間話 [結衣]余談
洵と陽翔は無事に同じチームへと落ち着いた。私たちはそれを見届けてルーム内の奥まった部屋、禁室に集まっていた。
「なら、洵のお守りもこれで終わりか?」
この結果が求められたものかは分からないが、真尋の質問への答えは持っていた。
「残念だけど、まだ続くよ? 次の脚本はもう届いちゃってるから」
「今回は始めから教えてもらえたり?」
「それはまだ、難しそう」
私はそこまで言って、ひとつ覚悟を決める。
「でもそうだなぁ。私さ、用事があるんだ。多分、ほんの数日で全部終わると思うんだけど、その間は真尋が洵に付いててあげて欲しいな」
あくまでも穏やかに言おうとしたのに、やっぱり声が震えてしまった。
それを聞いてか、真尋が心配そうに私へと語りかける。
「別に頼まれずともそんぐらいするけどよ……それも私じゃ力不足か?」
「うん、こっちに関しては。でも洵のことを頼むって、すっごい頼れるってことなんだよ? 本当は洵のことも私がやるべき事なんだけどね」
「そっか……絶対に帰って来いよ」
真尋の真剣な視線が私を射抜く。
「それじゃあ——行きますか」
それに私は呟きで不誠実に、けれど素直に返すことにした。
拒否即ち死を意味する招集のために、ソファから立ち上がり恐ろしく静かな廊下を進む。コツコツと、音を響かせるは暗色のブーツ。瞳には魔力が高められ、白く仄かに光っていた。
さてと。さっさと着替えて、集合場所に行かないと。
息を長く吐き切ることで鋭く殺意を研ぎ澄まし、精神を安定させる。
大丈夫。私が消えても代わりはいる。それにきっと、結末は決まっているのだから。
私は目を瞑り、静かに、味わうようにその人の言葉を反芻する。
『種は正しい環境じゃないと根を張れない。
適した時期に、適した栄養をやって。
そうして初めて花を咲かせる。
そうして初めて未完の欠片が得られるの。
収穫を急いではいけないわ。
結実する条件が揃うまで失いながら探し続ける。
最低限、指示に従ってくれればそれでいい。
責任は全て“私たち”にあるから』
その言葉は救いであり、呪縛でもあった。




