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第19話(初めてのH講座)

僕は、ユキのお父さんに紹介してもらった理学療法士の水野さんという人にいろんなことを教わった。


僕の怪我のことでお世話になってるだけでなく、僕の将来の夢の話や、専門学校の話まで、いろんな相談に乗ってもらっている。


「ハルっぺ、最近どうよ〜?」

水野さんってこんなノリの人なんだ。


「やめてくださいよ〜!ハルっぺなんて・・・。最近どうって毎日会ってるのに。」


僕はこの人が好きだ。

一緒にいてとても楽しいし、リハビリが楽しくなる。


「俺にも、誰か紹介してよ。女子高生。いいな〜ハルっぺは、あんな優しい彼女いて。」


こんなこと言ってるけど、水野さんはもうすぐ結婚する幸せ者なんだ。


「俺さ、春瀬先生から家庭内のこと聞いたけど、あの先生の腕はマジすごいんだ。

だから、いつかまた外科医として復活して欲しいよ。」


「そうなんだ。見た目もかっこいいし、優しそうだし、僕も今でも信じられない。」


「ん〜。そうだな。でも、人間いろいろあるんだな。今まで家族にどれだけ迷惑かけてきたかって事を、これから反省する日々が始まるだろうな。それは、自分自身と向き合うということ。とても辛い旅になるだろうな。」


水野さんってモテるだろうと思う。

面白いこといったり、冗談言ったりしてるんだけど、たまにすごく良いこと言ってくれたりする。


「施設ってどれくらいで出られるの?」


「人それぞれだな。すぐにやめちゃう人もいれば、すごく頑張って早く出られる人、なかなか前に進めない人もいる。」


水野さんは、僕の右ひざを念入りにもみながら話す。


「僕、ユキのおじさん嫌いじゃない。暴れてるとこは見てないけど、話を聞いていて、憎んでたけど、会ってみてびっくりしたんだ。」


「そうだろ〜!俺のあこがれの先生だったからな。酒癖が悪いことは知ってたけどさ。」


水野さんは真剣な表情になる。


僕の目をじっと見つめてきた。


「なぁ、お前・・・童貞??」


この人はすごい人だと思った。

こんな真顔でそんな質問ができる水野さんを尊敬してしまう。


「ちょ、ちょっと〜!水野さん絶対変だよ。真顔でそんなこと聞かないでよ。」


図星なだけに、真っ赤になる僕。


「もしかして、ユキちゃんとまだなの?」


水野さんのマッサージの手が止まり、僕の顔を覗きこむ。


「俺が今から、初めてのH講座、開いてやろうか?」


笑って誤魔化そうと思ったが、とても興味があった。

水野さんの講座なら、きっとすごく実りあるものだろう。


「先輩、どうかお願いします・・・!!」


僕はペコリと頭を下げた。


「じゃあ、まず、ハルっぺの考える理想の初Hってどんなだ??」


「え・・理想?う〜ん。きれいな景色の見える海辺のロッジとかかな。遊んでるうちにそんなムードになって、そのまま・・・。窓からは、月が見える・・みたいな??」


バシ!!


水野さんに頭を叩かれた。


「お前ばかだろ!映画じゃね〜んだから。もっと現実的に。ユキちゃんとの事考えてみ。」


「え〜?ユキと・・・。えっと・・・。楽しい話をしてて、笑ってる間にそのまま押し倒す。ユキの表情が女に変わる。『優しくして・・』ってユキが言う・・・。」


バシ!!!


また叩かれた。


「お前ほんとばかだな〜!そんなのエロ小説じゃん!!具体的にだよ。」


「具体的??僕はユキの制服を脱がす。ブラジャーの上から胸を・・・」


バシバシバシ!!!


「ははははは!お前かわいいヤツだな〜。そりゃAVだろ!!」


「もうわかんないよ〜〜〜!!」


「仕方がないな。まず一番大事なのは、自分の欲望をどれだけ抑えるか、だ!女の子に、発情してるって思われちゃだめ。あくまでも、冷静を装うんだ。どんなに不器用でも、へたくそでもいい。気持ちを込める。やりたいって気持ちよりも、好きだって気持ちを見せるんだ。」


「・・・できるかな。僕・・・。一人で興奮して鼻血出るかも。」


「ま、それもいいか。とにかく、お互いに初体験だから、一生覚えてる出来事なんだぞ!だから、素敵な思い出になるようにな。」


「え?なんか具体的に教えてよ。テクニックとか!」


「ば〜か!テクなんて100年早い!好きだったらそれでいいの。好きって気持ちが一番気持ちよくなる薬なんだよ。」


「そっか。じゃあ、僕誰にも負けないHできるね。」


「がんばれ!あと、ひとつだけ教えてやろう。終わったあとも肝心だ!」


「終わったあと?」


「そう!AVみたいなHはありえないんだからな。終わってからが大事。

映画とかであるだろ。男がたばこ吸って、女が男の胸の上で寝てる。男は女の体を触りながら、愛をささやくんだ。そして、また、キスをして第二ラウンド!みたいな。」


「え〜!2回やれってこと?」


「お前ほんと、面白いな〜!そうじゃなくて、男は終わったら疲れて眠くなるもんなんだ。でも、女の子って余韻を大事にする。だから、終わっても眠ったり、すぐ帰ったりしたらダメ。好きだよって言うとか、女の子の気持ちを理解した態度が大事だな。」


「あ〜、髪を触ったり?」


「まぁ、そんな感じ。あ、あと!絶対お腹になんか出すなよ!あれはAVだから!!」


へぇ〜〜〜!水野さんすごいや!この講座は、永久保存版だな。

第2回、第3回と、一生僕は水野さんに講座を受けたいと思った。



その後、お見舞いにきてくれたユキの顔をちゃんと見ることができなかった。

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