
高校生のお客さんに驚いた顔もせず、お風呂と部屋を案内してくれた。
「それでは、ごゆっくり。時間は6時までですけど、今日はお客さん少ないので少し位、過ぎても大丈夫ですよ。宿泊にも変更できますので、何なりとおっしゃってくださいね。」
僕とユキは、赤面しながら、
「は、はい。ありがとうございます・・。」
宿についてからのユキは、ちょっと無口で大人びて見える。
もしかして、緊張してんのか??
「泊まっちゃおうか〜!」
冗談を言いながら、ユキの頭触ってみる。
ビクッ!! ユキがこっちを見る。
「あ、ごめん。ハル、ごめんね。」
いつものユキじゃない・・・。
やっぱ、こうして旅館の一室に2人でいると、緊張しちゃうよな。
意識しちゃうよな・・。
なんか、かわいいな。ユキって。
「どした〜?疲れちゃったか?」
僕は、できるだけ平常心を装って、荷物を置いた。
「・・うん。大丈夫。」
って全然大丈夫じゃない。
いつもの、下ネタ女王はどこ行った??
いつもの感じなら、「襲わないでよ〜」とか言いそうなもんなのに。
とりあえず、風呂でも入るか・・。
「お風呂入りにいこっか。じゃあ、出たら中庭のいすで座っとくから。」
「え??混浴じゃないの?え??」
「ユキ、混浴だと思ってた??ごめん、言ってなかった?」
「・・うん。だから、緊張しちゃって・・・。」
かわいい〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
「な〜んだ。そうか。だから、様子がおかしかったんだな。混浴なわけないじゃんか。ユキの体ほかのヤツになんか見せてたまるかって!」
「良かった・・。あ〜安心した。自分の裸がどうってことより、おじさんとかの下半身とか見えちゃうのかと思って・・・。」
ユキ・・・・・!!!!!!
「ハル、どうしたの?」
僕は、ユキを抱きしめてしまった。
だって、止められなかったんだもん。
混浴だと思って、ドキドキしてたなんて、かわいすぎるよ。
ぎゅ〜って強く抱きしめた。
このまま、押し倒しちゃっていいのかな。
水野さん・・教えて・・。
やっぱ、先に風呂なの?
でも、流れ的にこのままいっちゃう感じだよね?
「・・ユキ、僕今何考えてるかわかる?」
「ん〜、エッチなこと?」
「まあ、それもだけど。ほんとにユキが好きだな〜、かわいいな〜って思ってる。」
抱きしめながら、耳元で会話。
庭を流れる小川のせせらぎと、僕の鼓動しか聞こえない。
「ユキ、いい?」
「・・・うん。いいよ。でも、普通は温泉入ってからだよね・・。ハルかわいい。」
僕は、ユキの腰に手を回しながら、キスをした。
あぁ、もうだめ・・・。
抱き合ったまま、くっついてキス。
僕の股間、当たっちゃうよ・・・。
ユキの体の力が抜けてきたのがわかる。
気を利かせて、布団を敷いてくれてて良かった。
立ったまま、僕らは抱き合いながら布団の方へ・・・
「あ、外から見えちゃう・・。」
ユキが、大きな窓の外の庭を見た。
「いいじゃん、誰もいないんだし。でも、カーテンしめよっか。」
僕は、早く早くって気持ち頑張って押さえて・・・
ユキの服の中に手を入れて、ブラのホックをはずしながら窓の方へ移動・・。
なかなか、はずれない。
これが噂の『ブラのホックがはずれなくて気まずくなる状態』なのか??
「もうちょっと上にあげて・・」
ユキのアドバイスでなんとかはずれた。
はずれた、ってことは、胸が・・・胸が・・・。
ユキの胸、気持ちいい。
ずっとこうしていたい。
そのまま、カーテンの方に行き、カーテンにくるまる。
「ねぇ、覚えてる?図書室のカーテンにくるまってキスしたこと・・。」
そんな冷静な会話、もうできね〜。でも、なんとか、
「覚えてるよ。忘れないよ。今のことも絶対忘れない。」
と言い、耳元にキスした。
いい香りがする。
ユキ、ユキ愛してる。
ユキの吐息が漏れる。
甘い声が僕を刺激する。
「ハル、大好き・・ハル・・」
カーテンの中で2人とも裸になった。
ユキの柔らかな肌に吸い込まれそうになる。
今までのいろんなキモチがよみがえる。
初めて会った日のこと、初めて話した日のこと。
毎日毎日ユキのこと探してた片思いの頃のこと。
そして、ユキがいなくなった日のこと。
この世から光が無くなったかのように、暗闇だったんだ。
何のために生きてるのかって思うくらいに僕は抜け殻だったね。
ユキ、ユキの心の傷を、これから僕が長い時間かけてゆっくりと癒してあげる。
今、ユキがここにいる幸せ、僕は忘れない。
離れてたときのあの頃の僕が、これからの僕を強くする。
ユキ、愛してくれてありがと。
せせらぎの中で、僕らはひとつになった。
僕とユキだけ。
他に誰もいないね。
僕らひとつ。
微笑みあう僕らには、例えようのない安心感と、充実感が満ち溢れてた。
「ユキ、昨日よりもっと君が好きだよ。」
詳しいことは、僕とユキの・・・ ヒ・ミ・ツ!!




