第22話(久しぶりの唇)
久しぶりの学校。
大好きな桜の木が迎えてくれる。
桜は散っちゃったけど、僕はこの木が大好き。
眠い午後の授業、ぼーっと外を見ると、いつも見えるんだ。
「おはよ〜〜〜!!ハル!久しぶりじゃん。もう松葉杖とかもなし?」
2年も同じクラスの山田が迎えてくれた。
「まだ、走れないけど復活したよ!!いや〜、長かった・・・。」
クラスのみんなが笑顔で迎えてくれる。
「ハル〜〜!!!ちょっと下駄箱まで来て!!」
シンが叫んでる。
懐かしい匂いの下駄箱へ、ちょっと早歩きで向かう。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・!!!!!
「・・・ユキ!!!!!!!!!!」
そこには、大好きな僕の天使がいた。
この高校の制服を着て。
周りの目も気にせず、抱きしめた。
「ユキ、おかえり。」
「ハル、おかえり。みんな見てるから恥ずかしいよ。」
ユキは少し、髪が伸びていてピンでとめた前髪がかわいかった。
「もう〜!ユキ。びっくりした〜〜!嬉しいよ。いつから、こっちに?」
「今日転校してきた、春瀬ゆきです。なんてね。」
僕の退院の日に合わせて、ユキはこの高校に戻ってきた。
お母さんとお兄ちゃんと3人で、あの家でお父さんを待つんだって。
月に一度は、お父さんも家に帰れるんだって。
ユキの家族に光が差し込んでる。
やっとやっと、幸せになれるよ。ユキ、今までよく頑張ったね。
ユキと、またこの校舎で過ごせるんだ。
ニヤニヤしながら、一日を過ごした。
学校帰りにも病院へ行かなければならない僕。デートはまだできないか・・。
「病院ついて行ってあげるね。だって、離れてたから、ずっと一緒にいたいもん。」
そう言って僕の腕にからみつく。 ドキドキ。
病院では、水野さんが大野君のリハビリをしていた。
イチャイチャしながら、入ってきた僕らを見て、
「こらこら!そんなニヤけたヤツはここに入る資格はない!今日は、家に帰りなさい。でも、まだ足腰が完璧ではないから、腰を使うようなHな行為は慎むように・・・。」
な〜んて事を言ってくれる。
水野さんの優しさに涙出そう・・・。
僕とユキは、久しぶりに公園でデートができた。
アイスを食べながら、時々キスしたりして・・・・。
いつか見た捨て猫が近寄ってくる。
ヒョイってゴミ箱に上り、弁当箱からエサを探してる。
「この猫ちゃん、生きる方法自分で見つけたんだね。」
「そうだな、体もでっかくなってる。いいもん食ってるんだろうな。」
僕らは、夕暮れの公園でいっぱいキスをした。
近所の家から、煮物のいい匂いがしてる。
おいしそうな匂いの中で、すごくHな気分になる。
ユキの唇、久しぶり。
「ユキの唇、恋しかった・・・。」
「私も、ハルの唇大好き。」
舌を絡めあう僕ら。
「Hだね、ユキの舌・・・」
「・・ハルもHだよ・・。ハルの舌気持ちいい・・」
「ユキ、水野さんに止められてるけど、僕もう我慢できない・・」
息遣いが荒くなる。水野さんのH講座を思い出す。
「私も、ハルとひとつになりた・・い・・。でも、けががひどくなったらダメだから、我慢しないと・・・。」
「僕・・ユキが欲しい。」
制服の中に手を入れて、ユキの体を触る。
僕はもう意識がもうろうとしてきてる。
「ハル・・エッチだよ・・あん・・恥ずかしい・」
ってエロい声を出すユキ。
「我慢できないよ・・でも、こんなとこじゃだめだよな・・」
「うん・・途中までならいいよ・・」
その後、公園でできる範囲でHなことをした。
胸を触ったり、耳元にキスしたり・・と。
僕はそれだけでももう満足だった。
いつかくる初めての時・・・
だんだん近づいてるのが2人にはもうわかっていた。
学校でも、誰もが僕とユキの関係を知っている。
お互いの両親も公認で、2人の気持ちも以前よりも確かなものになっていた。
ユキが僕の体の一部のように、感じる。
離れていても、なんだか近くに感じられる。
不思議な気持ちだ。
こんなにも安心できる場所、この若さにして僕は見つけてしまった。
公園でのユキとの出来事を水野さんに話した。
「お前なかなかやるな〜!ビンビンだったろ?よく我慢できたな。別に最後までやっちゃっても良かったのに。もう体は大丈夫だよ。ただ、あんまり激しいのはまだだな。」
「激しいのなんかしないに決まってるでしょ!!も〜!」
水野さんのH講座のおかげかも。あの時我慢できたのは・・・。
次の日、水野さんが僕とユキにプレゼントをくれた。
想像はしていたけど・・・コンドームだった。しかも、暗闇で光る!って書いてある・・・。
ばか・・・。
その中に封筒が入ってた。
『ハルっぺへ。 今まで、本当に辛かったと思うけど、よく頑張った。その頑張りは君の将来に役立つものになるだろう。
この経験を忘れずに、夢に向かって努力しなさい。
頑張った君にごほうびをあげよう・・・ふふふ。山里温泉の日帰り入浴券です。
まだ高校生なので、お泊りはおあずけです。お互いいろいろあったと思うので、いろいろ話しながら疲れを取ってね。(疲れることしちゃだめよ)』
マジで感謝!!水野さんってかっこいいな。
「日帰り温泉だって・・。ユキこんなの行っていいのかな?」
「行きたい〜〜!今度の土曜日に行こうよ!お母さんも絶対OKだし、日帰りだから大丈夫。」
「了解!じゃあ土曜な。山里温泉って、結構近かったよな。」
「やった〜!じゃあ、今日帰ったら用意しよ。温泉の用意だけでいいよね。勝負下着も買いに行こうかな。」
おいおい!今度ばかりは、それは冗談にはならない・・・。
次の日、水野さんにケーキ持って行ったんだ。
僕だけに教えてくれた。
「男女別の温泉に入った後に、旅館の部屋で4時間ゆっくりできるんだ。いいな!そこが勝負だ。4時間もあれば、10回は余裕だけど、お前の体では5回が限度だな・・。」
「もう!初めてなんだからそんなにするわけねーじゃんか!緊張して、どうしていいかわかんない・・・。でも、こんなチャンスを本当にありがとうございます。」
「何、あらたまってんだよ。気持ち悪い。まあ、楽しんで来い。しても、しなくても・・な。」
絶対する!僕は心で叫んだ。