火種
ミアは灰色の森の中で火種を見つけました。火種は小さい枝にしがみつき、風に揺らいでいました。すぐにでも消えそうに見えました。ミアは火種に近づき、枝を持ち上げました。
『何をする気?』
火種が力なく聞きました。ミアは答えず、持って来たランプに灯を移しました。
『やめて。もう死なせてくれ。』
火種は小さい灯になりました。
『ダメ。僕は罰を受けないと。周りを見て。森がどうなっているか。』
ミアは来た道を戻りました。歩きながら身を震わせたり、手を合わせ、手のひらに息を吹いたりしました。
『僕をどこに連れていく?何かさせるつもり?』
ミアはただ歩き続けました。
『小鳥たちは僕が吹いた煙に窒息して地に落ちたよ。シカは涙を零し、狐は悲鳴を上げたよ。なにもかも焼かれてしまったんだ。全部僕のせい…』
正面から強い風が吹き始めました。ランプの灯は消えそうに揺らぎました。
『吹け!もっと強く!』
ミアはランプを抱きしめて足を速めました。やがて向こうに松林の見える小川の前に着きました。ミアは凍った小川を渡りました。
『森だ。また森だ!』
灯は身を震わせました。
『僕は火事なんかにはなりたくなかった。もとは花火だったんだ。夏祭りを待っていた。なのにある子供が物置に忍び込んで僕を外に連れ出したんだ。』
ミアは松林の中に入りました。
『あの子は僕を森に向けて発射した。冬だから土も乾いていた。僕はあっという間に大きくなった。木々を飲み込みながら。自分を制御できなかった。』
ミアは松林の小屋に入りました。部屋の中は歯がガタガタするほど冷えていました。ミアは囲炉裏に近づきました。ランプの灯はもう死のうとするのは諦めたようでした。黙ってミアの次の行動を待つだけでした。
ミアは薪に灯を移しました。火は勢いよく燃えました。ミアは小さな声で呟きました。
『火種が見つからなかったら死ぬところだった。』
ミアは焚き火の方に手を当ててゆっくり休みました。
こちらとは少し雰囲気が違いますが、長編『家出の魔王のグルメ旅行』も連載しております。
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